1.「運動会には参加したい」けれど練習に行けない繊細な娘
私には繊細な娘、花(通称)がいます。花は小学3年生の終わり頃から行き渋りが始まり、学校へ行ったり行かなかったりを繰り返すようになりました。
小5の夏休み、花と一緒に予定を立て、家族でいろいろな場所へ出かけました。
夏休みを過ごすうちに、以前より表情が明るくなり、会話も少しずつ増えていきました。
すると夏休みが明け、花は学校のことが気になり始めたようで、時間割を聞いてくることが多くなりました。
ちょうど学校では運動会の練習が始まっていました。
花に参加したいか聞いてみると、答えは「参加したい」。
それなら体育の授業へ少しずつ参加しようと話しました。
ところが、学年ダンスの練習はほとんどが1時間目でした。
花は朝7時までには起きるものの、1時間目、2時間目にはどうしても学校へ行けない状態…
「運動会には参加したい」
その思いはあるのに、練習にはなかなか参加できない。
そんな状況が続きました。
この記事では、私自身の子育ての経験に加え、脳科学・心理学・教育学をベースにした発達科学コミュニケーションをもとに、家庭での関わり方や日常の声かけを通して、少しずつ変化していく様子をお伝えしていきます。

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2.励ましても動けない娘に、どう声をかけたらいいのかわからなかった
朝は起きているのに、どうして学校へ行けないんだろう。
励ましても、なかなか一歩を踏み出せない。
このままダンスを覚えられなければ、「踊れないから運動会はやっぱり参加しない」と花が言うかもしれない。
そんな不安もありました。
私は花の不登校をきっかけに、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を専門に教えているむらかみりりかさんと出会い、どう声をかけたらいいのかを「わが子専用」で「脳」という視点から学び始めていました。
花は、
「お友達に話しかけたのに返事が返ってこなかった」
「少しにらまれた」
「先生の大きな声が嫌だ」
と言って、些細なことに敏感に反応していました。
そこで私は、
「どうしたら1時間目から学校へ行けるのか」
を考えることをやめました。
以前の私は、「学校へ行っている=良いこと、成果」という捉え方があり、学校へ行っていないと成長しない、という極端な考えを持っていました。
そんな私が思い出したのが、「どんなコンディションであっても、子どもの変化成長ってあるはずだし、もしくは子どものコンディションを理解して対応しようとしている私たちの変化成長だってあるはず。」というりりかさんの言葉でした。
学校へ行けなくても、運動会に参加することが花にとって良い経験になるかもしれない。
そう思ったのです。
「運動会に参加したい」という花の気持ちを、どうしても叶えてあげたい。
どうしたら花がダンスを覚えて、不安なく運動会に参加できるだろう。
私は、その方法を考え始めました。

3.学校でできないなら、おうちでできる方法を探そう
まず、担任の先生に相談しました。
先生の協力があってダンスの練習動画を配信してもらえることになり、娘の「運動会に参加したい」という気持ちを叶えるため、学校で練習できないなら、おうちで動画を流しながらダンスを練習する方法を選びました。
私は観客になって、花のダンスを見ながら
「元気でいいね!」
「動きが大きくていいね!」
うまく踊れないところがあっても、できているところを見つけて、肯定的な声かけを続けました。
最初は自信がなさそうに踊っていた花。
それが、練習を重ねるうちに、だんだん楽しそうに踊るようになり、笑顔も見られるようになりました。
学校の練習に思うように参加できなくても、おうちでできることはありました。

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4.運動会3日前、「運動会行きたくないな」
ところが、運動会3日前。
1時間目にダンスの全体練習がありましたが、この日も花は登校できませんでした。
それまで全体練習に参加できたのは1回だけ。
自分の立ち位置にも曖昧なところがあり、学年リレーの練習にも参加していませんでした。
本番が迫る中、花は不安を抱き始めました。
「運動会行きたくないな」
花がそうつぶやきました。

時間割を確認すると、前日にもダンスの全体練習がありました。
私は担任の先生に連絡しました。
すると、最初から最後まで一通り確認しながらダンスの練習ができること、リレーはほかの生徒も1回しか練習しておらず、走る順番さえわかれば本番は先生が近くでフォローしてくれることがわかりました。
そのことを花に伝えると、前日の練習に行けば大丈夫、とわかって安心した様子でした。
そして前日。
花は当日の衣装を着て、通しでダンスを練習し、自分の立ち位置を確認することができました。
5.満面の笑みで踊る娘を見て、涙が止まらなかった
2024年10月26日。
いよいよ運動会本番です。
高学年は準備のため、早めの集合でした。
私は、ダンスの時間までに間に合えばいいと思っていました。
ところが花は、集合時間に間に合うように出発したのです。
一番初めの学年リレーでは花は一生懸命走って1位をキープし、そのままチームは1位でゴールしました。
そして、いよいよダンスの時間がやってきました。
私が見ている場所からは花の顔は見えませんが、緊張しているだろうなと考えると、私までドキドキしてきました。
入場の音楽と共に元気よく走り出し、自分の定位置に着いて踊り始めた花。
緊張している様子はなく、花は周りをよく見ながら、自分の立ち位置で楽しそうに踊っていました。
立ち位置を心配していたことがなかったかのような姿に、見ている私まで笑顔になりました。
目の前で見ていた私は、おうちで練習していたことを思い出しながら、「がんばって練習したね」と心の中で思いました。
そしてついに花は最後まで堂々と、満面の笑みで踊りきったのです。

