1.Youtubeが終わらない!消すと発狂する娘
わが家には、ひといちばい敏感な何でも知りたがる博士ちゃん(通称:ミカ)がいます。ミカが年長の頃、毎日元気に園へ通っていましたが、集団生活は苦手で、家に帰ってくると床でゴロゴロお疲れモードでした。
私は「今日もよく頑張ったね、お疲れさま」という気持ちで、家では本人の好きなように自由に遊ばせていました。なぜならそれが保育園で頑張ってきたミカへのストレスケアだと思っていたからです。
しかし、その思いとは裏腹に、家での1つ1つの行動の切り替えが苦手で、生活リズムが整わず困っていました。「お風呂だよ」と誘ってもいつまで経っても入らない、「ご飯だよ」とYoutube見すぎていると消すと発狂する、遊びを中断されて怒るミカを私が寄り添い落ち着くのを待つという負のルーティンが出来上がっていました。
2.行動の切り替えが苦手なのは脳のキャパオーバー
「これは発達のせいなのかな?」と悩み、毎晩のように本やインターネットで調べた末に、お家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」を見つけました。その中でも、繊細な子の心と脳を育てる専門家のむらかみりりかさんの元で学び始めました。
繊細な子の心と脳の仕組みを知ると、今までのミカの行動の切り替えが苦手な理由を知ることが出来ました。
集団生活の中で耳から目から五感を通じて、あらゆる情報を大量に受け取っているのに対して、その情報を自分の中で処理して外に出す力が未熟なため、脳がキャパオーバーになってしまっていたのです。
そんなストレス状態の脳は、「好きなこと」や「得意なこと」には一見集中できます。しかし、実はその集中がさらなる疲れを呼び、コントロールが効かなくなる原因になります。
つまり私がしていた「本人の好きなように自由に遊ばせてあげる」というストレスケアは、逆効果だったのです!
3.繊細な子が切り替え上手になる秘訣
大切なのは子どもに合わせることではなく、行動できるようにどう対応するかだということを知り、お家での過ごし方を見直しました。
①ストレス状態の脳を緩和させる
家に帰ってきたときには、脳がキャパオーバーになっているミカを落ち着かせることから始めました。
・スキンシップを多めにとる
「おかえり~」とハグ
「お疲れさま~」と頭ポンポン
「待ってたよ~」と手をつなぐ
大好きなママが触れることで安心感が増して気持ちも落ち着く効果があります。
・一緒におやつを食べる時間を作る
おやつを食べながら、園とは関係のないミカの好きなものの話をしてゆったりと過ごしました。
「今日どうだった?」「園で何したの?」と聞きたくなりますが、思い出して興奮が冷めなくなってしまうので、「ポケモンの○○ってさー」と好きなものに対しての話をふり、楽しく会話できるように心がけます。
②家での過ごし方を見直す
テレビやYoutubeを見ることは、脳にインプットしていく遊びのため、余計に脳を疲れさせてしまいます。それも切り替えが苦手なことに繋がっていました。そこで、インプットの遊びは時間を決めて取り組み、その後アウトプットの遊びに誘いました。
・テレビやYoutubeの時間を決める
どうして見る時間を決めるのかをわかりやすく説明します。コップにたくさんのお水を注いだら溢れてしまうことを例に、Youtube見すぎると頭がいっぱいなことを説明すると「私の脳みそもパンクしちゃうの?」と理解してくれました。
・アウトプットができる遊びへ誘う
脳にたくさんの情報を詰め込んでいるとき、すなわちコップの水が溢れているときは、ミカがその情報を処理しきれず、困っている状態です。それを外に出してコップの水を減らしていくお手伝いをします。
身体を動かしたり、考えて手を動かしたりすることで、脳を活発に動かすトレーニングにもなります。【アウトプットの遊び例:製作、お絵描き、トランポリン、絵本、カラオケなど】
4.繊細な子の脳で起きていることの正しい理解と対応がカギ
最初の頃は、時計が鳴ってもズルズルとYoutube見すぎる様子もありましたが、次第にスッとやめられるようになっていきました。声かけがなくても、自ら時間を決められたり、「今日はすごく疲れているから、絵本を読もう」と自分の状態に合わせて遊ぶ内容を選べたりできるようにもなりました。
スムーズに行動の切り替えができるようになると、ミカは時間を有効に使えるようになり、私はイライラすることが減りました。
「お風呂入ろうか」のママの声かけに
「はーい」とひとつ返事で応えてくれて
「ご飯だよー」のママの声かけに
「今いくねー」とサッと来てくれる
たったこれだけのことが、今まで叶わなかった私たち親子でもできるようになりました。
ミカの心と脳でおきていることを知り、正しい対応をすることで、行動の切り替えが苦手と悩んでいた生活が一変しました。今まで何回言っても聞かず、私がストレスだと感じていたことが、私の声かけでこんなに変わるなんて思ってもみなかった未来です。
執筆者:やまさき うみ
発達科学コミュニケーション