せっかく新しい環境に慣れたと思ったらもう進級の季節。発達障害の子どもの進級は不安だらけ。特に1年を共に過ごす先生は、学校生活の良し悪しを左右する大きなポイント。お母さんの対応で、ASD・ADHDの子どもの不安が解消できるかもしれません。 |
【目次】
1.ASD・ADHDなど発達障害の子どもの進級は先生との相性が気になる!
4月から学校生活を頑張ってきて、やっと先生やクラスに慣れてきたなぁと感じていたのにもう3学期。 またひとつ上の学年に進級しますね。
自閉症スペクトラム(ASD)・注意欠陥多動障害(ADHD)など発達障害の子どもたちは環境の変化にとっても敏感。新しい環境の良しあしがダイレクトに心身の状態に現れます。
だからお母さんたちは、子どもが進級したあとの生活をあれこれ考えては不安になりますよね。
この時期にお母さん同士でよくやりとりする会話で多いのは、やっぱり
「次の担任の先生は誰になるんだろう?」
ではないでしょうか。
お母さんとしては、少しでもお子さんが安心して学校生活を送れる先生が担任になってほしいですよね。

「でも担任の先生って、学校が決めるんだから、お母さんがどうにかしたいと思っても無理なんじゃないの?」
たしかにそういう面はあるかもしれません。でも子どものためにできることって本当にないのでしょうか?
もしかすると、勇気を持って動くと何かが変わるかもしれませんよ。
今回はわが家の息子の小学校1年生から2年生への進級の様子をご紹介しますね!
2.「自分を責める人」から「安心できる人」へ変わった先生の存在
私の息子は自閉症スペクトラム(ASD)の診断を受け、現在支援級に在籍しています。
小学校1年生、初めての小学校生活で担任になってくれた先生は、子ども目線でものごとを進めてくれる先生でした。
参観日や懇談でも、同じクラスの上級生やお母さんたちが担任の先生をとても信頼している様子が分かり、わたしは「いい先生が担任になってくれてよかった」とホッとひと安心していました。
ところが、学校から戻ってきた息子が徐々に被害妄想的な発言をするようになりました。
「今日は先生に〇〇で怒られた」
「先生が〇〇をしてはいけないと言った」
「自分は責められるようなことをしていないのに、先生が責めた」
先生はけっして息子を責めたことはなく、むしろ息子の特性に配慮しながら言葉を選んで伝えてくれていたのですが、初めての人に心を開くまでにとても時間がかかる息子には警戒心があり、先生の言葉を自分が責められているように受け止めてしまったのです。
同時に学校への行き渋りも目立つようになり、2学期は親子ともにしんどい時期でしたが、担任の先生が常に息子の気持ちを受け止め、息子の気持ちを優先する対応をしてくれました。
その結果、息子の心に先生への信頼感が少しずつ芽生え、被害妄想的な受け止め方や行き渋りが減ってきました。

それなのに、やっと学校生活を楽しめる日が増えてきたと思っていたらもう冬休み。あっという間に進級のことを考えなければいけない時期になりました。
でも、せっかく先生に心を開き、これから学校生活を頑張ろうという気持ちになってきた息子が、担任の先生が変わることでまた元に戻ってしまうことは避けたい。
そこで心配になったわたしは、2学期の個人懇談のときに思い切って先生に伝えてみたのです。
3.もしかしたら考えてくれるかも?切実さを伝えてみよう
冬休み前の個人懇談。 先生に2つお願いごとをしました。
・できれば2年生も同じ先生でお願いしたい
・クラスのメンバーはあまり変えないでほしい
とても勇気がいりました。
学校には息子以外にもたくさんの生徒がいて、みんなの希望を聞いていたらとんでもないことになることは分かっていたからです。
でも、先生が変わることは息子にとってとても切実な問題でした。
・担任の先生がまた変わることで息子が感じる困りごと
・生活に及ぼす影響 ・変わらないことで期待する効果
小学校入学から個人懇談までの息子の心の動きや困りごとを振り返りながら、必死で説明しました。
学校へ切実さが伝わったのか、2年生は希望通り、同じ担任の先生、あまり変わらないクラスメンバーでスタートすることができました。
気心の知れた先生やクラスの友達との1年間は行き渋りもほとんどなく、難しいことにもチャレンジする気持ちが芽生え、勉強や学校行事にも意欲的に取り組むことができました。
先生とは日ごろから息子の家での様子、学校の様子について密に連携をとっており、困りごとの対応方法などの相談を通じて、どんな環境が息子にとってよいのかを共有していたことも、希望が通った一因かもしれません。

わたしの場合は、担任の先生に伝えましたが、担任の先生に言いにくい場合や、教頭先生など上の先生に伝えないといけない場合もあると思います。
お願いしたからと言って、すべての希望が受け入れられる保証はありません。 でも、伝えてみる価値はあるのではないでしょうか。
子どものために一番動いてあげられるのは、お母さんです。
新年度が始まるまで残りわずかですが、まだ間に合います!
先生と一緒に進級したいお子さんをお持ちのお母さんはぜひ勇気を出して動いてみてくださいね。
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執筆者:宮千明
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)