1.小学生になりプール嫌いになった娘
私の繊細な小2の娘、ぷにちゃん(通称)は、保育園の頃は一度に20人ぐらいが入れる大きなビニールプールにいつも楽しそうに入っていましたが、小学1年生になり、最初の水泳授業があった日、「プールが怖かった」と言いました。
25mプールに入ることが初めてでしたし、ビニールプールとは深さも違うのでそう感じるのも当然かな、何度か入れば慣れるだろう、とそれほど気にせずにいましたが、2度目の水泳授業の日の朝、「頭が痛いのでプールは見学したい」と言うのです。
たった4回しかない水泳授業なのに、見学してしまうとプールに慣れないと思い、何とか入るように励ましたのですが、「プールが嫌で学校行きたくない」と行き渋りになるよりは見学させた方が良いと考え直し、残りの水泳授業に全て出席することを約束して見学をさせました。
約束通り、残りの水泳授業は全て参加しましたが「冷たいシャワーが嫌だった」「怖くて顔を水につけれなかった」「楽しくなかった」と、「プールが嫌」という感情は4回目を終えても変わることはありませんでした。
このままでは2年生の水泳授業でも同じことになる、と思った私は、長期休暇のたびに、お友達が通うスイミングクラブの短期水泳教室の参加を進めましたが、毎回断られていました。
この記事では、前年の記憶からプールに対してマイナスな印象しか持っていなかった繊細な娘が、2年生最初の水泳授業に参加することができた背中の押し方を2つお伝えします!
2.「プールが嫌」「学校行きたくない」を繰り返す水泳授業初日の朝
学校からのお知らせで昨年同様、6月より水泳が始まることを知った私は、プールが嫌で学校行きたくない、という状況にならないように、「パパと一緒にプールの練習をしてみない?」と聞いてみましたが、やはり断られてしまいました。
そして6月。水泳授業1回目の前日。
自分で水着やゴーグルを準備して玄関に置いていたので、明日は渋々ながらも行けるかなと淡い期待を抱いていました。
ところが当日の朝、目覚まし時計のアラームが鳴って15分以上経過しても起きてきません。10分ぐらい鳴り響くのは毎日のことですが、何度声をかけても反応が無く、20分経った頃、「そろそろ起きようか~20分になったよ」と優しく声をかけると「プールが嫌だ」「泳げない」「学校行きたくない」と布団をかぶり号泣していました。
初回に見学をさせてしまうと、2回目の授業もきっとプールに入れないと思った私は
「時間割には「水あそび」って書いてあるし、今日は2年生の1回目のプールだから、いきなり「泳いで」なんて言われることはないから大丈夫だよ」「水に入るだけでいいんだよ」「できることだけすればいいんだよ」と思いつく限りの言葉で娘の不安を取り除こうとしました。
私が何を言っても「嫌だ」「怖い」「学校行きたくない」を繰り返し、格闘すること50分。いよいよ起き上がらないと朝食を食べる時間も無くなるし、遅刻してしまうと私は焦りました。
3.ここぞというときのご褒美作戦!
繊細な子はネガティブな記憶を溜めやすい脳の特徴があります。
1年前、3回入って1度も楽しいと思えなかったプールに入らせるためには「頑張って!」「大丈夫!」だけでは背中を押せません。
こんなときは脳内の「報酬系」と呼ばれる欲望や目的を叶える役割を活性化させることが効果的です。
子どもに即効性のある具体的な方法は「ご褒美作戦」です。
○○できたら●●をあげる、というタイプのご褒美作戦は、毎回ご褒美を欲しがることになるのではないかと心配になり、躊躇するお母さんは多いでしょう。私もかつてはそうでした。
ご褒美作戦を使うときのポイントは「○○できたら●●をあげる」の○○ができたときにきちんと褒めて、成功体験であることを子どもの脳に認識させることです。
成功して褒められると自信がつくので、新しいことや不安を感じることでも「やればできる」と思って行動するようになります。
これを繰り返せば「行動」することが習慣になってくるので、ご褒美をあげたり褒めなくても行動できるようになるのです。
4.プールが嫌で「学校行きたくない」を覆す「ご褒美」の威力
私はぷにちゃんが先日100円ショップで欲しがっていたものがあることを思い出し、それをご褒美とすればプールに入れるのではないか?と思いつきました。
泣いているぷにちゃんに「そういえばこの間100円ショップで欲しがっていたものあったよね?今日プール入れたら買ってあげようかなぁ」と言ってみると、号泣して顔を伏せていた娘がようやく薄目を開けて私を見ました。
もうちょっと押せば行ける!と確信した私は「プール2時間だから、ちゃんと入れたら特別に2個買ってあげようかなぁ?」と言うと「欲しいものあるけどプールは怖い」と言いました。
「できることだけすればいいんだよ」とぷにちゃんには言ってきましたが、私がプールまで一緒についていくわけではないので、それだけでは娘の不安は取り除けていなかったのです。
そこで、「じゃあさ、『お水に入るだけでいい』ってママがぷにちゃんに言ったってことを連絡ノートで先生に伝えておこうか?」と言ったら頷きました。
連絡ノートには、「水に対しての恐怖心が強く、プールを不安に思っています。今日は水に入るだけで大丈夫だと娘には伝えてあります」と書きました。
ご褒美と連絡ノートで先生に共有するという2つの提案で、ぷにちゃんはようやく泣き止みました。
起き上がった娘におにぎりを食べさせながら、同時に私が着替えさせ、起床から20分で自宅を出ることができました。
5.「ご褒美作戦」と「先生への共有」で挑戦できた繊細な娘
プールが嫌で学校行きたくないと思っていても、2時間水泳授業に参加すれば大好きな100円ショップで2個欲しいものが買ってもらえるというご褒美を提示されたことで、「やってみようかな」と思えたぷにちゃん。ただそれだけでは、プールに対しての恐怖心は変わりませんでした。
そこに、「ママが『水に入るだけでいい』と言っている」と先生に伝えることで、娘はママがいなくても無理して潜ったり、顔を水につける必要はないんだとわかり、安心できたのです。
帰ってくるなり「怖かったけどプール入ったよ!」という報告があり、一緒に100円ショップへご褒美を買いに行きました。
過去のネガティブな記憶が残りやすい繊細な子に苦手なことを挑戦させたいとき、やればできるレベルのことを躊躇しているときは、ちょっとしたご褒美作戦で背中を押してあげることが効果的です。
背中を押して少しずつ行動・挑戦の幅を広げていくことができるといいですね。
ご褒美作戦、ここぞというときにぜひ試してみてくださいね。
執筆者:神名 美緒(かみな みお)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)