発達障害・グレーゾーンの小学生の子どもが不登校になってしまった!「このまま引きこもりになってしまったらどうしよう」と心配ですよね。大丈夫です!引きこもりにさせないための対策として、ご家族がお子さんの一番の『協力隊』になってあげましょう。 |
【目次】
1.発達障害・グレーゾーンの子は不登校や引きこもりになりやすい!?
2.不登校と引きこもりってどう違うの?
3.発達障害の引きこもり防止対策は家族が一番の『協力隊』になること!
①不登校を認める
②休息させる
③家族のサポート機能をアップする
④社会的な場に参加することを支援する
1.発達障害・グレーゾーンの子は不登校や引きこもりになりやすい!?
全国的に今年は新型コロナの影響で短い夏休みとなっているところが多いようですね。
1学期もコロナ対策として新しい生活様式が取り入れられ、なかなか思うように友達ができないまま夏休みに入った発達障害・グレーゾーンの子もいるかもしれません。
そして疲れもとれないうちに、また学校が始まる…。
また、コロナもなかなか落ち着かない不安などで行きしぶりが見られる、ますます家にこもってしまうなど、不登校の心配をしておられるご家庭も少なくない現状。
「このまま引きこもりになったら…」と思われている方もいらっしゃることでしょう。
日本では『8050問題』と言われている問題がありますが、ご存じでしょうか?年金暮らしの親世代(80歳代)が中年世代(50歳代)の生活を支えているという問題です。
その背景には『引きこもり』があります。引きこもりという言葉が1980~90年代に若者の問題として挙げられていました。
その若者たちが今50代となり、生活すること自体が困難になってきている状態です。 生活が苦しいことと介護が同時に起っていて、問題視されているのです。
実は、その中に学齢期に適切な支援を得られなかった発達障害・グレーゾーンの人が多くいるということが明らかになっています。
特に、自閉症スペクトラムで比較的障害の程度が軽く、一見障害があるように見えない子が、家族も本人も気が付かずに不登校から引きこもりになるケースが多いようです。
また、学校には叱咤されてなんとか通っていても、その後の社会での挫折から引きこもりに至るケースも多いです。
いずれにせよ、引きこもりに至るまでに家族は叱り続け、互いに疲れ果て、結局親子のコミュニケ―ションが悪循環となっていることが多いのです。
そのため、引きこもりとなってからは会話をすることも困難だったり、改善する見込みが持てないまま何十年も経過したりしてしまいます。

自閉症スペクトラムは、
・対人関係が苦手
・マイペース
・切り替えが苦手
・新しい環境が苦手
・感覚が敏感
などの特徴から、学校との相性があまり良くない場合があります。
自分の世界に入ってしまいやすいので、なおのこと、引きこもりになりやすい傾向があります。
つまり、中年期を過ぎた現在まで引きこもっている方たちで小学校時代に行きしぶりや不登校だった場合、もし適切なサポートと対策があったら、ここまで多くの方が引きこもらずに済んだかもしれない、ということなのです。
2.不登校と引きこもりってどう違うの?
よく「不登校・引きこもり相談」と一括りに語られて支援対象となっていることがありますが、各々のケースによって、似ている場合もあれば全く質の違う場合もあります。
文部科学省では、不登校とは
「なんらかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景によって、登校しない、あるいはしたくともできない状態にあるために、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」
と定義しています。
また引きこもりは、
「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅に引きこもっている状態」
で、不登校に加えて家族以外との交流がないままに長い期間自宅にいる、という状態を指します。
不登校になると自信をなくしてしまい、「公園やコンビニに出かけるのも避けたい」と感じる子どももいます。
一方で、不登校でも放課後は外で楽しそうに遊んでいて、一見悩んでいる様子が見られない子どももいます。

