教室まで付き添い登校だった繊細な小学生が靴箱でバイバイできた脳が動きだすごほうび作戦

「ママと一緒じゃないと不安」という気持ちの強い繊細な子の成長を見守る中で「次の一歩、どうやって踏み出せるかな」と思うことはありませんか?1年間ずっと教室まで付き添い登校をしていた繊細な小学生が、「靴箱でバイバイ」に挑戦できた「ごほうび作戦」の声かけエピソードを紹介します。
 

1.1年生から続く教室までの付き添い登校

 

我が家には行き渋りのある繊細な小学2年生の男の子(通称みっくん)がいます。1年生の時は毎日付き添い登校をして、教室の前でバイバイしていました。

 

4月になり、 1歳の長女の保育園送迎もスタート。まずはみっくんと教室まで付き添い登校をし、一度帰宅してから長女を連れて保育園へ向かう生活をしていました。

 

そのままでもなんとか仕事には間に合っていましたが、家と保育園の間に小学校があるため、できれば「靴箱でバイバイ」ができたらいいな。そうしたらわたしもそのまま長女を保育園に送って、仕事へ向かうことができる。家族みんなの朝の流れを、少しだけスムーズにできたら…という気持ちがわたしの中に生まれました。

 

 

 

2.「靴箱でバイバイ」の大きなハードル

 

1年生の時は1階にあった教室も、2年生になって2階へとお引越し。もちろん2階の教室まで付き添い登校をしていました。

 

「靴箱でバイバイ」に立ちはだかるのは、階段を一人で上がって教室へ向かう、という大きなハードルです。

 

家で過ごしている時にさらっと「靴箱でバイバイできるようになるかな~」と提案してみたものの「え、怖い、ムリ」と、考える様子すらなく即答。

 

そうだよね、教室まで一緒に行くことで、やっとがんばって登校できてるんだもんね…。それでも、もしもみっくんが「靴箱まででいいよ」と言える日が来たら、それはみっくんの「できた」が、またひとつ育つことになる、そんなふうに思っていました。

 

 

 

3.もじもじする小学生の背中を押したごほうび作戦

 

みっくんの行きしぶりが強くなった小学1年生の1月、おうちで脳を育てる「発達科学コミュニケーション」のトレーナーで、繊細な子への関わり方を専門に教えているむらかみりりかさんに出会いました。

 

りりかさんの記事を読めば読むほど「みっくんのことかな?!」と引き込まれ、「このアプローチ法を学んで実践すれば、なにか変わるかもしれない!!」と、りりかさんの元で学び始めることを決意しました。

 

最初に学んだ「できないこと」ではなくて、「できていること」に注目して肯定することを徹底することで、再び教室に登校できるようになっていたみっくん。毎日の付き添い登校も、前向きな登校習慣として定着していきました。

 

今回は、うまく背中を押すことで「やってみよう!」と思える、ごほうび作戦を提案してみることにしました。

 

2年生になって2週間がたった金曜日、この日は1歳の長女を連れて学校へ向かいました。いつも通りみっくんとおしゃべりしながら小学校に向かい、靴箱へ到着。

 

まずは軽く声をかけてみました。「今日、靴箱でバイバイできそうじゃない?」するとみっくんは、ぎゅっとわたしの手を握り返して 「それは無理だよ~」と、小さな声でつぶやきました。

 

おや?「無理」とは言っているけれど、いつもの必死さは感じられません。今日は「明日はお休み!」という気持ちの軽さもある金曜日。ごほうび作戦でみっくんの背中を押してみることにしました。

 

そのときひらめいたのが「金曜日のお楽しみ」

わが家では金曜日、帰りに一緒に“1週間のごほうびおやつ”を買いに行くのがささやかな恒例になっていて、みっくんも、1週間がんばったごほうびをとっても楽しみにしています。

 

「今日は金曜日だから、ごほうびおやつの日だよね。もし靴箱でバイバイできたら、今日はスペシャルお菓子にしちゃうっていうのは、どう?」

 

みっくんはちょっと驚いたようにわたしを見て、それからもじもじし始めました。

 

そして、しばらく考えたあとで、こう聞いてきました。

「箱の(知育お菓子)でもいい?」

「もちろん、アリだよ!」

わたしがうなずくと、みっくんは小さくうなずいて、すうっと深呼吸。

 

「じゃあ、いいよ」と言って、バイバイの合図を出してくれたのです。

 

わたしが「いってらっしゃい」と笑って手を振ると、みっくんは振り返ることもなくひとりで階段を上っていきました。

 
 

 

4.「できた!」が、次の一歩の原動力になる

 

大人にとっては「靴箱から2階の教室へ行く」というだけのことのように感じますが、繊細な子にとっては、「靴箱から階段まで歩き、階段を上がって、教室に向かって、教室に入る」という、いくつものステップがある大挑戦。

 

「階段を上がって2階まで」一緒に行く、次は「靴箱から階段の下まで」一緒に行く、というスモールステップでも全然OKだなと思っていたわたしは、みっくんの大きな一歩に驚くばかりでした。

 

「できそうかも」と感じたタイミングに、 「ちょっと楽しみなごほうび」というきっかけを添えたことで、みっくんは自分の力でその一歩を踏み出すことができたんだと思います。

 

大人が焦らず肯定しながら見守ってあげればその子のペースで成長していくんだなと、またひとつ心に残る気づきでした。

 

「靴箱でバイバイ」ができる日ばかりではないかもしれないし、 月曜日には「やっぱり一緒に来て」と言うかもしれない。

 

それでも、 一度でも「できた!」の経験があると、「またやってみようかな」が生まれるはず。まずは今日、学校から帰ってきたみっくんに「1人で靴箱から教室に向かう後ろ姿、かっこよかったよ!!!」とギュッとハグをして、“箱のおやつ”を一緒に買いに行こうと思います。

 

親のわたしはつい、“成長の階段”を順調にのぼってほしくて、できればスムーズに、後戻りせずに、と思ってしまいがち。ですが、実際の子どもたちは行ったり来たり、寄り道しながら、その子なりの歩幅で前に進んでいくんですよね。

 

「できた!」の経験は、みっくんの自信にもつながっていくと思います。ごほうび作戦、よかったらぜひ試してみてくださいね。あなたとお子さんにも、うれしい一歩が訪れますように。

 

 

 

執筆者:みやざわちひろ

発達科学コミュニケーション

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