学校が再開されお子さんは楽しく登校できていますか?休校前から学校に行くのが辛かった「隠れ不登校」のお子さんに必要な関わり方をお伝えします。子どもが希望を持って学ぶスタイルを手にいれるための対策を考えましょう! |
【目次】
1.休校前から学校が辛かった子は隠れ不登校かもしれません
長い休校が終わり学校生活が始まっていますね。
皆さんのお子さんの様子はどうでしょうか?
日本財団が2018年に行なった不登校傾向にある中学生の実態調査によると、不登校の子どもが約10万人、不登校傾向にある子どもが約33万人と推計されています。
その中で、学校へ登校していても、「隠れ不登校」または「仮面登校」というタイプの子どもがいることがわかっています。
表:学校生活をめぐる子どもの特徴(タイプ)6群
①−1 | 不登校 | 学校に行っていない状態が一定期間以上ある | 30日以上欠席 | 10万人 |
①−2 | 学校に行っていない状態が一定期間以上ある | 1週間以上連続欠席 | 10万人 | |
② | 教室外登校 | 学校の校門・保健室・校長室等には行くが、教室には行かない | 学校内で行動表出 | 33万人 |
③ | 部分登校 | 基本的には教室で過ごすが、授業に参加する時間が少ない | ||
④ | 仮面登校A 授業不参加型 | 基本的には教室で過ごすが、皆とは違う事をしがちであり、授業に参加する時間が少ない | ||
⑤ | 仮面登校B 授業参加型 | 基本的に教室で過ごし、みんなと同じ事をしているが、心の中では学校に通いたくない・学校が辛い・嫌だと感じている | 学校内で行動非表出 | |
⑥ | 登校 | 学校に馴染んでいる |
日本財団 不登校傾向にある子どもの実態調査より
隠れ不登校(仮面登校)には2つのタイプがあります。
一つは、基本的には教室で過ごすが皆とは違うことをしがちで、授業に参加する時間が少ない、授業不参加型。
もう一つは、基本的には教室で過ごし皆と同じことをしているが、心の中では学校に通いたくない・学校が辛い・嫌だと感じている、授業参加型です。
授業不参加型は、皆とは違うことをしがちなので親や先生から叱られたり、苦手なことが目立ってしまったりしがちです。
発達障害やグレーゾーンのお子さんは当てはまることが多いのではないでしょうか。
行動表出のないタイプの子どもは、皆と教室で過ごしているものの、気持ちはついて行っていない状況です。不登校・不登校傾向にある子どもの4.4%であり、約14万人もいるとのことです。
調査の結果、「不登校」または「不登校傾向」にある子どもは13.3%でした。
「うちの子も、当てはまるかも?!」と思うお母さんも多いのではないでしょうか。
グラフ:中学校の通学状況

日本財団不登校傾向にある子どもの実態調査より
2.お母さんは子どもをよく観察しましょう
隠れ不登校のお子さんは、元々長いお休み(夏休みや春休み等)の後の登校にはとてもエネルギーを必要とします。
そのため、今回のコロナウイルスによる2〜3ヶ月もの休みの後は親が想像する以上にハードなものと捉える必要があります。
お子さんは、学校へ行くことを楽しみにしていたり、学校から帰ってきて落ち着いて明日の準備をすることができていますか?
・無気力でぼーっとする時間が増えている
・休校中よりもイライラしていることが多い
・家庭での約束事を守れなくなっている
・「うるさいな!」「ほっといて!」こんな暴言が増えている
・「どうせ俺なんかやったってダメだし…」自信がない発言が増えている

こんな様子が見られている場合、お子さんは学校生活に必死に適応しようともがいている状態かもしれません。
ここで、「不登校になってしまっては大変!!」と、お母さんがあれこれ頑張り始めるのは要注意ですよ。
お母さんからの要求も増えると、いつか頑張るエネルギーが切れて、心身ともに病み、本格的な不登校へ進んでしまうかもしれません。
3.大事なのはただ「学校へ行くこと」ではありません
学校では全てのことが評価対象とされる環境です。
特に中学校では、出席、提出物、テストの点数、授業態度…全てが「評価」されてしまいます。たとえどんなに子どもが頑張っていても、苦手なことであれば『低い評価』になってしまうのです。
発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、学校生活で苦手なことが多く、頑張っている過程を評価してもらえないとすると、自信を失っていくのは当然ですよね。
お母さんも、「高校進学」・「内申点」などが気になって我が子の評価が気になるでしょう。
心配になるあまりにお母さんが、
「勉強遅れているんだから宿題ちゃんとやらなきゃ!」
「ちゃんとやればできるんだから!」
と気持ちを押しつけすぎると、子どもにとっては
「久しぶりの学校で頑張ってきたのに、家でまで…」
と自信とやる気を失ってしまいます。
そんな状態で学校生活を送り続けることが、本当に子ども達にとって幸せなことでしょうか?
せっかくステイホームから少しずつ解放されている今、子どもたちのキラキラ輝く姿を応援したいですよね。
「今日も学校行ってきたね」
「久しぶりの学校に慣れるまで大変だよね」
と、できているところを認めてあげるようにしましょう。
たとえ宿題が終わらなくても、提出物の期限が守れていなくても、お母さんは、周りの子どもと比べてではなく、お子さんが少しでも頑張っているところを探してあげるのです。

4.学校にとらわれない子どもを伸ばす関わり方
さらに、家庭では、子どもの好きなこと、得意なことに目を向けて、自信をつけるようにしましょう。
好きなことで自信がつくと、苦手なことに対しても頑張る力がついてきます。
子どもが好きなこと、得意なこと、興味のあることをお母さんは理解できていますか?
発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、得意なことなら並外れた集中力を発揮できることが多いんです。
子どもが興味を持っていることが、学校では学ぶことのできないことや評価されないことである場合、お母さんが情報収集してあげたり、学ぶ機会を与えてあげましょう。
たとえば、お菓子作りが好きな子なら、一緒に作ってお母さんの気持ちを伝えてみましょう。
「手際がいいね。」
「○○ちゃんの料理を食べると、お母さんあったかい気持ちになるな。」
と声をかける。おじいちゃんおばあちゃんに写真を送ってあげたりして、コメントをもらってもいいですね。

プラモデルやロボット作りが好きだったり、興味がある子なら、キットをたくさん買ってあげたり、オンラインで投稿したり、近隣の大学のイベントに申し込んだりしてみましょう。
「こんなに難しい図面よくわかるね!」
「集中力があるな〜」
「こんな大学に入ったら面白いんじゃない?」
と会話をすれば、子どもの興味を広げることができます。
子どもが得意なこと・好きなことに集中している場面で、肯定的な親子のコミュニケーションを行えば、子どもは生き生きとし始めます。
そうすると、「将来好きなことで生きていけるように、学校も頑張るぞ〜」と、学校にも前向きに行くようになるお子さんもいるでしょう。
「学校はどうしても無理だけど、こんなことを学んでいきたいな。」と、学校とは別の目標を持って頑張り始めるお子さんもいるかもしれません。
どちらにせよ、お母さんのサポート次第で、毎日ウツウツと過ごす日々のお子さんでも希望を持って歩むことができるのです。
子どもが「隠れ不登校」から脱出するためには、お母さんがお子さんの頑張りを認め、お子さんの得意や興味を引き出すことが一番です。
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執筆者:すずき 真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)