発達障害グレーゾーンの発達支援には、子どもの発達を遅らせる発達支援があります。苦手なことや、遅れていることを訓練しているのにうまくいかないポイントを、吉野加容子さんの著書より抜粋してご紹介します。
脳の発達の順序を考慮しない支援は効果が出るまでに膨大な時間がかかります
漢字が書けないから、漢字練習をさせる。いつも一人で遊んでいるから、集団活動をする習い事をはじめる。言葉が出ないから、言葉のカードを使って訓練する。こういった苦手を直接つつくような取り組みは、ほとんど結果が出ません。結果が出たとしても、子どもに大きなストレスがかかるので、別の問題が出てくると『非常識なおうち発達支援』(吉野加容子著、パステル出版)の著者は語ります。
『非常識なおうち発達支援』
問題が起こってから対応しても、入れ替わり立ち替わり問題が起こり続けます
問題を後追いで対処しようとするのも、効果が出にくいやり方です。状態が落ち着いているときに何もせず、問題が起こったら専門家に相談するやり方では、そもそも脳が発達しません。
発達障害に治療法はありません。脳を発達させることが最良の解決策なのですから、問題が起こってから、その場しのぎの対応を講じて状況を取り繕っても一向に脳は伸びず、入れ替わり立ち替わり問題が起こり続けます。
脳が育つ順番に沿って、土台から育て直す
どんなに一生懸命にやっても効果を出せないのは、脳が育つ順番を知らないため、支援する順番を間違ってしまうからです。
例えば、聞くことや話すことを習得する前に、読んだり書いたりできる子はいません。これは、脳が発達する順番が決まっているからです。聞くことや話すことを、ママとの会話の中でどんどん上達させていけば、読み書きのベースとなる力を蓄えていくことができるのです。
脳が育つ順番に沿って、土台から育て直していったほうが、結果的には早く発達を進ませることができます。また、脳を土台から育て直すことで、これから起こり得る問題を未然に防ぐ、発達支援に切り替えることもできます。
発達の問題は、予想がつかないものではなく、むしろ、知識があれば予想がつきやすいものです。「今はあまり困っていない」から対応を先送りにするのでなく、できるだけ早く、あまり困っていないうちに脳の発達支援をスタートさせることが、将来的な問題を予防することに繋がります。
吉野加容子さんの著書『非常識なおうち発達支援』には、お母さんが発達支援を始めたことで子どもが発達した事例も掲載しています。