「やりたくない!」と、かたくなにスキーへの挑戦を拒否していた娘の経験から、発達障害がある子どもがスキーができるようになり成功体験にするために教え方よりも大切なことがあることがわかりました。スキー場オープンが早まりそうな今シーズン、ぜひ楽しいスキーの経験を子どもの成功体験にしていきましょう! |
【目次】
1.子どものスキー挑戦は教え方を調べるよりまずコッチ!
2.発達障害の子どもがスキーを拒否する理由
◆過去の失敗経験を強く記憶しているから
◆見通しが立ちにくい
3.発達障害の子どものスキー挑戦!教え方以前に大切なポイントは
◆ネガティブな記憶を上書きするポジティブな記憶
◆スキーができた未来にご褒美を設定する
◆楽しい記憶を作ることを最優先にする
4.スキーができた娘の成長と家族の団結に感動!
1.子どものスキー挑戦は教え方を調べるよりまずコッチ!
こんにちは!先週日本全国で大荒れの天気になり、一晩でたくさん雪が積もった地域も多かったようですね。
暖冬が続き、正月にスキーができないなんてことが続いた数年前までと打って変わり、昨年、今年とスキーや雪山の遊びを体験したい家族にとってはうれしい大雪!
ですが、昨年はコロナで家の中で過ごしていたご家族も多かったのではないでしょうか?
子どもに新しい経験をさせることって、成長にとってとても大切なことです。
ウインタースポーツは季節限定で、できる場所も限られているため、泊りで出かけられる冬休みがチャンスですよね!
我が家は夫がスキーが大好きで、冬は家族でスキーを楽しむのが定番です。
いつも娘の雪遊びとお兄ちゃんのスキーに、私と夫のどちらかがついて2組に分かれて遊んでいました。
甘えん坊の娘は「ママと一緒がいい!」というし、夫もスキーをしたいのでどうしても私が娘に付き添うことが多くなってしまいます。

スキーを履き替えることが面倒で大変なので、交代するのもおっくうになりがち。
「私が娘に付き合うからお父さんとお兄ちゃんはスキーに行っておいで!」と言いがちになるのです。
すると今度はお兄ちゃんが不満を溜めてしまいます。
滑り始めのうちはお父さんと楽しく滑っているのですが、お兄ちゃんもお母さんとスキーを滑りたい気持ちがあるのです。
お母さんが妹ばかり相手していて見てくれない、自分も上手に滑っているところを見てほしいといった気持ちがあるのかもしれません。
だから交代するのが面倒でも最後に必ずお兄ちゃんと滑っていました。
みんなが一緒に滑れたらラクになるし、時間も目いっぱい使えるしもっと楽しいだろうな、と常々思っていました。
せっかく家族で来たんだから早くみんなで一緒にスキーを楽しみたい!
ならば、娘がスキーをできるようになってもらいたい!と考え、今年は娘にスキーをやってみることを持ちかけました。
ところが娘は「スキーなんて絶対やらない!」というのです。
今年はスキーができるだろうと期待して一生懸命にネットで検索して教え方やスキー場の情報を調べていた夫も拍子抜け。
いったいどうしてかというと、実は過去に失敗経験があるのです。
2.発達障害がある娘がスキーを拒否する理由とは
娘は現在小学三年生で発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)傾向があり、少々知的に遅れもある子です。
娘がかたくなにスキーの練習を拒否する理由ってここにあるのかな?と私が考えてみたことをお伝えしますね。
◆過去の失敗経験を強く記憶しているから
実は一度、保育園の頃に娘のスキーデビューを試みましたが失敗しています。
キッズスクールに入れてみたのですが、うまくいかなくて嫌になり泣いて途中でやめる結果になってしまいました。
その経験が、娘にとってスキーをすることがネガティブなイメージとなって残ってしまったのです。
娘は新しい環境が苦手な上、集団の中で周りについていけず、理解も追い付かないことがあっただろうと思います。
私自身も当時は娘の発達障害にまだ気が付いておらず、娘の特性が分かっていなかったのです。
発達障害の自閉症スペクトラム傾向がある子どもは、不安が強くネガティブな記憶を強く残しやすい特性があります。
一度失敗した経験があればなおのこと、スキーに対するネガティブな記憶が残ってしまったでしょう。
そのうえ不安が強い特性があるので、「できない」「怖い」と挑戦する気になれないのです

