「空気が読めない」と言われるグレーゾーンの子どもは困った子と見られがちです。ですが、それは世の中の「普通」から少しズレているだけ!グレーゾーンの子どもには空気が読めることよりも、もっと大切なことがあります!その力をつける方法をお伝えします! |
【目次】
1.「空気が読めない」グレーゾーンの子どもは困った子?
うちの子、なんだか「空気が読めない」ような気がすると心配されていませんか?
・話がうまくかみ合わない
・暗黙のルールがわからない
・本音と建前の区別がつかない
・黙っておくべきところで発言してしまう
このようなことに心当たりのある方は、大人でも子どもでも「空気が読めない」と言われます。
空気が読めないことで、周囲からは「困った子ども」という目で見られてしまいがちです。
では「空気が読めない」ことはそれほど悪いことなのでしょうか?逆に、空気を読むことがどれほど必要なことなのでしょうか?
私は、空気が読めることだけを「よし」とするステレオタイプな枠に子どもをはめ込んでしまうのは、少し違うと感じています。
空気が読みにくいグレーゾーンの子どもに空気を読めるように訓練するよりも、生活していく上でもっと大切なことがあると思っています。
我が家の話をさせてください。
先日の息子の習いごとであるサッカーの練習中のことです。
いつもの練習をしていたのですが、クラブのメンバーのほとんどが集中できておらずだらだらとした動きでした。
見かねたコーチが全員を呼び出し、話が始まりました。
「このままの状態では練習にならない。できなくてもいいし下手でもいい。でも、一生懸命やることはできるんじゃないのか?それができないのなら辞めてくれていい!」
と、みんなの前で話されました。
その場がピリリと緊張した雰囲気になりました。
皆さんが、その立場に立ったらどのような返答をしますか?
「すみませんでした!これから心を入れ替えて頑張ります!」
おそらくこれが模範解答でしょう。
コーチの発言は、子どもたちが反省した上で頑張る決意をしてほしいために言った言葉ですよね。
ですから、「すみませんでした!」という模範解答は、空気を読んでの発言と言えます。
ですが、息子はなんと!
「俺辞めます!」
と手をあげて発言したのです。しかも堂々と!
「え!?」となりますよね!
息子の空気が読めない一言で、一瞬その場の空気が凍りついたのは事実です。
ですが、私は誇らしく感じました。
自分の意見が言えること、それは空気を読むことよりも大切なことだと感じたからです。
息子が自分の意見を言えたことに、感心しました。
以前の息子なら言えなかったことです。
では次に、空気を読むことよりも大切なこと、発達障害・自閉症スペクトラム症傾向の子どもが備えるべき力についてお話ししていきますね。
2.空気を読むことよりも備えるべき力!
発達障害の中でも自閉症スペクトラム(ASD)の特性として挙げられることに大きく2つあります。
1つが、こだわりの強さです。
特定の物ごとやルールにこだわりがあり、自分の関心ごとややり方を全うしたいという気持ちが強くでる傾向があります。
こだわりは人により異なりますが、何かをするときの手順が同じでないといけなかったり、勝ち負けに執拗にこだわったり、特定の物への執着が大きかったりします。
もう1つが、対人関係を調整することの難しさです。
いわゆるコミュニケーションに関して難しさを感じているということで、「空気が読めない」のはこちらの特性によるものです。
・相手と視線が合いにくい
・自分からの一方的な発信
・相手を思いやる発言ができない
・言葉数が少ない
・自分の気持ちをうまく表現できない
このような特性が多くの方にあり、外に発信をしにくいという特徴を持っています。
このようなことから「空気が読めない」と言われるのです。
これらの特性から、自分の気持ちを表現する力・伝える力をつけていくことは本人にとってとても難しいことです。
ですが、同時にとても重要なことなのです。
この表現する力・伝える力をつけることは困ったことを解決する糸口となり、結果的に子ども自身を守ってくれることになります。
どういうことかわかりますか?
例えば、一度にたくさんのことを言われるとキャパオーバーになり頭が真っ白、どうしたらいいのかわからなくなってしまい結局何もできなかった。
例えば、良かれと思って発言したことが相手に誤解を与えてしまい、いじめられそうになった。
このように、発達障害・グレーゾーンの子どもはその特性により日常生活で困りごとが出てしまうことがあります。
そのような時に
「1つずつ話してくれるかな」
「こういう理由で言ったんだ」
「苦手だから助けてほしい」
「わからないから教えて」
このような言葉を発信できたなら、相手はこちらの気持ちを理解してくれようとしてくれるはずです。
本当に困ったときには、周りのクラスメイトや先生にも助けを求めることができます。
外に自分の気持ちを表すことで、結果的に自分自身を守ることができるのです。
・自分の気持ちを言葉で表現する力
・相手に言葉で伝える力
この2つの力を備えておけるかどうかがカギなのです。
3.表現する力・伝える力を身につけるために家でできる方法
グレーゾーンの子どもにとって最も大切なことは「お家での安心できるお母さんとのコミュニケーション」です。
お母さんとのコミュニケーションを通して「話しが伝わるってとっても楽しいな」「コミュニケーションするとこんなに穏やかな気持ちになる」と子どもが思えるようにしていくことです。
そうすることで、自分の気持ちを表現する力・言葉で伝える力が身についていきます。
そのためにお家ですることをお伝えしていきますね。
♦︎共感して認めること
まずはお母さんがうんと子どもを共感して認めてあげてください。
子どもとの会話の中で
「ヘ〜、そうなんだね!」
「お母さんもそう思うよ」
「あなたの言う通りにしたらうまくいったよ」
このような言葉をかけてあげましょう。
これらの言葉は、子どもに自分が発言したことがお母さんにしっかりと届いているよというメッセージを伝えることができます。
お母さんからのメッセージを受け取ることで、子どもは安心感を得られます。
この安心感こそが自信の源になっていくのです。
♦︎褒めること
2つ目は褒めることです。
その際のポイントは2つです。
・具体的にほめる
・結果ではなくプロセスをほめる
ということです。
「最後まで集中して取り組んでいたね」
「今のお箸の持ち方きれいだね」
「先月より丁寧に書くようになっているね」
この褒める行為は、子どもの自信につながります。
この2つのことを日々続けていくことで、子どもは小さな成功体験を積み重ねていくことになります。
成功体験を積むことで自信につながり、今はまだ意見が言えない子も、次第に意見を言えるようになっていきます。
自分の意見が言えるようになったらしめたものです!
一般的には、人間関係を円滑に運ぶために空気を読むことは大切なことかもしれません。
ですがそれ以上にグレーゾーンの子どもたちにとっては、自分の意見を言えることがこれからの時代を生きていく上で非常に重要なことなのです。
親子のコミュニケーションの中で子どもに成功体験をたくさん積んであげていくことで、必ず社会で通用するコミュニケーション能力もついていきます。
子どもの持っている隠れた力をお母さんがどんどん引き出してあげましょう!
ぜひ参考にしてくださいね。
執筆者:今村裕香
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)