HSPタイプの子どもが旅行を嫌い、なかなかお出かけできずにお困りのことありませんか?初めてのことが苦手で不安の強い繊細な息子が旅行に行き、シュノーケルやトレッキングなどの新しいことに挑戦することができたので、その秘策をお伝えしていきます。
1.HSPタイプの子どもは旅行が嫌い?
HSPタイプの子どもにいろんなことを体験して挑戦してほしいのに、新しいことは「やりたくない!」とやろうとしなかったり、できそうなことでもやろうとしなかったりすることありませんか?
HSP(Highly Sensitive Person)とは感受性が強く繊細な気質をもった人という意味で、アメリカの心理学者であるエイレン・N・アーロン博士が提唱した心理学的概念です。
約5人に1人はHSPの気質があると考えられています。
HSPタイプの子どもは、刺激を敏感に受け取るため混んでいる場所が苦手だったり、先のことを考えすぎてしまう傾向があるため初めていく場所に不安になってしまうことがあります。
そのため、行ったことのない場所に行くようなお出かけや旅行というものを嫌がることがあるのです。
わが家の小学2年生の繊細な息子もはじめてのことは非常に苦手で、とりあえず「いや!」「こわい!」「やりたくない!」と拒否してしまう子でした。
そのため
・初めての場所に行くのを嫌がる
・怖がりで、旅行やお出かけを嫌がる
・行けば楽しいはずなのに「行きたくない」の一点張り
・「楽しいよ!」「大丈夫!」と言っても強く拒否
する状態でした。
そんな息子に、広い世界を見せてあげたい!行動させてあげたい!挑戦させてあげたい!
息子がたくさんの「やりたい!」と出会い、勇気をだして挑戦してみる強さを育ててあげたい……!私はそう思っていました。
2.旅行が不安になる理由
HSPタイプの繊細な子どもは気持ちが不安定な時は、新しい行動に対して、いつも以上に慎重になり、不安が増してしまうことがあります。
日々の生活の中でストレスや緊張、疲れがたまり、気持ちが不安定になっていくと、子どもは何に対しても「いや」「いきたくない」「やりたくない」と拒否反応が強まってしまうことがあります。
それに加えて、HSPの特性として、旅行が不安になる理由が大きく2つあるのでお伝えしていきます。
◆安心する見通しがたたない
HSPタイプの繊細な子どもは、初めて行く場所や乗り物に対して、行く前からいろんなことを想定してあれこれ考えるところがあります。
これはHSPのひとつのことについて、深くじっくりと考える特性が関係していて、今までに経験したことを思い出しながら、本当に大丈夫なのかということを慎重に考えます。
そして考えているうちに、最悪の事態を想定したり、不安を感じたりしてしまい、行く前からどっと疲れてしまうのです。
新しいことをやろうとしないのも、こういう時はこうしたらいい!と安心する見通しを立てて考えることができていないからです。
安心する見通しがないと、その行動に対して不安に感じてしまい、行動することをやめてしまうのです。
◆刺激を敏感に感じ疲れやすい
HSPタイプの繊細な子どもは刺激に対してひといちばい敏感に感じる特性があります。
旅行に行くと、いつもの見慣れた安心できる場所ではなく、初めての場所でいつもとは違う景色や音を感じることになり、様々な新しい刺激を強く受けることになります。
移動中の乗り物や観光地でも、人混みがあると、騒がしく感じてしまったり、人との距離感が近く、周りの刺激を敏感に感じてしまいます。
そんな刺激に長時間さらされることで、ぐったりと疲れてしまうことがあるのです。
そんな経験を繰り返すうちに、旅行は疲れるから行きたくないという思いにいたることがあります。
3.旅行で新しいことに挑戦できる秘策
私は怖がりで新しいことが苦手な繊細な息子とふたり、屋久島へ旅行に行きました。
そして現地でシュノーケリングやトレッキングなどの初めての体験に挑戦することができましたので、その秘策をお伝えしていきます。
◆肯定する
繊細な子どもの不安対策として、日常的に不安を和らげてあげる親子の関わりが必要です。
HSPタイプの子どもの不安や怖がりは、心が安定していれば過敏になることはないのです。
そのため、心が安定するように、日常的に肯定9割の親子のコミュニケーションを鉄則にします。
どういうことかというと、できていないところはスルーして反応しないことです。
そして、できているところを探して「〇〇してるんだね」と笑顔で穏やかな声でシンプルに伝えます。
