発達障害グレーゾーンで行動が遅い子は周りをイライラさせます。でも、脳の特性が分かれば子どもの気持ちも落ち着き、対策が取れますよ。そこで今回は、自閉症スペクトラムタイプにおすすめのトレーニング法と対応法をお伝えします。 |
【目次】
1.発達障害グレーゾーンの我が家の娘
2.自閉症スペクトラムタイプの子どもの行動が遅い理由
3.子どもの脳に合わせた声かけ・働きかけがあった!
◆段取りが苦手な子
◆時間感覚の発達がゆっくりな子
◆運動発達がゆっくりな子
4.娘の変化と成長
1.発達障害グレーゾーンの我が家の娘
我が家の娘は診断はついていませんが、発達障害の自閉症スペクトラム(ASD)の傾向があります。
・保育園の準備を始めるに時間がかかる
・着替えを持ってきたと思ったら、一つ一つがゆっくりで遅い
・ぼ~っとして行動そのものが止まってしまう
という感じだったので、毎日毎日「着替えて!」「止まらないで!動いて!」「早く!」など、私はガミガミ指示出しばかりして、楽しい会話をする暇もありませんでした。

小学校に入学すると、明日の準備だけではなく宿題もあります。保育園時代とは異なり、やることがたくさん!
たくさんあればあるほど発達障害グレーゾーンの娘はどこから手をつけていいやら分からず、放心状態になるばかりでした。
2.自閉症スペクトラムタイプの子どもの行動が遅い理由
大人の私たちは、その日のすべきこと、したいことを、頭に並べて段取りを組んで行動していますよね?
子育てが始まると、自分の用だけではなく子どもの用もそのように考えがち。
「今日は習い事があって帰りが遅いから、就寝時間まで2時間!ご飯とお風呂に30分ずつとして、残り1時間!宿題とピアノの練習、通信教育の〇〇もさせなきゃ!」
とお母さんの頭は動いてしまいます。でも、子どもはどうでしょう?
発達障害ASDタイプの子どもは、
・段取りを組むことが苦手:どこから始めたらいいか取っかかりをつかむことが難しい
・時間感覚の発達がゆっくり:逆算して行動することが難しい
・運動発達がゆっくり:体を動かすことそのものが未熟で動きが遅い
という特性があります。

