歯医者さんを嫌がる子どもへの接し方|我が家でうまくいったスモールステップの工夫

歯科受診
「歯医者さん、怖い!」発達障害グレーゾーンのお子さんの歯科受診に困っていませんか?嫌がる理由と、発達障害グレーゾーンの息子が安心して歯医者さんに通えるようになった、わが家の試行錯誤と小さな工夫をご紹介します。
 
 

1.発達障害グレーゾーンの子どもが歯医者さんに行きたがらない…お困りのママはいませんか?

 
 
発達障害グレーゾーンのお子さんを持つママなら、きっと一度は「歯医者さんに行きたがらない…どうしよう?」と悩んだことがあるのではないでしょうか。
 
 
一生使っていく大事なお子さんの歯。
 
 
毎日の歯磨きはもちろん大切ですが、3〜4ヶ月に1度程の定期検診も勧められていますよね。
 
 
しかし、いざ歯医者さんに行こうとすると、強い抵抗にあったり、涙を流して怖がったり
 
 
そんなとき、ママとしてはどうしても「このままで大丈夫?」と不安になってしまうことも。
 
 
定期検診や治療が必要なことは分かっているけれど、歯医者さんへの恐怖心を持っている子どもをどうやって連れて行けばよいのか、手がかりがなくて困っている方も多いかもしれません。
 
 
私も困っていた一人です。
 
 
「怖い!絶対ムリ!」と嫌がっていた息子が、今では自分から「いつ行くの?」と聞いてくれるようになった我が家の体験談をご紹介します。参考にしていただけると嬉しいです。
 
 
虫歯治療
 
 

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2.発達障害グレーゾーンの息子が歯医者に行けなくなった日

 
 
私の息子も発達障害グレーゾーンの特性を持っています。
 
 
ある日、学校の歯科検診で虫歯が見つかり、普段お世話になっている歯医者さんに行くことになりました。
 
 
でも、定期検診とは違い、治療が必要な「初めての虫歯治療」という体験に、息子はとても不安を感じたようです。
 
 
普段、診察台に座ること自体に特に抵抗はなかった息子が、その日は完全にパニックになり、診察室に入ることすらできませんでした。
 
 
優しい先生や歯科助手の方々が声をかけてくれたものの、息子は一歩も動こうとしませんでした。
 
 
結局、治療を始めることはできず、その日は何もせずに帰ることに…
 
 
その後も、歯医者さんに行くことをどうしても拒否する息子は、家を出ることすらできない日もあり、なんとか連れて行けたとしても、車から降りることができないまま終わってしまう…そんな日々が続きました。
 
 
「どうしてこんなに怖がるんだろう?」「こんなことで治療を受けられないなんて…」と、私もとても焦り、心配していました。
 
 
歯医者さんに行けないことがこんなに大変だとは思っていなかったし、どれだけ努力しても、息子を無理に連れて行くことはできませんでした。
 
 
何度も予約をキャンセルするたびに歯医者さんへの申し訳ない気持ちでいっぱいになり、「どうすれば息子は歯医者に行けるんだろう?」と悩みが深まるばかりでした。
 
 
イヤイヤ
 
 

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3.どうしてそんなに嫌がるの?発達障害グレーゾーンの子が歯医者さんを怖がる理由

 
 
発達障害グレーゾーンの子どもが歯医者さんを強く嫌がるのには、いくつかの理由があります。
 
 
一見すると「ただのわがまま」と思われがちですが、実はその背景には発達特性にともなう『感じ方の違い』があるのです。
 
 

◆「見通しが立たない不安」が大きなストレスに

 
発達障害グレーゾーンの子は、先の見通しがつかない状況に強い不安を感じる傾向があります。
 
 
歯医者さんでは「今から何をされるのか」「どこまで我慢すればいいのか」といったことが、子どもには分かりづらく、それが大きなストレスに。
 
 
たとえば診察台に乗るだけでパニックになったり、口を開けることすらできなくなるのは、見えない未来に対する不安が大きく影響しているのです。
 
 

◆感覚過敏で『普通の処置』がつらく感じる

 
もうひとつの大きな理由は、感覚の敏感さです。
 
 
発達障害グレーゾーンの子どもは、感覚過敏を抱えていることが多く、歯医者さんでは次のような刺激が非常に強く不快に感じられることがあります。
 
 
✓歯を削る「キーン」という音
✓ライトのまぶしさ
✓独特な薬品のにおい、味
✓器具の冷たさや金属の感触
✓先生の言葉のトーンやスピード
 
 
なかでも多いのが、「口の中の触覚過敏」
 
 
器具を口の中に入れられる感覚や、水が口の中にどんどん溜まっていく感覚が、どうしても耐えられず、処置そのものが苦痛になってしまうケースです。
 
 
本人にとっては、「怖い」「痛い」というよりも、『我慢できないほど気持ち悪い』という感覚に近いこともあり、周囲にはなかなか理解されにくいのがつらいところ。
 
 