どれだけ忙しくても、子どもと目があえば笑顔を向けます。
話す時の声はひといちばい穏やかに、話しかけられたら「なぁに?〇〇ちゃん?」と返答します。
これを繰り返していると、子どもにとっては、いつも笑っているお母さんを見ることができます。
お母さんが笑っているだけで、子どもは安心することができて、自分はこのままでいいんだと自己肯定感も高くなっていきます。
さらにお母さんからかけられる言葉がけが肯定的なものだけになります。
いつも自分の行動を肯定されていると、自分の行動にこれでいいんだと自信を持つことができます。
自信を持つことができるようになると、もっと行動してみようという原動力になります。
そして行動することで脳も成長し、心も安定していきます。
子どもだけでなく、お母さんもできていることへの注目が当たり前になると、不思議とできていないところは気にならなくなります。
イライラすることは減り、朗らかに穏やかに対応できるようになるのです。
◆楽しい見通しを立てる
HSPタイプの繊細な子どもは見通しがたたないことで不安になります。
そのため、楽しい見通しを立てられるように準備していくことが大切です。
私はまず出発前に
・屋久島がどこにあるのか
・屋久島が日本であること
・飛行機に2回乗って行くこと
・とっても綺麗な海があること
・シュノーケリングではウミガメに会えること
・もののけ姫の森があること
を伝えました。
そしてよりイメージがわくように、もののけ姫を息子と映画で見て予習をしました。
考えられる全ての見通しを立てることができるように、楽しい会話をたくさんしていきました。
私自身も、「〇〇ちゃんと一緒に旅行に行くの楽しみだな、こんなことしようね。」と息子との旅行を楽しみにしていることを伝えていくようにしました。
すると、旅行前は母の仕事が忙しかったこともあり、いつもの3倍くらい甘えん坊になっていた息子が「いよいよ旅行だね!楽しみだね!」とカウントダウンしながら楽しみにしてくれました。
そしてシュノーケリングに挑戦する日の朝にも楽しい見通しを持てる会話をしました。
息子にとっては、はじめての海になるので
・プールとの違いは何か
・水はどう違うのか
・海水なのでしょっぱいこと
・波があってザブーンとなること
・海は深いこと
・綺麗なお魚が見れること
など、「何が違うと思う〜?」とクイズのように楽しく会話の中でいろいろ話しました。
息子は実際に海に入り、最初は「はやく戻ろうよ……」と怖がる場面もありましたが、次第にどんどん慣れてきて、足ひれをつけてスイスイおよぎ、お魚や海蛇を見て「みてーー」と大はしゃぎでした。
「ウミガメ見れなかったから帰る日にもう一回やりたい!!」とアンコールの希望もありました。
寝る前には「今日はいい夢みれそうだな……だってお魚見て海蛇も見て、めっちゃ楽しかったもん」と楽しかったことを思い出しながら、即熟睡していました。
このように見通しを立てておくことで、繊細な息子が初めてのシュノーケリングに挑戦できて大満足できたのです。
さらに、シュノーケリングに挑戦し自信をつけた息子は、翌日のもののけの森への6時間トレッキングの日も「わぁ今日はトレッキング楽しみ〜」とハイテンションな様子でした。
怖がりの、はじめてのことは基本拒否だった息子が全く不安を口にすることなく、前向きに参加することができたのです。
ガイドさんが説明してくれたことに対しても、息子は「あと何分くらい?」「この石が滑りやすいんだね!」「これは大丈夫?」と自分で気になるポイントを何度も何度も確認しながら、ガイドさんの力を借りて自分で見通しを立てることができたのです。
もう自分の中で「大丈夫だ」と安心したのか、次は好奇心のスイッチが全力でONでした。
「この杉は何百年?」
「江戸時代って人が着物で暮らしてる時代?」
「なんでここは白いの?」
「雷が落ちたから焦げてるの??」
など質問が止まりませんでした。
私が息切れしているはるか前を、ガイドさんと終始弾丸トークしながら、軽快に上がっていくのです。
大人より速いスピードで……6時間のコースを歩ききり大満足なトレッキング体験をした息子でした。
このように、日頃から肯定して自信と行動力をつけて心と脳を成長させること、そして楽しい見通しを立てることで、HSPタイプの繊細な子どもはどんどん挑戦していくのです。
不安を拭うことさえできれば、子どもたちは好奇心と行動力を発揮するようになります。
肯定と見通しを立てる親子の会話で、子どもたちの背中を押してあげてくださいね!