新年度に頑張っていた子どもがゴールデンウイーク明けに急に不安と無気力におそわれ、行き渋り、不登校と動けなくなることは少なくなりません。繊細な子どもが五月病になりやすい理由が実は「脳」にあります。5月も笑顔で過ごせるように、五月病の症状と予防法をお伝えします。
1.繊細な子どもは五月病になりやすい!?
春から進級・進学したお子さん、園や学校には慣れてきた頃でしょうか?
新年度がはじまると子どもたちは新しい環境にドキドキしますが、繊細な子どもにとっては、そのドキドキを他の子どもの何倍も、何十倍も感じていることがあります。
繊細な子どもは、ひといちばい環境からの刺激を敏感に感じるため、今までの安心できる環境を離れ、新しい環境になったことで、新しいお友達、新しい先生、新しい教室などから、ひといちばい刺激を受け取っていて、脳はフル稼働しています。
環境に馴染めるように精一杯頑張ってきた脳は反動で、ゴールデンウイーク明けに、急に不安や無気力におそわれることがあります。
今まで張り詰めていた緊張の糸がプツッと切れたような状態になってしまうのです。
このような状態を五月病といいます。
五月病は医学的な用語ではないため、「五月病」と診断されることはありませんが、4月は頑張っていたのに、ゴールデンウイーク明けに元気が出なくなったり調子が悪くなることをいいます。
繊細な子どもは新しい環境に適応することに非常に時間がかかることがあります。
周りの子どもたちが新しい環境にどんどん慣れていく一方、繊細な子どもはなかなか慣れることができず、先生からの要求に応えること、お友達と付き合うこと、クラスについていくことに、脳は毎日ヘトヘトに疲れているのです。
そんな風にすごく頑張っている繊細な子どもの脳は、「もうがんばれない!」と心=脳がしんどくなってしまって、五月病にもなりやすいのです。
2.子どもの五月病の症状とは
わが子が繊細な子どもだったら、なんとか五月病を予防して笑顔で過ごしてほしいですよね。
子どもの心=脳の変化にすぐに気づけるように、五月病の症状についてお伝えします。
1つでも当てはまっていたら4月、5月の過ごし方をより意識するとよいです。
・疲れている様子がある
・元気がない
・怒りっぽい
・体調がよくない
・ご飯の食べる量がいつもより少ない
・園、学校の話、お友達の話を自分からしようとしない
・朝の準備、宿題、寝る準備がスムーズにできない
・園や学校に行きたがらない
繊細な子どもが園や学校に「行きたくない!」「しんどいな」「給食嫌だ」「勉強嫌い」などと言っている場合、心と脳からのSOSの可能性が高いです。
このような訴えはないけれど、不機嫌で暴言を発したり癇癪を起こしたり、原因のはっきりしない体調不良が続いている場合は、子どもはかなり我慢をしていて脳のストレス状態が高いことが考えられます。
そのような時はさらに注意が必要です。
4月でクラスが慣れてきたら5月からいよいよ活動や勉強が本格的に始まることも多く、先生の期待値もあがり、やることがレベルアップする時期です。
そんな時期に繊細な子どもがますますストレスをためないように、お家ではお母さんの接し方で子どもが安心して心と脳のチャージができるようにしたいですね。
3.五月病を予防する接し方
◆肯定する
新しい環境で緊張して疲れを感じやすい新年度は、子どもが安心できる声かけで心=脳を癒していくことが大切です。
子どもが安心できる声かけの一つとしておすすめなのは、無条件の肯定の声かけです。
どういうことかというと、お母さんの求めることをしたり結果が良かったりしたときだけ褒める「条件付きの褒め」ではなく、完全無条件の肯定の声かけです。
目があっただけで「◯◯ちゃん、大好き」、起きてきただけで「〇〇ちゃん、おはよう」、ご飯を普通に食べているだけで「食べてくれてありがとう」、帰宅しただけで「〇〇くん、おつかれさま!」と笑顔で優しい声で無条件に肯定していきます。
お母さんの笑顔を見て、優しい声を聞いて、普通に過ごしているだけで肯定の言葉をかけてもらうことで、子どもの脳は安心することができます。
合わせてスキンシップをとることで、脳の感情を落ち着かせるという効果もありますよ。
どんな時間帯に伝えるとより効果的かというと、一日のはじまりと一日の終わりです!
繊細な子どもにとって、一日のはじまりはとっても大事なのです。
子どもを起こす時やおはようと言う時に、声のトーンを柔らかくしたり、穏やかな表情を見せながら、「起きたんだね」「おはよう」など声をかけてあげてください。
子どももすっきりと気持ちよく目覚められます。
朝一で「肯定」されてスタートすることができると、感情も落ち着いて過ごしやすく、行動するための心=脳のエネルギーもわいてきやすくなります。
また一日の終わりに、子どもを寝かせる時にも「肯定」が大切です。
なぜなら、寝る前の会話は記憶に残りやすくポジティブな記憶と思考が育つからです。
ポジティブな感情のまま眠ることで脳のストレス状態も緩和し、翌朝の心も安定しやすくなります。
その日のできごとを一緒に振り返り
「今日◯◯行って楽しかったね」
「◯◯しててかっこよかったよ」
「お母さんは嬉しかったな」
など子どもが安心できて、嬉しいと感じることを伝えていきます。
子どもはお母さんが大好きです。
一日のはじまりと終わりにお母さんの「肯定」があれば心=脳は安心でき、気持ちも安定していきます。
お母さんの「肯定」を心=脳のお守りにして、繊細な子どもがチャージできるように、たくさんの肯定の声かけをしていきたいですね。
◆子どものコンディションを整える
繊細な子どもの五月病を予防するために必要なことは、子どもの脳に無理をさせないことです。
子どもは自分では気づかないうちに無理をして頑張りすぎていることがあります。
そのため、子どもがいつもできていることをやりたがらなかったり、元気がなかったりなどいつもと少し違うなという小さなサインを見逃さないことが大切です。
わが家の小学3年生の繊細な息子も、疲れがでていて、ストレスの兆候もあり、しんどそうにしていることがありました。
そんな時、私は「今日学校に行くことで無理をさせてはいけない」と判断をしました。
そして「お休みする?」と私から休むことを提案したのです。
息子も学校をお休みすることで、身体と心と脳のエネルギーの充電をすることができました。
繊細な子どもを休ませたほうが良いのか、それとも背中を押してチャレンジしてもらうことが良いのか、子どもの状態をよく観察して判断していきたいですね。
わが子のコンディションに合わせて、休むところと頑張るところを上手に調整してあげることで、子ども本来の力を発揮することができます。
5月は子どもの苦手なことはお手伝い多めでOKです。
嫌がる宿題やお支度などは
「音読一緒に読む?」
「お着替え、一緒にする?」
「わあすごい!できたね!」(こそっと途中までお手伝い)
など、さりげなく手伝いながら負担を減らして、最後は肯定して終えることで、子どもの安心と自信の貯金をしていきます。
すると子どものコンディションも整っていきます。
繊細な子どもが今日も明日も笑顔でいられるように、お母さんの魔法の声かけで五月病を予防していきたいですね。
執筆者:むらかみりりか
繊細っ子の脳を育てるココロ科学ラボ代表
発達科学コミュニケーションマスタートレーナー
繊細っ子の脳を育てるココロ科学ラボ代表
発達科学コミュニケーションマスタートレーナー