1.「学校は地獄」登校しぶりが始まった繊細ちゃん
現在小学3年生のわが家の繊細ちゃんは、小1の夏休み以降、突然登校しぶりがはじまり、教室に入ることができなくなりました。
母子登校や別室登校も経験し、なんとか再び教室の前まで来られるようになっていた娘、しかし、あと一歩がどうしても踏み出せず・・・
「行くの?行かないの?」
「大丈夫、ゆっくりでいいよ」
「もう入らないなら帰ろう!」
寄り添っても、背中を押しても、うんともすんとも言わず。
ただ立ち尽くす繊細ちゃんにきつく当たってしまうこともありました。
教室に入れない繊細ちゃんとただ待つしかない私。
私たち親子だけに流れる張りつめた空気に、押しつぶされそうになる日々を過ごしていた私が、繊細ちゃんの自信を貯金できる声かけに変えたことで、笑顔で「バイバイ!」できるようになったのです!
2.「ママ、足が動かない」教室に入れない理由
登校しぶりのある繊細な子が、教室に入れないのは、実は脳のしくみによるものだと知っていましたか?
今回は、特に知っておきたい繊細な子の脳の2つの特徴についてお話しますね。
①些細な刺激にも不安センサーが反応!ネガティブな記憶が溜まりやすい
もともと人の脳は、感情とその場面・場所をセットで記憶することができるのですが、繊細な子の脳は、不安の強さがゆえにネガティブな記憶が強く残りやすい傾向にあります。
(教室に入れなかった)
(泣いてママを困らせちゃった)
(お友達や先生にたくさん話しかけられて、答えられなくなっちゃった)
こうしたネガティブな感情が、学校・教室という場所とセットで脳にインプットされることにより、その場所を見ただけで不安を感じ、脳が「いやだよ!」と行動を全力で拒否するのです。
②人の評価が気になり、自信が育ちにくい
ひといちばい刺激に敏感な繊細な子にとって、実は学校は刺激の宝庫!
お友達や先生の表情、場の空気感など、ささいな変化でさえ全てキャッチできてしまうからこそ、不安センサーが過敏に反応します。
お友達と目が合っただけで睨まれたように感じたり、先生が少しアドバイスしただけで「怒られた」と感じたり、ネガティブな捉え方をしやすいために、気づかぬうちに自信がなくなっていくケースも少なくありません。
自信のなさは不安につながり、不安により脳の危険信号が作動することで、教室に入ろうと思っても体が動かない、つまり、脳が行動を拒否することで、教室に入れない悪循環がうまれてしまうのです。
では、どのように対応すれば良いのでしょうか?私が実践した方法をお伝えしていきます。
3.教室に入れない繊細な子の心と脳に合った対応
繊細な子の登校しぶりには、ただ寄り添うのも、いきなり背中を押すのも逆効果!
忘れてはいけない対応のポイントを2つお伝えしますね。
①自己肯定感が育つママの声かけ
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定する感覚のことです。
ありのままの子どもを肯定し、できていることを肯定し、ただ受け入れることで育まれます。
たとえば、
「かわいいね」
「大好きだよ」
と存在自体を肯定したり、
「起きたね」
「歯磨きしてるね」
と、当たり前に出来ている行動や今やっていることを肯定します。
ママが笑顔で、自分を見て、肯定してくれることで、自分はできてるんだ!これでいいんだ!と実感でき、自信につながります。
私は、朝起きてから学校に着くまでずっと、この肯定をシャワーのように浴びせることを意識しました。
「靴脱げたね」
「上履き履いたね」
「ここまで来れたね」
と、日頃からできていることを見つけては、細かく声かけしていきました。
②心の準備ができる余白の時間
自己肯定感が育てば、繊細な子も、「もしかしたら大丈夫かも」「自分にもできるかも」と、一歩踏み出す準備が整い、いよいよ背中押しの出番です。
ポイントは、子どもが自分で考え、自ら行動するための余白の時間をしっかり与えてあげることです。
ある朝、朝からご機嫌で順調に出発したものの教室前で動けなくなった繊細ちゃん。わが子のコンディションを理解していた私は想定内でした。
表情や声色から、私の気持ちを感じ取りやすい繊細ちゃんのために、笑顔で・優しい声で・ゆっくり間をとって、急かさず焦らせず、動き出すのを待ちます。
特に気を付けたのは、「帰る?帰らない?」を聞かないこと!
葛藤している繊細ちゃんが、自分のペースで動き出せるよう、とにかく平常心で見守りながら、朝のたくさんの「できたこと」を振り返りました。
「今日そういえば、朝スッと起きたのビックリしたよ~」
「ご飯もりもり食べてくれて嬉しかったな~」
「ねぇねぇ、あの番組面白かったね」
などなど、笑顔で優しい声で、まるで独り言かのように、反応を求めず話していると、それまでこわばっていた繊細ちゃんの表情も、ふっと和らぎはじめました。
「重たいランドセル背負ってここまで来ただけでハナマルだよ~」
と声をかけた次の瞬間、
「やっぱり行ってくる」と自ら教室に入っていきました。
いかがでしょうか?
教室の前、校門の前、玄関・・・
もし今お子さんが、どこかで立ち止まり、動けなくなっているなら、寄り添うだけでも背中を押すだけでもない、自ら動く力が育つ、脳に届く声かけを、一緒に始めてみませんか?
執筆者:ふじい あきな
(発達科学コミュニケーショントレーナー)