1.毎日同じ服を着るこだわりが強い繊細な息子
我が家にはこだわりが強いひろくんという年長の男の子がいます。繊細なところがあり、変化を嫌います。たとえば夜のお風呂とご飯の順番を変える、予定を直前で変える、などの変化が苦手。
そんなひろくんは服にもこだわりが強い。特にトレーナーやTシャツは毎日同じ服を着たがるので、帰ってきたら洗濯をして、翌日にも着ることができるようにしていました。そのため服はよれて、毛玉だらけ。
内心「着せるのが恥ずかしい・・・」と思いながらも、無理やり違う服を着せようとすると「いやだー!」と怒るので、諦めていました。
2.生活を窮屈にしている繊細な息子の服へのこだわり
3月下旬、暖かい日が続く中、「暑い!なんで!」とイライラしながらも毎日お気に入りのトレーナーを着ています。「じゃあこれ着たら?」と薄手の長袖の服を提案するも、「これじゃなきゃ嫌!」と拒否。「もう今日保育園行かない」と言い出すこともあり、私もイライラして「いいかげんにして!」と怒ってしまうこともありました。
暑さを感じながらも、同じ服を着るひろくん。もっと暑くなってくれば、どこかのタイミングで自分で諦めることもできるのですが、季節の変わり目はいつも服の切り替えが大変で、こんなやりとりが日常茶飯事でした。
3.”こだわりが強い”のは不安のあらわれ
ひろくんのこだわりの強さや繊細さに悩み、自分ではどうすることもできず悩む日々。色々と模索する中で出会ったのが、お家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」(以下発コミュ)でした。
繊細な子はまわりの変化にとても敏感で、不安やストレスを感じやすく、安心できる範囲が狭くなりがち。その結果、「これがいい」「これじゃなきゃ嫌」と、こだわりが強くなりやすい。そしてママのコミュニケーションを変えれば、こだわりの強さを和らげることができるということを教えてもらいました。
以前、療育施設でこだわりが強いことを相談したら、「これは気質というか、この子のキャラクターだと思ってください。」と言われ諦めていた私は、「私が発コミュを学んで実践できればこだわりを和らげることができる!」と心が軽くなったのです。
発コミュを学ぶ中で、安心の範囲を広げるために重要なのは、子どものできているところに注目して肯定することだとわかりました。「すごいね」「偉いね」などの漠然としたフレーズよりも、「〇〇してるね」「〇〇できたんだね」と具体的に事実を伝えてあげることで、ママは見ているよという安心感を与え、子どもも「僕はできている」と認識して安心することができます。
逆にできていないことをスルーすることも大切です。できていないところを見つけるとつい注意したり、指示したりしてしまいがち。よかれと思ってアドバイスしているつもりでも繊細な子には否定的に伝わってしまいます。
思い返せば、私はひろくんが同じ服を着ることに肯定的ではありませんでした。
「もうよれよれだね」「いつまでこれ着るの?」
これらの言葉はひろくんのこだわりを認めてはおらず、安心を狭める声かけだったと気付きました。否定的な言葉は封印。肯定する声かけでひろくんの安心の範囲を広げようと決めました。
4.繊細な子の服の切り替えをスムーズにするママの全力肯定
①いつもと同じ服を着る繊細な息子をたっぷり肯定
朝、いつものようにお気に入りのトレーナーに着替えるひろくん。
「パジャマ自分で脱いだんだね」
「自分で服を着替えたんだね」
「今日もその服似合ってるね」
と笑顔で優しく声をかけます。笑顔や優しい声は、それだけで子どもの聞く耳を開いてくれます。そして普段当たり前にできていることにも注目し肯定することで、安心感を増やします。
②落ち着いたタイミングで楽しく提案
その週の週末、ひろくんが落ち着いているタイミングを見計らって、新しい服を勧めてみました。
「この服、ここ最近大活躍だったね~。よれちゃってるのも頑張ってくれた証拠だよね。」
「今日はひろくんお休みだし、この服もおうちで休ませてあげて、こっちの服を着るのはどうかな?」と薄手の長袖Tシャツを持っていくと、「考えるね」と言ってくれました。
数分後、気付くとさっき勧めた服を着ているひろくん。「その服もよく似合うね!」と伝えると満足そうな笑顔。
この日からほぼ毎日この薄手の長袖Tシャツを着ています。まだこだわりが強いところはあるし、同じ服を着ることも変わってはいないけれど、服の切り替えは以前よりずっとスムーズになりました。
5.肯定の声かけで安心の範囲を広げて生活を楽しく!
4月になり、ひろくんは小学校に入学。入学式では、白いTシャツを着てジャケットを羽織ることができました。体操服へのお着替えも、問題なくできたと先生に聞きました。少しずつ、ひろくんのこだわりが和らいでいると感じ、私も嬉しく思っています。
こだわりが強いことは気質だと諦めていた私。だけどそうじゃなかった。不安を和らげてあげれば、違う服を着てみるという挑戦もできる。
ひろくんがもっと自由に楽しく生活ができるよう、これからも肯定の声かけを続け、安心の範囲を広げてあげたいです。
執筆者:にしやまともか
発達科学コミュニケーション