1.花粉アレルギー症状がひどい繊細な子
わが家には小学1年生の娘、ひといちばい敏感な何でも知りたがる博士ちゃん(通称:ミカ)がいます。ミカは、花粉の時期にはアレルギー症状がひどく、鼻はグズグズ、目はかゆくて開けるのもやっとです。
学校には元気に登校しているものの、家では普段できていることもできなくなっていたりとエネルギーが切れている様子でした。
そんな中、もうすぐミカが楽しみにしていた持久走大会が迫っていました。走ること自体は好きなミカですが「1位がすごい!」という価値観が強く、順位がつく競争には苦手意識があります。ところが今回は「賞状がほしい!」という気持ちからヤル気をみせ、朝早くに登校して毎日練習を続けていました。
ミカが自分の苦手なことを、どうしたら楽しめるのかを考えて実行している姿は、逞しくもあり応援したい気持ちでいっぱいでした。そのため花粉アレルギー症状でそのヤル気を無くしてしまうのが、私は残念で仕方なかったのです。
2.質のいい睡眠は繊細な子の心の安定に不可欠
今のエネルギー切れの状態が続けば、「行くのやめた」とネガティブな思考になっていくのも時間の問題かもしれない・・・と考えました。
花粉アレルギー症状がひどいときは、呼吸がいつも通りにはいかないために眠っていても睡眠の質が浅くて悪く、きちんと休めていない場合があります。ミカも夜中に鼻が詰まりよく苦しそうに起きていました。十分な酸素が脳に行き渡らないと、脳の動きも悪くなり気持ちのコントロールも難しくなります。
そのため病院に相談し、薬を変えてもらい、以前より睡眠の質は確保できました。
今までの私は、「やりたくないことは無理してやらなくてもいいよ」のスタンスでミカに寄り添ってきました。寄り添っているだけでは何も解決せず、どうすればいいのか悩んでいたときに、ネット検索の末に出会ったのが「お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション」でした。そして私は、繊細な子の心と脳を育てる専門家のむらかみりりかさんの元で学び始めました。
繊細な子の心と脳の仕組みを学ぶにつれ、寄り添っているだけでは、繊細な子は行動できるようにはならないということを知りました。そのため、正しいタイミングでミカの背中を押していきたいと思うようになりました。
3.持久走に向けたママの応援プラン
ミカが持久走大会を走り切るために、ママの応援プランを考え実行することにしました。
①できていることに注目し、ポジティブな声かけをしよう
普段できていることができなくなっている場合は、脳がキャパオーバー!もう何もできません!とSOSを出している状態です。そんなときは聞く耳が閉じてしまっていて、ママの声は届きません。できていることに対して声をかけることで「ママの言葉は心地よい」と感じられ、聞く耳がだんだん開いていきます。
・宿題をしていなくても注目しない
「鉛筆削っているんだね」としていることに声をかける
・着替えていなくても見て見ぬふり
「本読んでいるんだね」としていることに興味を示す
②ママの気持ちを伝えよう
エネルギーが切れているときは、ネガティブな思考になりやすいです。大人でも疲れていると、普段は気にしないようなことに過敏に反応してしまったりしますよね。「ママは見てるよ、大丈夫だよ」の気持ちが伝わることにより、繊細な子の安心が育ちます。
・「毎日練習を頑張ってるのかっこいいなと思っているよ」
・「いつもタオル畳んでくれて本当に助かるよ」
・「ミカが居てくれてよかった」
スキンシップをいつもより増やすのも効果的!
・いつもの「大好きだよ」にハグをプラス
・いつもの「ありがとう」に頭ポンポンをプラス
・何でもないときにも肩や背中をさすってあげる
③過去の頑張ったことを振り返ろう
ネガティブな思考になっているときは、自分のできていることに目を向けられていないことがあります。自分が頑張ってきたことを思い出すことで「できるかも」の自信が出てきます。
・今までの運動会やおゆうぎ会など、頑張ってきたことの写真や動画を一緒に見ることでイメージしやすくなります。
「あの時転んだけど、最後まで走っていてかっこよかったよ」
「大勢の前で、セリフ言えてたね」
「練習していたから本番できたんだね」
4.繊細な子の心の落ち着きを育むには
鼻が詰まり目もかゆくてつらそうだったミカが、ママの応援プランを2週間ほどコツコツ続けたところ、表情が和らぎ、花粉アレルギー症状も落ち着いていきました。
もちろんお薬の力も大切です。しかし、それだけでは届かない部分に、ママの応援プランで背中を押すことで、ミカの中に自信と安心が育ち、アレルギー症状をはねのける力ができたのです。
繊細な子には、ちょっとした不安や緊張が膨らんでしまうと、身体の不調として表れることがあります。「頑張りたいのにうまくいかない」と心が揺らぐことで、ミカのようにアレルギー症状が強く出てしまうこともあるのです。だからこそ、ママの安心がとても大きな力となることを実感しました。
そして、迎えた本番当日。応援に行った私の目に映ったのは、風を切って走るミカの姿でした。大勢の観客の中から、いち早く私を見つけ「ママ~」と手を振る余裕さえ感じられ、驚かされました。
「賞状が欲しい!」と挑戦してきたミカに、ママ特製の表彰状を用意してお疲れパーティーを開きました。「ただいま~」よりも前に「今日気持ちよかった~」と家に帰ってきたミカの姿が清々しくかっこよかったです。

執筆者:やまさき うみ
発達科学コミュニケーション