その姿を見て、私は涙が止まりませんでした。
そこにいたのは、不安が強くて動き出せない娘ではありませんでした。
楽しそうに、そして自信に満ち溢れた娘がいました。
運動会当日も、いつもなら1時間目から学校へ行くことができなかった花が早起きをして、集合時間に間に合うように学校へ行きました。
学校で思うように練習できない中、おうちで何度も練習を重ね、本番では自信を持って踊ることができました。
結果的に花のチームは負けてしまい、花は悔しそうにしていましたが、私は運動会まで何度も練習を重ね、本番で力を出し切って踊ったことを労いました。
6.「できない」だけを見ずに、その子ができる方法を探す
以前の私は、朝は起きているのに学校へ行けない娘を前に、
どうして行けないんだろう。
どう声をかけたら一歩を踏み出せるんだろう。
と迷っていました。
最初は、花にどう声をかけたらいいのかわかりませんでした。
けれども、発達科学コミュニケーションで関わり方を学び、「運動会に参加したい」という娘の気持ちをどうしたら叶えられるだろうと考え、私は自分にできる方法を探し始めました。
学校でダンスの練習に参加できないなら、先生に相談して、おうちで練習する。
うまくできないところがあっても、できているところを見つけて、
「元気でいいね!」
「動きが大きくていいね!」
と、肯定的な声かけを続ける。
運動会直前に不安が大きくなったときには、担任の先生に連絡し、前日の練習やリレーについて確認する。
そうやって一つずつ、娘の「運動会に参加したい」という気持ちを叶えるために、できる方法を探していきました。
不登校になってから不安が強くなり、なかなか一歩を踏み出せない繊細な子にも、「やってみたい」という気持ちが見える瞬間があります。
そんな時、どうしたらできるのか、できる方法を一緒に探していく。
わが子の「やってみたい」を諦めないために、私がこの運動会を通して経験したことです。

7.不登校・繊細な子の運動会の練習と家庭での関わり方についてよくある質問
Q1. 不登校の子どもが運動会に参加したがっているのに、学校の練習に行けないときはどうしたらいいですか?
A. 学校での練習に参加できない場合は、家庭で練習する方法を探すこともできます。
私の娘は、運動会に参加したい気持ちはあっても、1時間目のダンス練習になかなか参加できませんでした。そこで担任の先生に相談し、配信してもらった練習動画を使って、おうちでダンスを練習しました。
Q2. 繊細な子どもがダンスの練習に自信を持てないとき、どんな声かけをしたらいいですか?
A. うまくできないところではなく、できているところを見つけて肯定的な声をかけました。
娘がおうちでダンスを練習するとき、私は観客になり、「元気でいいね!」「動きが大きくていいね!」と声をかけ続けました。最初は自信がなさそうだった娘も、練習を重ねるうちに楽しそうに踊るようになり、笑顔が見られるようになりました。
Q3. 運動会の直前になって子どもが「行きたくない」と言い出したら、どう対応したらいいですか?
A. 子どもが何に不安に感じているかを聞いて、対策ができればしてあげます。
娘は運動会3日前、ダンスの立ち位置が曖昧で、リレーの練習にも参加できていなかったため、「運動会行きたくないな」とつぶやきました。先生に確認した内容を伝えると、前日の練習に行けば大丈夫だとわかり、安心した様子でした。
Q4. 朝は起きているのに学校へ行けない子どもには、どう関わればいいですか?
A. 私は、1時間目から学校へ行かせることだけを考えるのをやめ、娘が「参加したい」と思っている運動会に向けて、できる方法を探しました。
以前は学校へ行くことを成果と捉えていましたが、子どもの変化や成長は学校へ行けないときにもあると学び、娘の気持ちを叶えるために何ができるかを考えるようになりました。
Q5. 不登校の繊細な子どもが「やってみたい」と言ったとき、親にできることはありますか?
A. 子どもの「やってみたい」という気持ちを大切にし、どうしたら実現できるかを一緒に探すことができます。
私は、娘が運動会に参加したいと言ったとき、担任の先生に相談して家庭での練習方法を見つけました。直前に不安が強くなったときも先生に確認し、一つずつできる方法を探していきました。
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執筆者:藤野とも子
発達科学コミュニケーション




