宿題バトルでイライラの毎日
小学校に入るとお家でのミッションとしてのしかかってくるのが「宿題」です。
子どもがスッと取り組んでくれればいいですが、宿題をやらせることが大きな負担になっているお家も多いと思います。
私には注意欠陥多動性障害(ADHD)の小学生の息子がいます。
ADHDの傾向に加え、読み書きが苦手なため勉強への拒否感があり宿題はいつも後回し。
渋々やるならまだマシで、泣きながらやったり宿題のプリントをぐちゃぐちゃにしたりしてしまうこともありました。
叱ってやらせてもお互い嫌なので、あの手この手で楽しく宿題をやらせようとするのですがことごとくうまくいかず…結局最後には私が大爆発!なんてこともしょっちゅうでした。
「いつかこの宿題バトルから抜け出せる日が来るのだろうか…。」そんなふうに思っていました。
そんな私たち親子でしたが、私が宿題に対する「こうあるべき」「当たり前」を手放したことで息子は自分から宿題をやれるようになったんです。
この記事では、ADHDタイプの子が宿題を先延ばしにするワケと、宿題にスムーズに取りかかれるようになるママの対応をお伝えしていきます。

ADHDの子が宿題を先延ばしにする理由
宿題になかなか取りかかれないのには理由があります。
優先順位をつけるのが苦手
ADHDタイプの子は「今やるべきこと」と「後でやること」の優先順位をつけるのが苦手です。
そのため「宿題をやらなきゃいけない」と頭ではわかっていてもつい後回しにしてしまいます。
「目の前の楽しいこと」に意識が向きやすいのも特性のひとつです。
楽しいこと、おもしろいことに気が向いてしまうのは誰しもそうなのですが、ADHDタイプの子はこの切り替えが苦手でやるべきことの優先順位が下がってしまいがちなんです。
私たちの脳には「報酬系」と呼ばれる部分があり、「頑張ったら楽しいことがある!」と感じるとやる気が出る仕組みになっています。
ADHD傾向があるとこの報酬系の働きが弱いため、「宿題を終えたらスッキリする」という未来のメリットを想像するのが苦手なんです。
その結果、ゲームや遊びなどの「今目の前の楽しいこと」に意識が向きやすくなり宿題を先延ばしにしてしまいます。
宿題の難易度、量が合っていない。
学校では、みんな同じ一律の宿題が出ることが多いですよね。
ですが、その子にとって宿題の内容が難しかったり見通しがもてない量だったりすると毎日の宿題が負担になってしまいます。
「全員一律の宿題は百害あって一利なし」
これは児童精神科医の本田秀夫先生の言葉です。
「できた!」と、達成感を感じられる量や難易度は1人1人違います。
宿題がしんどい子は学校の授業でもついていくのに精一杯。十分頑張っているはずです。
それを家に帰ってきてまたやるんです。やる気が出ず、先延ばしにしたくなるのは当たり前です。
このように、子どもが宿題を先延ばしにしてしまうのには理由があります。
本人も「さっさとやった方がいい」と頭の中ではわかっていても取りかかれず叱れてしまい、困っているんです。

ママが「当たり前」を手放すと宿題はラクになる!
この章では、ママの当たり前を手放すことで、笑顔で宿題を終えられる対応を紹介します!
やり始めをサポートする
ADHDタイプの子に限らず人の脳は何かを始めるときにエネルギーを使います。
車に例えるとアクセルを踏むときに1番エネルギーを使うのと同じです。
ならば、アクセルを踏むのをママが手伝ってあげましょう!
・連絡帳などで今日の宿題を確認する。
・ランドセルからノートやドリルなど必要なものを出す。
・何からやるか決める
・机の上が散らかっていたら片づける
・ノートを開く
一言に「宿題をやる」と言ってもそれまでにはいくつかの工程をクリアしなければなりません。
これをママがやってあげて「あとは書くだけ!」状態にしてあげることで取りかかりのハードルをぐっと下げてあげることができます。
「そこまでお膳立てしないとやらないなんて甘えてる!」と、思われるかもしれませんが、苦手なことや嫌いな家事に置き換えてみてください。
例えば「お掃除が面倒!嫌い!」という人が掃除機をかけようかなと思ったときに、床に物が散乱していたらどうでしょう?
掃除機が奥の方に収納されていて取り出しにくかったら?面倒くささが倍増しますよね。
重い腰が上がりにくいですし、やっと動き出せても肝心の掃除機をかけるまでにエネルギーを消費してしまいます。
宿題も同じと考えて、取りかかるまでに必要な「面倒」なことは、ママが省いてあげましょう!

見通しがもてる量にする
もうひとつ大事なポイントは「これならがんばれそう!」と見通せる難易度や量になっていることです。
先生との相談も必要ですが、出された分は全部やることが必須かどうか、見直してみてください。
息子は始めは計算や漢字は出されたものの半分を目安にしていました。
「これだけ少なくしたんだからできるだろう。」「くれくらいはやってもらいたい。」そんな本音もありました。
ですが、これではまだまだ息子にとってはハードルが高くいきついたのは…「漢字は1文字1回、計算は3問」
「これならやろう」と見通しがもててやる気のスイッチが入りやすい量がこれだったんです!
少なすぎると思われるかもしれませんが、嫌々やっても頭にはほとんど入りません。
たとえ3問でも「笑顔でできた」その記憶が明日につながります。
このスタイルになってからは、以前よりも少ない声かけで時には自分でやるようになりました。
「もうやだ!」と、泣きながらやったりプリントをぐちゃぐちゃにしたりすることもなくなりました。
そしてなにより、毎日「今日も宿題頑張ったね!」とポジティブな気持ちで終わりにできるようになったんです。
「やるべきことをできる子になってほしい。」「勉強が遅れてしまうのが心配。」というママの気持ち、同じ親としてとてもよくわかります。
ですが、泣きながらやる宿題は効果が上がりません。
それどころか親子関係を悪くし、「勉強=嫌なこと」というネガティブな記憶を作ってしまいます。
ママの中の「やるべき」「甘やかしはNG!」という気持ちをいったん置いておいて、「できた!」というポジティブな気持ちを積み重ねる時間に変えることから初めてみてくださいね!