◆見通しが立ちにくい
発達障害の子どもは見通しが立ちにくい特性もあります。
これを行うとどうなるのか、どのくらい時間がかかるのか、想像力を働かせるのが苦手なため先の見通しが立ちにくいのです。
大人は様々な経験がありますから、経験から想像ができて見通しが立ちやすいですよね。
ですが、子どもで経験が少ないうえ、発達障害の特性でさらに見通しは立ちにくいのです。
娘は過去に
「スキーが楽しくなかった」「できなかった」
という失敗経験を強く記憶に残しています。
どのくらい練習したらできるとか、スキーができると何がいいのか、見通しがつかないこともあるのでしょう。
いくらこちらが口で「スキーは楽しいよ」「できるようになるからやってごらんよ」と言ったとしても、過去の失敗経験の記憶を強く持ってしまっているので、なかなかスキーをやる気にはならないのです。
そこで、娘の発達障害の特性があっても、さらには過去の失敗経験があってもそれを乗り越えて挑戦する気になるように対応を考え、実行したことをお伝えしますね!
3.発達障害の子どものスキー挑戦!教え方以前に大切なポイントとは?
私は娘がスキーに挑戦する気持ちになるように作戦を立てて実行しました。
教え方以前に大切なやる気を出すポイントをお伝えしますね!
◆ネガティブな記憶を上書きするポジティブな記憶
まずは、小さい子どもたちが楽しくスキーをしている動画を見せました。
動画を一緒にみながら
「これできたら楽しそうだね!」
「自転車で坂道を猛スピードで降りるのが好きだからスキーも楽しいよ。」
「自転車と違ってスキーは下が雪だから練習で転んでも痛くないよ。」
と話しました。
発達障害の子どもの多くは視覚優位という特性があるため、耳で聴くより目で見たものの印象が強く、記憶に残ります。
だから、他の子が楽しくスキーをしている動画を見せて、スキーって楽しそう!と感じてもらいスキーに対しポジティブな感情が記憶に残るようにしました。
また、動画を見せながら、自分が自転車に乗れた成功体験を思い出すように話をしました。
「自転車を練習したときも、何度も転んだけど最後はできるようになったよね!」
「スキーの練習は自転車の練習に似ているんだよ。自転車に乗れたならスキーはできるよ!」
過去にスキーがうまくいかなかった経験を「スキーって楽しそう」という良い記憶に上書きし、「私もやりたい!できそう!」と思えるようにしました。
◆スキーができた未来にご褒美を設定する
スキーが滑れたら、こんないいことがあるよ!と未来にご褒美を設定することです。
娘は「リフトに乗ってみたい」「上にいったら何があるの?」と言っていました。
子どもにとってリフトはとっても楽しそうで魅力的な乗り物ですよね。この先には何があるんだろう?そんな好奇心もあります。
しかし、そりではスキー用のリフトには乗れません。
だから、
「スキーができるようになったらリフトにも乗れるんだよ!」
「みんなで一緒にリフトに乗れたら楽しいだろうね!」
「お母さんも○○ちゃんと一緒にリフトに乗れるの楽しみだな~!」
と声をかけ、
「スキーができたらリフトに乗れる楽しい未来が待っている」という見通しを立ててあげたのです。
これは見通しを立てると同時に、スキーができたら「リフトに乗れる!」と言うご褒美が先にあることになります。
発達障害の子どもはがんばった先にご褒美があるとがんばれることがあるのです。
これって大人だってそうですよね!なにか楽しいことやいいことがあるからがんばれるんですよね!
こうして娘はスキーをやる気になって、自分から「私、今年はスキーをやる!」と言ってくれました。
◆楽しい記憶を作ることを最優先にする
今回のチャレンジは、前回の失敗から、楽しい記憶を残すことが一番の目的であることを夫とも確認しました。
それで大事なのは
・子どものペースに合わせること
・最終的にスキーができなくてもいいから、楽しい記憶にする
ということです。
娘のペースを守るために今回はスクールに入れずに、夫が娘にスキーを教えることにしました。
夫もあらかじめ、子どもへのスキーの教え方を調べて準備しました。
娘が疲れてきたらすぐに休むことにして、休憩のたびに好きなものを食べさせたり、スキー以外でもやりたいことがあればそちらを優先にすることにしました。
もちろんスキー中はしっかり褒めて楽しく練習できるようにしました。
スキーができるようになることを目的にしてしまうと、雪だるまを作りたい子どもに
「スキーに来たんだからスキーをしようよ!」
などと言ってしまいがちですよね。
そうではなく、スキーの練習をやめて雪だるまを作ってもいいから、とにかく娘が楽しむことを優先にすることにしたのです。
こうして、娘は2泊3日のスキー旅行でスキーの練習をがんばりました!

4.スキーができた娘の成長と家族の団結に感動!
今年はスキーをやる!と決意した娘は、このスキー旅行の期間中に家族でリフトに乗ってスキーを楽しめるほど上達しました!
娘は楽しくて「ヒュー!」と声を出して、何度もリフトに乗っては滑り降りるを繰り返していました。
ここまで滑れるようになるため、よくがんばっていました。
娘は何度転んでもやめると言わず、泣いてしまっても何度も立ち上がってがんばっていました。
夫もしっかり教え方を工夫していました。
良かったところやできたところをこまめに褒めて娘を指導し、お兄ちゃんも夫の右腕としてスキーを運んでくれたり、娘に声をかけてくれたりして、妹の上達を応援してくれたのです。
娘の成長はもちろんですが、家族それぞれの成長や団結もしっかり感じられた家族の感動の体験となりました。

いかがでしょうか。
ここまで我が家の経験をお伝えしてきました。
今年は雪も多いので、春まで滑れるスキー場もたくさんあるでしょう。
また、スキーでなくても密を避けられる屋外のスポーツを家族で楽しむと、子どもの発達を促しながら、家族の絆も強くできますよ。
私の経験が皆さんの子育ての参考になればうれしいです。
朝からゲームしちゃう子どもの気持ちって意外なところにあるんです。
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執筆者:笹原みらい
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)