1.息子が不登校になりお昼ごはんを食べないことに悩む日々
わが子が不登校になり、「お昼ご飯を考えるのが大変・・」と感じられていませんか?
お弁当作っても全然食べない・・
お昼ご飯食べるように電話しても「いらない」「後で食べる」と返される
やっと食べたのは、数口の炭水化物だけ・・
不登校の息子のためにせっかく作ったお弁当を、手つかず状態で見つけたときにはかなりショックでした。「これなら食べるかな・・」と頑張って作っても空回りするばかり。栄養バランスの整った学校給食が食べられないので、家でしっかり食べさせなくちゃと焦りと不安で頭がいっぱいになっていました。
実は、繊細な子の脳のしくみを知ると、対応はガラリと変わるのです。
2.何で?お昼ごはんを食べない不登校の繊細な子
わが家の繊細な次男(通称:優士)は、小学校高学年で不登校になってから、お昼ご飯を食べない日が続きました。
その頃の優士は、
✔1日中家にばかりいてほとんど動かない
✔朝と昼は全く食べない
✔ゲームやYouTubeをやる時間は元気
仕事をしていて家の様子が分からない私は「食べなくちゃ元気になれないよ!」と、なんとか食べさせようよ必死に声をかけていました。しかし、食べる様子は全くなく、家に帰るとおやつを食べた痕跡が残っている状態で、偏食がどんどんひどくなっているように感じていました。
優士を思って、どんなに工夫しても変わらない状況に、「お昼ご飯を準備するのも、考えるのもめんどくさい・・」と思うようになっていきました。
3.お昼ごはんを不登校繊細な子が食べない理由
どうして不登校になった息子はお昼ご飯を食べたがらなかったのでしょう。そこには、脳疲労と感覚過敏の影響が隠れていました。
繊細な子どもの脳は、私たちが気づかないような小さな刺激にもとても敏感に反応します。例えば、音、におい、温度、味、食感など、たくさんの刺激を受け取って、心と脳はエネルギー不足になっていきます。
特に、不登校になった繊細な子は、「学校に行けていない」ことに罪悪感やプレッシャーを感じ取っていることも多いため、実は、目には見えないストレスとも戦っているのです。
すると、脳は、エネルギーを補給しようと、糖を欲しがります。そのため、不登校中のお子さんは、手っ取り早く糖を摂取できるご飯やパン、おかしなどばかり選び食べてしまうことも多いのです。
この糖質・炭水化物中心の食事が続くと、身体の中の血糖値の変化が大きくなるため、脳の中では、イライラしやすかったり、やる気が出なかったり、感情が乱れやすくなるのです。
さらに、ストレスが強い時は、感覚過敏も出やすく、「このにおいが嫌だ」「この食感が無理」など、特定の食べ物を拒否することもあるでしょう。
結果、糖質や炭水化物ばかり食べる→感覚過敏が悪くなる→偏食が強くなる、といった悪循環が生まれてしまうのです。
さらに、お母さんが「おかずも食べなさい」「お昼は食べなさい」と言うことは、繊細なお子さんの脳にはストレスとなり、「食べたくない!」を強めてしまうのです。
「お昼ご飯考えるの大変」と悩んでいる今こそ、お母さんの関わりを脳のしくみを理解して変えるチャンスなのです!
では、次の章では、私が実際に試して効果があった3つの方法をお伝えしますね。
4.お昼ご飯を食べない不登校繊細な子の脳に届く3つの対応
①食べなさいを止める
「食べなさい」と指示をすると、不登校繊細な子の脳にストレスを与え、さらに食欲が低下してしまうのでやめました。その代わり、食事の中での優士の小さな行動に注目して肯定の声かけをしました。
「ご飯の時間に座ってくれて嬉しいよ」
「いただきますって元気だね」
「お弁当のご飯は炊き立てだから美味しいね」
「お箸片づけてくれてありがとう!」
すると、少しずつ「食べようかな」の気持ちが出るようになってきたのです。
②脳と身体のため、タンパク質を意識的に増やす
偏食が進み、糖質や炭水化物ばかりでは感情的になりやすく、脳は疲れやすくなるため、タンパク質を重視し、食べたくなるお誘いをしました。
「身長が高くなりたい優士君!あなたにはタンパクが超おススメ!」
「今日のタンパク質チャレンジはお魚だよ~」
「納豆巻き良いじゃん!スタミナ満タンになれるね!」
「おやつは栄養たっプリンだよ」
「今日のお昼でパワーアップ!」
優士には楽しい雰囲気が伝わり、お肉やお魚を食べる量が増えるようになりました。
③見た目に楽しい仕掛けをプラス!
わが家は共働きのため、優士は1人でお昼ご飯を食べていました。そこで、お昼を「楽しいイベントになるように」と、トレーやお皿選びにちょっと演出を仕込みました。お弁当箱をやめ、プレート盛り・まめ皿・箸置きなどを使い、優士だけの特別感を出しました。
すると、「今日は黒のトレーが良い」「お皿、こっちにしようかな」と、自分で選ぶことが楽しみになり、自然とご飯に向かうように変わっていきました。
5.「食べさせなくちゃ」から「一緒に楽しむ」へ
「お昼ご飯、ちゃんと食べさせなくちゃ」 そんな思いで必死にお弁当を作り続けていた頃の私は、 食べない息子を前に、疲れとイライラが募る一方でした。
しかし脳の仕組みを理解して、対応を変えるようになってからは、「どうやったら楽しく食べられるかな?」に目を向けるようになりました。
不登校で1人で過ごすお昼時間に、少しでも安心できる工夫を届けること。 それが、優士の心と脳をほんの少しずつ元気にしてくれたように思います。
栄養ももちろん大事ですが、「安心して食べる」という経験そのものが、不登校繊細な子にとって最高の栄養になります。
「食べさせる」から「一緒に楽しむ」へ。そんなふうに関わり方を変えたことで、 私自身もずいぶんラクになれています。
もし今、「お昼ご飯考えるのも、もうしんどい…」と思っているのなら試しに1つだけ。ちょっぴり始めてみませんか?
執筆者:増山陽香
発達科学コミュニケーショントレーナー