先生の話を「聞かない」のではなく「聞けない」ADHDキッズ
・子どもが学校で先生の話を聞いていない。
・聞いていなくていつも注意されている。
こんな様子が見られると、ママは心配になりますよね。
私は小学校の教員をしていたのですが、学校では先生が30人前後の子どもに一斉の支持を口頭で出すことが多いです。
話を聞き逃すと
・次にやることがわからない
・授業についていけない
などの困りごととなり、これが続くと「学校がつまらない」「しんどい」状態へと発展してしまうケースも。
なので「話はしっかり聞きなさい!」と言いたくなるのですが…もしかしたらお子さんは先生の話を「聞かない」のではなく「聞けない」のかもしれません。
私には発達障害・注意欠陥性多動障害(ADHD)の息子がいます。
息子は小学校に入学してすぐに、授業中の離席どころか教室から脱走、授業妨害、友達への暴力が続き、一瞬にしてトラブルメーカーになりました。
今ではすっかり落ち着いた息子ですが、本当にしんどく辛い時期でした…。
今振り返って思うのは、この困った行動は、集団の中で先生の一斉の指示が一度で理解できず、どうしていいかわからない息子の「助けて!」というアピールだったんです。
発達障害・ADHDの子が先生の話が聞けない理由
発達障害・ADHDタイプの子が先生の話が聞けないのは、ただ怠けているからではありません。
注意力のコントロールが難しい
ADHDタイプの子は、注意を一定の時間集中させることが難しい特性があります。
興味のあることには高い集中力を発揮するのがADHDの子の強みです!
その反面、興味のない話を長い時間聞くことが苦手です。
話している内容が自分にとってすぐに理解できない、退屈だと感じると、注意が別のことに向かいやすくなります。
衝動性・多動性
「頭に思い浮かんだことをすぐに行動に移したい!」というのもADHDの特性です。
頭の中が忙しく、先生の話を聞いていても、途中から連想ゲームがスタート!
集中が途切れ、話を聞き逃してしまいます。
音や刺激に敏感
音や視覚的な刺激に対して敏感な場合、周りの音や動きが気になって集中できないこともあります。
廊下を通った他のクラスの足音や、校庭で体育をしている声など、雑音を上手にスルーできず話に集中できなくなります。
こんなふうに、発達障害・ADHDの子は周りの状況に強く反応したり、自分の興味にすぐに引き込まれやすいため、話をじっくり聞くのが難しいんです。
これは本人にもコントロールが難しいことなので、いくら「聞きなさい!」と先生やお母さんが注意してもなかなかできるようになっていきません。
それどころか、「また叱られた…。」と自信をなくし、息子のようによくない行動へと発展してしまうこともあります。
叱ったり注意したりせず、集中しているときに「今しっかり聞けてるね!」とできている瞬間を褒めてあげながら、ママとのコミュニケーションで聞く力を伸ばしていくことが大切です。
聞く力の土台を作るママの習慣と先生との連携
聞く力は、①お家で伸ばして、②学校でも先生の話が聞けるようにしていくという順で伸ばすのがオススメです。
1クラスに30人いる教室の中での先生の指示は、「自分」に向けて話しているという意識になりにくいからです。
お家でママと1対1の会話で聞く力を育てることからスタートしていきましょう!
ここでは特別なトレーニングではなく、少し意識を変えるだけでできる方法を紹介します!
笑顔で名前を呼ぶ
「あなたに向けて話すよ!」と意識を持たせるため、「○○く~ん!」「○○ちゃん♪」と笑顔で明るく名前を呼んでから会話をスタートしましょう!
遠くからではなく、近くで話しかけることもポイントです。
ゆっくり話す
「聞いて理解する」までの時間は、当然大人よりも子どもの方がゆっくりです。
聞くことが苦手な子はなおさらですね。
脳は「わかった」ときにそのルートが太くなっていきます。
ゆっくりめのスピードで、ひとこと言ったら少し間を取り、子どもが聞いたことを理解するまでの時間をしっかり作ってあげてくださいね。
ママのほめ言葉で聞く耳を作る
「話を聞くといいことがある」ということを脳に覚えてもらいましょう!
お母さんが子どもに注意したり、小言を言ったりすることが多いと、「聞きたくない!」と耳はシャットアウト。
反対に、お母さんが小さなことでもたくさん褒めてくれると、お母さんの言葉は子どもにとって聞きたいものになり、耳が開いていきます。
「褒める」というと自信を持たせたり、自己肯定感を高めたりするイメージが強いと思いますが、聞く力を育てるためにも有効なんです!
お家での取り組みはぜひ担任の先生にも共有してください。
笑顔で優しく名前を呼んで、先生に注意を向けてから話をしてもらうことは、先生もすぐにできることです。
お家の人が一生懸命取り組んでいる姿は、「この子をなんとか伸ばしてあげたい!」という先生の気持ちを後押しします。
ママが先生を上手に巻き込んでチームになって、子どもが伸びる環境を作っていてくださいね!
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