1.褒められて育った繊細な子と親子の会話
我が家には人の目を気にする繊細な次男(通称:優士)がいます。
長男と4歳差で生まれた優士。長男の育児時代から世間では褒める子育てが流行していたため、優士も同じように褒めて育てました。
「お母さん、オレこれできるよ!すごいでしょ!!」
優士は自信たっぷりに育っていると思っていましたが、年齢を重ねるたびに、学校から帰宅するとお友達のことで不機嫌な様子が増えていきました。
「鬼ごっこでオレばっかり狙われる」
「○○が嫌がらせしてくる」
「止めてって言ってるのに○○がしつこい!」
私は、「気にしなくていいよ」「優士は足が速いから狙われるんだよ」など励ましていましたが、状況は変わらず、親子の会話の中でお友達への不満は減りませんでした。
2.褒めて育てているのに自信をなくす繊細な子
優士の怒りっぽさが日に日に増していったため、担任に相談しました。
「お友達のトラブルは起きていませんよ。休み時間もたくさんのお友達と元気に遊んでいます。お家で発散できていることは良いことだと思います。」
担任の言葉に安心し、私はさらに自信を持たせるため、もっと褒める親子の会話をしようと意識しました。
「テスト90点だったんだ、さっすが~」
「徒競走練習1位?すごいじゃん!!」
「組体操で倒立ができるの?やっぱ運動神経良いね!」
すると優士は、運動会の練習や宿題に積極的に取り組むようになりました。しかし、同時にこんな言葉も増えていきました。
「今日は1番じゃなかった・・」
「○○に負けた!!」
「全然上手くできなかった・・」
なぜかネガティブ思考が加速し、怒りっぽさは癇癪まで発展するようになりました。ついには、人の目を気にして外に出られなくなってしまいました。
3.繊細な子の脳の仕組みに合わない「褒める親子の会話」
私は発達科学コミュニケーションの学びを通じて、優士が繊細な子だったと知り衝撃を受けました。
繊細な子の脳は、人の感情を敏感に感じとれるため、褒められる程プレッシャーを感じやすかったのです。その結果、
白黒思考:一番じゃないと気が済まない
完璧主義:少しのミスで価値がなくなる
という、極端な考え方になりがちです。
「自信を付けさせよう」と褒める親子の会話を続けたことで、優士の自己評価を厳しくさせ「思った通りにできない自分はダメな人だ」と思うようなり、どんどん自信をなくしていたのです。
4.人の目を気にする繊細な子の自信を育む親子の会話
私は、「褒める親子の会話」をやめ、ありのままを認める会話に変えました。
①ありのままの姿に注目して肯定をする
「おはよう、朝から元気だね」
「ご飯の時間に座ってくれて嬉しいよ」
「パジャマ片づけてくれるんだね」
「そのゲーム楽しそうだね」
「犬と遊んでくれて助かるよ」
行動する前後や区切りの良いタイミングで声を掛けることで、「見守っているよ」という安心感を伝えました。
②感謝の気持ちを伝える
「お茶碗片づけてくれてありがとう」
「犬の散歩に行ってくれて助かった!」
「おやつお母さんにもくれるの?嬉しいな」
優士を評価するのではなく、「行動していることがとても嬉しい」と伝えることで、無理に頑張らなくても大丈夫な安心感を育みました。
5.自信を取り戻した繊細な子と親子の会話
私が「褒める親子の会話」をやめ、声かけを変えただけで、優士は外に出られるようになり、「友達と遊んでくる~!」と、自らお友達を誘うことが増えました。
「○○とぶつかって転んだんだけどしょうがないよね」
以前なら怒っていた小さなトラブルも許せるようになりました。褒めることをやめただけで、こんなにも変化があったのです。
「子どもに自信をつけたい!」と思うなら、無理に褒めるのではなく、ありのままの姿を認める親子の会話を意識することが大切です。
ぜひ、「褒めない親子の会話」を試してみて下さいね。
執筆者:増山陽香
(発達科学コミュニケーショントレーナー)