グレーゾーンでなかなか人にはわかってもらえない程度の発達障害でも、脳の発達に凸凹があると、このようにできそうでなかなかできないことがあります。
子ども自身も、「お母さんの言っていることはわかるけど、なんかできない」と思っているかもしれません。
お母さんの声かけを変えて、発達障害の子どもの「できない」感覚を取っ払ってあげませんか?
3.子どもの脳に合わせた声かけ・働きかけがあった!
◆段取りが苦手な子
段取りが苦手な子も、好きなことはパッと取りかかって集中して取り組むことができませんか?やる気があればできるんです!
ダラダラしてしまうのは、これからすることにやる気が起きないから!
お着替え、歯磨き、お風呂…という生活習慣そのものは、子どもにとってはどれもワクワクするような楽しいことではないですよね。
子どもが「したい!」と思う行動に変えてあげることがポイントです。
まずは、「お着替え終わったら何する?」など、やる気がおきないことの後に何かやりたいものを考えさせてあげてください。
「テレビ見る!」「ジュース飲む!」など発達障害グレーゾーンの子どもの気分が盛り上がるような行動とセットにすると、気分も上がって行動しやすくなります。
◆時間感覚の発達がゆっくりな子
何かをしながら時間を気にする、というのは「ワーキングメモリー」という記憶の機能が働いてできること。
発達障害グレーゾーンの子は、このワーキングメモリーの発達がゆっくりな子が多いです。
楽しいことを始めてしまったら約束の時間は分かっていてもやめられない、というのは大人にもあることです。
ワーキングメモリーが働いていても誘惑に負けるのは、前頭葉の抑制機能が働いていない場合です。
子どもはワーキングメモリーも前頭葉の抑制機能も十分に発達していないので、時間を守るということはそもそも難関です。
就学前に少しでも時間を気にしながら行動することを学ばせるとしたら、まずは、生活の中の一か所から時間を守る習慣をつけましょう。
一番良いのは就寝の時間です。脳にとって睡眠は必要不可欠な栄養源です。
記憶を司る海馬は睡眠を多くとる子で大きく発達し、睡眠不足の子は小さいというデータもあるぐらいです。
海馬を成長させ時間感覚を育てたいならば、まずは睡眠時間を確保することです。
就寝の時間はなるべく徹底するようにして、そのほかのことは少し約束の時間より遅いとしてもガミガミ言わず、手伝ってあげるなどしてフォローしてあげましょう。
まず、リビングなどよく居る部屋の時計の横に、色画用紙などで就寝の時間が分かるように時計の絵を描いて貼っておきます。
「9時には寝るからね。」など、ご家庭の約束の時間を意識させます。
そこからは、
「9時まであと30分だからお片付け始めよう」
「9時まであと20分だから歯磨きしよう」
など、終了の時間を意識させ、逆算して行動する考え方を日々伝えてください。
もし耳で聞くだけではイメージがわきにくい発達障害グレーゾーンのお子さんだったら、スクールタイマーやキッチンタイマー、砂時計など視覚的に残り時間を示すタイマーがお勧めです。
◆運動発達がゆっくりな子
そもそも体や手足を動かす能力が発達していないから何をしても「遅い!」「鈍い!」のかもしれません。
でも、本人にとってはそれが最大限の能力だとしたらどうでしょう?遅いと急かされれば急かされるほど苦しくなります。
運動をすれば海馬の活動が活発になると言われています。とにかく体を動かしましょう!
そう言うと運動系の習い事を連想される方もいらっしゃるかもしれません。それもいいことですが、週1~2回の習い事に頼らず、生活の中で活動する量を増やしていくことが大切です。
まずは、買い物に行くから始めて→散歩に行く→一緒にストレッチをする→You tubeで好きなダンスをする→運動系の習い事をする、など徐々に運動量を増やしてみてください。
運動する時間が作れないご家庭は、お家のお手伝いをさせてみましょう。
洗濯物を干す、たたむなどは細かな手の動きや腕の動きが必要になります。窓ふき、床磨き、掃除機かけはなかなかの運動量です。
家事を手伝ってもらうことで、お母さんも「ありがとう」とほめる機会が増えます。
発達障害グレーゾーンの子も、お母さんに喜んでもらえると「自分が役に立てている」という自信がつき、一石二鳥です!

4. 娘の変化と成長
発達科学コミュニケーションでは、『できないことには目をつぶり、できていることから声かけをする』という教えがあります。
肯定的な言葉→次にしてほしいこと→楽しいことを想像させる言葉というセットの声かけに取り組んで1週間。
発達障害ASDタイプの娘が何を言ってもスッと動く子になりました!
「ご飯、全部食べたね」(肯定的な声かけ)
「じゃ、歯磨きだね」(次にしてほしいこと)
「歯磨きの後、何する?」(楽しいことを想像させる)
という風にすることで、「次、歯磨き!」という指示出しだけの頃とは雲泥の差で行動が早くなりました。
それまでは、すべてが遅いので就寝時間がどうしても1時間以上ずれ込む傾向がありました。
でも、この肯定的な声かけとスクールタイマーで残り時間を視覚的に分かるようにしたことで就寝時間を守ることもできるようになりました。
十分な睡眠がとれると、早起きが自然とできるようになります。
通信教育のタブレットを枕元に置き、目覚ましをセットしたおかげで、自分で起きてそのまま行動するという習慣がつきました。
ただ、娘にとって最も効果的だったのは「一緒に学校に行きたい!」と思うお友達ができたことでした。
遅れると友達と一緒に行けない!という想いから、登校時間が近づくと見たこともないキビキビした動きで、毎朝時間通りに家を出るようになりました。
マイペースな発達障害グレーゾーンの子でも、本人にとって楽しいことであればキビキビ動けるんですね。
つまり、のんびりゆっくり遅いときはあんまり気分が乗っていないということです。
子どもの気分や子どもの社会は日々変わります。子どもを取り巻く状況と脳の成長に合わせた声かけをしてみてください。
できていることに注目し、苦手なことはやりやすいようにアシストしてあげてください。

発達障害グレーゾーンの子どもの脳の凸凹が分かれば、お母さんのイライラも減ります。何から取りかかればいいか分かるから、子どもの気持ちも穏やかになります。
子育ての軸を持って笑顔で子育てしたい方は、ぜひお試しくださいね!
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執筆者:小沢月子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)