◆ネガティブな体験が強く記憶に残る

 
さらに、嫌だった記憶が強く残りやすいという特性も関係しています。
 
 
たった一度の「痛かった」「怖かった」「気持ち悪かった」「話を聞いてもらえなかった」という体験が、強く記憶に残り、「歯医者=絶対にイヤ!」という強い拒否反応につながることも少なくありません。
 
 
次に行こうとするだけで、その記憶がよみがえり、身体が拒否してしまう。
 
 
こうした反応は、その子が持つ特性による自然な反応なのです。
 
 
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4.少しずつ前に進めた!発達障害グレーゾーンの息子が歯医者に通えるようになるまでにしたこと

 
 
「もう二度と歯医者さんには行かない!」と泣き叫んでいた息子が、また歯医者さんと向き合えるようになったのは、次の4つのステップを大切にしたからでした。
 
 

◆ 虫歯を放っておくとどうなるの?絵本や会話でわかりやすく伝える

 
まず取り組んだのは、「治療の必要性」を息子自身に伝えることでした。
 
 
わかりやすい言葉でできるだけ具体的にイメージしやすいように説明しました。
 
 
絵本を使って虫歯のしくみや治療の流れを伝えるのも効果的でした。
 
 
そして「今度は、やさしい先生がいる歯医者さんで治してみよう」と提案。
 
 
息子の気持ちが少しずつ前向きに動き始めました。
 
 

◆ 発達障害グレーゾーンに理解のある歯医者さんを探す

 
次に行ったのは、息子の特性に合った歯医者さん探しです。
 
 
発達障害 歯科」や「障がい者 歯科」といったキーワードで検索し、障がい者歯科認定の医院をチェック。
 
 
専門的な知識と経験がある先生なら、息子の苦手や不安に配慮してくれるのでは…と感じました。
 
 
結果、実際に対応してくださった先生の丁寧さや配慮には、本当に助けられました。
 
 

◆ 苦手なことや過去の失敗を事前にしっかり共有する

 
予約時のアンケートだけでなく、電話やメモを使って、「どんなときにパニックになったか」「どんなことが苦手か」を歯医者さんに細かく伝えました
 
 
たとえば、口の中に器具を入れられる感覚、水がたまっていく感覚がとても苦手なこと、前回の歯医者で治療を受けられなかった状況など…。
 
 
あらかじめ伝えておくことで、歯医者さん側も心の準備ができ、無理のない対応を考えてくださいました。
 
 

◆ 一気にやろうとしない!『できること』からスモールステップで進める

 
新しい歯医者さんでは、「治療」から始めるのではなく、できることを少しずつ積み重ねるスモールステップ方式で進めてもらえました。
 
 
最初は「一緒に歯磨きするだけ」。
 
 
慣れてきたら、治療前に、器具の説明のステップに。
「これは水が出てくるよ」
「これは風が出てくるよ」
「水を吸い込む機材もあるんだよ」
と一つ一つ丁寧に対応いただきました。
 
 
治療のたびに絵カードで流れを「見える化」してもらえたことで、息子も不安なく状況を受け入れられるようになりました。
 
 
障がい者歯科認定の専門の先生ですので、本人のその日の調子を見ながら、治療方針を相談して進めていただいています。
 
 
「せっかく来たんだから…」と無理に治療を進められることがなく、息子も安心できるので、私自身も穏やかな気持ちで見守ることができています
 
 
こうして、少しずつ信頼関係安心感が育ち、今では息子の方から「次の歯医者さんいつ?」と聞いてくるほどに。
 
 
以前のように癇癪を起こしたり、泣き叫んだりする姿はもう見られません。
 
 
「無理やり行かせる」のではなく、「どうしたら行けるようになるか」を考えてあげることで、子ども自身が前向きに歯医者と向き合えるようになります。
 
 
無理なく受診できるかかりつけの歯医者さんがあると、とっても安心です。
 
 
お子さんの特性に合った環境設定と、小さな小さなスモールステップの積み重ねで、歯医者さんへの不安はきっと乗り越えられます。
 
 
焦らず、親子のペースで『かかりつけ医探し』をしてみてくださいね。
 
 
歯科受診
 
 
執筆者:堀このみ
発達科学コミュニケーション トレーナー
 
 
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Q.病院を受診するのを嫌がって毎回大変…。どう対応すればいい?
 
Q.とくにかく不安が強く、まだ起きていないことをあれこれ心配します。安心できる声かけは?
 
 
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