褒めるだけが肯定的な注目ではない
発達障害・自閉症の子どもの言葉を増やすためには、子どもを認める肯定的な関わりの中で脳の発達を促す声かけをするのが重要だと『ことばが遅い自閉症児のおうち療育』(今川ホルン著、パステル出版)の著者は語ります。
『ことばが遅い自閉症児のおうち療育』
ですが、「褒めましょう」と言われても一体どこをどう褒めればいいのかわからず、戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。知的障害のある自閉症の子は日常の生活動作が周りよりもゆっくりなので、ママやパパもわが子の「できない」ことに注目してしまいがちだからです。
そんなとき「褒めるだけが肯定的な声かけではない」ということを知っておいてください。ここで使ってほしいのが「実況中継」です。
子どもがしていることに注目する実況中継が言葉の発達を促す関わりになる
子どもが今していることに注目して、見たまま実況中継するだけで、子どものしていることを認めて寄り添う肯定的な声かけになります。自分は褒めるのが下手という方でも、抵抗感なく使えるテクニックです。
「食べているね!」「座れているね!」など、明るく笑顔で実況中継してください。慣れてきたら、実況中継に「褒めことば」を付け加えていきましょう。「いいね、大きい声が出ているね!」「着替えられたね、かっこいいね!」といった具合です。
どう褒めていいかわからず悩んでいたママやパパが実況中継をするだけで、子どもはママやパパが自分のしていることに注目し、認めてくれていると感じられます。
最初はあまり反応が感じられなくても大丈夫です。「今は子どもの脳が処理しているんだ」と捉え、反応のあるなしに一喜一憂しないで笑顔で実況中継を続けましょう。
褒めると怒る子どもにも実況中継は効果あり
「褒めると怒ってしまう子にはどうすればいいの?」という悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
褒め言葉を素直に受け入れられず、怒ってしまう子どもは一定数いるので、「上手だね」と言われても「上手じゃないもん」と否定する子もいるでしょう。それは、褒められることに慣れていなかったり、褒め言葉を嫌みと捉えてしまっている場合が多いです。
褒められるのが嫌いな子どもを無理に褒める必要はありません。最初は実況中継のテクニックを使って、肯定的な声かけを増やしていきましょう。次第に素直さが増し、自然と褒め言葉を受け入れられるようになっていきます。
今川ホルンさんの著書『ことばが遅い自閉症児のおうち療育』には、実況中継を使うことで、自閉症の子どもの言葉が発達した事例も掲載しています。