発達障害・グレーゾーンの子は、多かれ少なかれ集団が苦手な特徴があります。
だから、周りの対応次第では不登校から一気に引きこもりの階段を上ってしまうことは容易に想像できますね。
ですから、何かしらの形で社会とつながれているかどうかが重要になります。すなわち「不登校でも引きこもりにならない」ことが対策のポイントなのです。
3.発達障害の引きこもり防止対策は家族が一番の『協力隊』になること!
どんな個性をもっていても、自分の大切な子ども。
人生の中で思いがけないことがあったり、はたまた不登校になったり引きこもりになったりしても、できればよい形で付き合っていきたいですよね。
発達障害・グレーゾーンの小学生の不登校を引きこもりにしないためには、家族の協力が不可欠です。
①不登校を認める
②休息させる
③家族のサポート機能をアップする
④社会的な場に参加することを支援する
という対策が必要になります。
①不登校を認める
発達障害・グレーゾーンの子どもが不登校になったとき、多くの親御さんは
「子育て間違えたかな」
「子育てを失敗ししてしまった」
と自分を責め、それを挽回しようと必死になり、力づくで学校に行かせようしがちです。
うちもパステルボーイのわが子が不登校になったとき、わたしは彼のパステルの特徴を少しは理解していたつもりでした。
が、それでも動揺し、親として冷静さを保つのは難しく、なんとかしようとしたものです。
しかしこれでは子どもは、すでに疲れ切っているのに家族からもガミガミ言われ、さらに疲れ果てていく…という悪循環をたどってしまいます。
親の葛藤があるのは自然なことですが、ガミガミ言ったところで不登校、まして引きこもりの道に至るのを解決することはできません。
不登校になった場合、早い段階で子どもの状態をしっかり把握し、学校との相性や負担感を理解できたご家族は、叱責しても無駄だということがすぐに理解できると思います。
「不登校でも仕方ないか」
「不登校に向き合うしかないか」
「不登校でもいいか!」
と、考え方を切り替えることが対策の第一歩です。そうはいっても、自分の考え方を切り替えることは、決して簡単ではありません。
でも、すぐに切り替えられなくても大丈夫!ママやパパもゆっくり時間をかけてサポーターになっていきましょう。
②休息させる
発達障害・グレーゾーンの子どもは、学校でも家でも苦手なことへの指導やしつけを受けていることが多く、不登校に至るまでに自信をなくしていることも少なくありません。
自信をなくしていないように見える子どもでも、学校の環境そのものと相性が悪い子もいるため、学校にいるだけでストレスを受けたりしんどくなってしまう子もいます。
彼らを理解するためには不登校という選択を尊重し、疲労や負担にまず寄り添うことです。
不登校の初期は、
・固まって動けない様子を見せる子
・好きなことに没頭してさぼっているように見える子
・パニックになって怒りっぽくなり荒れる子
などいろいろな子がいますが、みな疲労感からのSOSです。
まずはゆっくり休ませてみましょう。好きなことをたくさんするも良し、寝てみるも良し。
ストレス解消について本人と家族で話し合い、家族も納得のできる形を一緒に相談してみましょう。
③家族のサポート機能をアップする
「不登校を認め、休息しても良い」という状況を作ることは、一人の家族のみの協力よりも、家族全員が協力できた方が解決に結びつきやすいです。
家族間で関わりがばらばらになってしまうと、余裕のない状態の子どもはますます混乱してしまうのです。
家族全員が協力してくれる環境は、発達障害・グレーゾーンの子どもにとって安心できる心の基地になります。
それまでの家族関係がうまくいっていても、今一度、個性を含めたありのままの子どもの状態について家族全員で理解しましょう。
家族がサポートしてくれる存在だと認識すると、子どもも自分のことを語りだし、また家族からの投げかけにもきちんと答えるようになり、活動意欲が戻ってきます。
こうなってきたら、自信が回復してきている傾向だと判断できますね。
④社会的な場に参加することを支援する
自信が回復し、体力も戻ってきたら、自宅から一歩外の世界に繰り出すお手伝いをしていくという対策に切り替えましょう。学校復帰が可能ならそれで良いと思います。
しかし、そもそも学校環境との相性がよくないなど学校が苦手な場合には、フリスクールや適応指導教室など子どもと相談しながら個性に合った環境を選ぶといいと思います。
また、段階的な方がうまくいきそうなら、習い事でも、毎日の買い物でも、できそうなことから社会とのつながりを持てたら素敵ですよね。

小学生は脳もまだまだ柔軟なので、中学生以上と比べても、社会とつながるチャンスを持ちやすいと言われています。
得意な分野のつながりからで十分です。社会的な経験をつめるチャンスをものにするのに、ぜひご家族が一番の『協力隊』になってあげてください。
家族との良好なコミュニケーションが社会との懸け橋になること間違いなし!です。
焦らず、発達障害・グレーゾーンのお子さんのペースでやっていきましょうね。お子さんの未来は明るいのです!
執筆者:ちとせ あん
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)