妊婦さんに知ってほしい!日本と何が違う?フィンランドのインクルーシブ教育から学ぶ親の在り方

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「インクルーシブ教育」という言葉を聞いたことはありますか?あまり馴染みのない言葉ですよね。この記事では、インクルーシブ教育とはなにか?子育てしやすい国ランキング上位のフィンランドから学べることを、妊娠中のプレママ・パパ向けにお伝えしています。

1 インクルーシブ教育とは?

 

「インクルーシブ教育」という言葉を聞いたことがありますか?

 

これは、子どもたちが、性別や人種、障害の有無、家庭の背景などにかかわらず、同じ学校で平等に学べるようにする教育の仕組みのことを指しています。

 

すべての子どもが、自分のペースで学びながら、お互いに理解し、サポートし合うことを目指している教育です。

 

インクルーシブ教育は、子どもが小さいうちから「違いを尊重する」ことを自然に学べる環境を整えるために重要な役割を果たす、と言われています。

 

2022年、日本は、国連から分離教育を止めるように勧告がありました。

 

この「分離教育」とは、難病や障害のある子どもとそうではない子どもを切り離し、別々の環境で教育する仕組みのこと。

 

障害のある子どもにとって、人生経験や人間関係、社会経験の機会を奪ってしまう可能性があるからです。

 

日本では、2006年に学校教育法が改正され、2007年4月から「特別支援教育」になりました。

 

それまでは、特殊教育とされていたものの名称が変わった、というのがわかりやすいのではないでしょうか。

 

養護学校は「特別支援学校」に、障害児の在籍するクラスは「特別支援学級」に、障害児保育が「特別支援保育」となりました。

 

名称が変わっただけでなく、知的な遅れのない発達障害も対象になるなど、大きく変わりましたが、分離教育は続いています。

 

これから生まれてくるお子さんがどんな社会や環境で成長していくのかを知ったり、考えることは、プレママにとっても大切なことなのではないでしょうか。

 

インクルーシブ教育について、子育てがしやすい国ランキング上位のフィンランドと日本の違いから、

 

これから子育てがはじまるプレママ・パパが、今すぐ取り入れられることについて、一緒に考えていきましょう。

 

 

 

 

2 インクルーシブ教育のはじまり(日本・フィンランド)

 

フィンランド

 

フィンランドでは、「社会モデル」と呼ばれる考え方に基づいて、インクルーシブ教育が進められています。

 

社会モデルとは、障害や困難が個人の身体や心の問題だけでなく、その人が社会に参加できるように環境を整えることが大切だ、という考え方です。

 

フィンランドでは、何かに困っている子どもに対して、すぐにサポートを開始します。

 

特別なサポートを受けるのに、医師の診断や心理士の意見書は必須ではありません。

 

困りごとがある時点で、それが社会参加を妨げるサインとされるため、すぐに支援が始まるのです。

 

 

 

日本

 

一方、日本では「医学モデル」という考え方が根強くあります。

 

これは、障害や困りごとは個人の身体や心の問題であり、それを治療したり、訓練したりすることで社会に適応できるようにする、というものです。

 

日本では、特別な支援を受けるために、まず医師や心理士の診断が必要です。

 

ですが、その診断を受けるために、半年以上も待たなければならないこともあります。

 

たとえ子どもが今困っていても、診断が出るまで支援が受けられないのが現状です。

 

困っているのにすぐ助けてもらえない、というのは、親にとっても辛いことですよね。

 

フィンランドは、日本より後の2016年に障害者権利条約を批准しましたが、実際の取り組みは進んでいます。

 

日本が同じような体制に追いつくには、まだ時間がかかるかもしれません。

 

 

 

 

3 日本のインクルーシブ教育の現状〜保育現場でのエピソード〜

 

日本のインクルーシブ教育の現状について、私が働いていた保育園でのエピソードを一例としてお話しします。

 

私の住む自治体では、発達障害の診断を受けたお子さん、または、診断まではいかなくても、

 

発達に特性があり、個別の支援を受けた方が伸びると判断された場合、集団の中でも個別のサポートを受けられるようになっています。

 

共に過ごす、という意味では、インクルーシブ教育が行われていると考えられますが、その中身は、というと、

 

お子さんに1対1でのサポートではなく、子ども3人に保育士1人という基準がありその配置基準の中で、サポートしている状態です。

 

保育園の保育士の配置によっては、受け入れられる枠がなく、全てのお子さんが希望通りの保育園に入れるとは限りません。

 

また、クラス集団の数、配慮が必要なお子さんの特性のタイプなど、状況によっては、十分な支援が難しい場合もあると感じています。

 

保護者の発達障害への理解の度合いも人によって異なるため、周りの保護者の理解が得られずにトラブルになることがありました。

 

実際に私自身も、行事の後に、「あの子がいたせいでリレーが負けた」「あの子が出たせいで、うちの子の発表の出番が減った」という声をいただいたことがあります。

 

同じクラスの仲間として、数年共に過ごしてきたのに、理解が十分に得られなかったことがとても悲しく思いました。

 

子どもは悪くないのに、なぜこんな風にすれ違いが起こってしまうのだろう…と無力感を感じたエピソードです。

 

保育の工夫で乗り越えられることと、保育士の配置基準など、現場の保育士だけでは対応できないことがあること、

 

そして、発達障害がどういうものなのか、大人側の理解が十分ではないことで起きてしまう問題があるという課題を痛感しています。

 

では、私たち親ができることとは何でしょう?

 

 

 

 

4 私たち親が今スグできることを考えよう

 

国の制度が変わるのは、はじめにお伝えしたように、とても時間がかかることです。

 

ですが、制度が変わるのを待つだけでなく、できることはないのでしょうか?

 

保育士と、親の両方の立場を経験したからこそ、私たち親が、個人でできることがあると思っています。

 

それは、フィンランドのようにうまくいっている国から、考え方やモノの見方を取り入れていくことです。

 

「困りごとにできるだけ早く介入する」という考え方は、家族単位であれば、すぐに取り入れられることです。

 

介入する、といっても、その子自身を変えようとするのではなく、

 

「どうしてこの困りごとが起こっているのか?」身近な周りの環境を変える方法を考えることなら、難しいことではありません。

 

例えば、家の中のルールを少し変えてみたり、子どもへの関わりを見直すことも環境の一部です。

 

親である私たちが、子どもにとっての一番身近な環境ですから、まずは私たちから見方やルールを変えることで、子どもにとって過ごしやすい環境を作ってあげることができます。

 

環境を作っていく時に、大事にしたいのが、「社会モデル」の物の見方や捉え方です。

 

 

 

 

できていないことに注目するのではなく、今できることや、どうやったらできるようになるかに注目することです。

 

これは、子どもが生まれる前から、プレママが自分自身や、周りの人について考える時に注目する視点として、今すぐ取り入れられることになります。

 

発達障害の有無に関わらず、私たち親の物の見方や捉え方を考えていくことが、インクルーシブの考え方を子どもたちに伝えていく一番早い方法になると思っています。

 

妊娠中のプレママやパパが未来の子どもたちのためにできることは、思ったよりもたくさんありますよ!

 

 

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