学校では話せない場面緘黙の子が自分の気持ちを理解できるようになる方法

感情の育て方
場面緘黙症の子は、特定の場面で話せなくて、感情をうまく表現できなくて困ってしまうことが多い。これは、単に「話せない」という問題だけでなく、自分の感情を理解し、周りに伝えるという力が未熟なのかもしれません。自分の気持ちを理解することから始める「感情のラベリング」の方法をご紹介します。

自分の気持ちが分からない?!場面緘黙の子育てで鍵となる「感情のラベリング」

「今どんな気持ち?」とお子さんに聞いた時に、お子さんはどんな反応をされることが多いですか?

 

わが家の息子は、大体「分からない・・」といってました。

分からないってどういうことよ?・・って思ってしまいますが、ことば通り、感情が分からないのです。

 

つまり、緘黙のある子の中でも自分の感情を言語化できない子は割と多いのです。

 

場面緘黙であっても、そうではなくても、昔と比べてコミュニケーションの取り方が変わってきています。

 

例えば、今は、スタンプ一つで気持ちが伝えられてしまう・・。

 

つまり、感情を言語化することが昔と比べて確実に減ってきているということです

 

そして、場面緘黙のある子にとっては、微笑んだ表情ひとつだけでは、その裏に隠された「心情」を読み解くのは、相当難しいということも理解してほしいのです。

 

ところで、みなさんは、「感情のラベリング」という言葉を聞いたことはありますか?

 

「感情のラベリング」とは、自分が感じている「感情」に名前をつけることです。

 

例えば、「私は今、怒っている」とか、「少し不安を感じている」など、感情を言葉にすることで、感情を整理しやすくなるのです。

 

場面緘黙症の子にとっては、そういった感情を言葉で表現すること自体がハードルを高くしていることがあるため、まずは自分の感情に気づくこと、そして、それに適した言葉を見つけることから始めてほしいのです。

場面緘黙の子のコミュ力を伸ばす「感情のラベリング」

感情をラベリングすることは、自分を理解することに役立ちます。

 

感情を言語化することで、あいまいだった自分の気持ちが明確になって、不安や恐怖といった感情もコントロールしやすくなるメリットがあります。

 

そして、自分の感情に名前をつけることができるようになると、他者とのコミュニケーションもスムーズになりやすいのです。

 

つまり、自分の感情を理解すること、そして伝える力がつくことで、人間関係の中での安心感や信頼感が得られるようになっていくのです。

 

その経験のチャンスが得られるのは「感情のラベリング」なのです。

場面緘黙の子に重要な「感情のラベリング」実践方法

場面緘黙の子が感情を育てていくためには、感情のラベリングを実践してみましょう!

 

その実践方法を以下に記載しましたので、やってみてくださいね。

感情カードを使う

感情をラベリングするためのスタートとして、感情カードを使うことがおすすめ。

 

感情カードには「嬉しい」「悲しい」「怒っている」「不安」など、さまざまな感情の名前と表情が描かれたものを準備します。わが家では、キャラクターを子どもに描いてもらいました!

 

それを見ながら、自分の今の気持ちを選ぶことで、感情の名前に気づく練習ができます。

日記に感情を書き出す

感情のラベリングを行うもう一つの方法は、感情日記をつけること。

 

毎日自分が感じた感情を振り返り「今日は何を感じたか?」を一言でいいので書いてみる。

 

書くことが苦手な子は、絵や音楽で表現してもいいと思います。

 

「学校で緊張した」「友達と話せて嬉しかった」「発表があって不安だった」など、どんな小さな感情でも構わないのです。

 

自分の感情をアウトプットすることに意味があるので、少しずつ感情を把握していく力がついていきますよ。

 

質問形式で感情に気づく

ここまでは、自分で感情を選択する・書いていくということをお伝えしましたが、それでも、感情に気づくのが難しい場合は、こんなことをしてみるのがおすすめです。

 

質問形式で自分の感情を探ってみることです。

 

たとえば、「今、自分はどんな気持ちだろう?」「この場面で私は何を感じているんだろう?」と自問自答しながら、感情を言語化することです。

 

初めはうまくいかなくても、繰り返すうちに感情と向き合う習慣が身についてきます。

 

この質問法は、思春期を迎えた大きくなってきた子や大人に向いていると思います。

感情ラベリングを支援するアプローチ

場面緘黙症の人が感情のラベリングを練習する際には、周囲のサポートも大切です。お子さんが感情を表現しやすい環境を整えてあげて、次のようなアプローチを心がけましょう。

 

モデルとなる表現を示す

感情の表現が難しい場合、親がモデルとなって感情のラベリングを行うことです。

 

例えば、親が自分の感情を言葉にして伝える。

 

そうすることで、子どもも感情を言語化する方法を目の前で学ぶことができるのです。

 

「今日は仕事でちょっと疲れたけど、○○をして楽しかったよ」など、感情の名前とその理由を一緒に伝えることで、感情を言語化するスキルを自然と身につけることができます。

 

感情を肯定的に受け止める

感情を表現することに対して肯定的な反応を示すことも重要です。

 

お子さんが感情をラベリングしようとしたとき、「そう感じるんだね」と肯定的に受け止めることで、感情を表現することへの安心感を持たせることができます。

 

特に、ネガティブな感情に対しても否定せず全て受け入れる覚悟で聞くことで、感情を表現することへの恐怖感が和らいでいきます。

 

非言語的表現を尊重する

言葉での表現が難しい場合、絵や音楽、ジェスチャーなどの非言語的な方法で感情を表現することも認めましょう。

 

たとえば、感情を色で表現したり、絵を描いたり、身体で表現したり、音楽で表現したり・・

 

お子さんが好きな方法で、感情にラベルをつける練習を行えますので、非言語的から言語的な表現への橋渡しをして、感情のラベリングのスキルを伸ばしていきましょう。

 

場面緘黙症の人にとって、感情のラベリングは自己理解を深め、コミュニケーション力を育てる重要なステップです。

 

自分の感情を我慢してしまうのが得意な親御さんほど、感情のラベリングを親子で一緒に行うのがおすすめです。

 

少しずつ感情を表現する力を親子で育て、お子さんもママ自身も感情を育てていきましょう。

 

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