1.はじめてのことに挑戦できない繊細な子
やりたい気持ちがあっても、いざ目の前にすると「やらない」と言って、お子さんが挑戦できないことはありませんか?
わが家の小学2年生の娘(通称:ミカ)は、はじめてのことに挑戦することが苦手です。いざやろうとすると足が止まってしまい、すごく時間がかかったり、結局何もせずに帰ることになったりしていました。
そして私は、何とか挑戦させようと「さっきまでやりたい!って言ってたのにどうしたの?」と気持ちを聞いてみたり、「やってみたら楽しいよ」とアドバイスしてみたり試行錯誤して対応していました。
しかし、この声かけがはじめてのことが苦手な繊細な子には逆効果だったのです!
2.繊細な子の不安が増してしまう理由
はじめてのことに対して不安が強く出るミカの姿に「どうして?」という思いが、どんどん膨らんでいったときに、本やネットで答えを探し求めてお家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」に出会いました。
そして、その中の繊細な子の心と脳を育てる専門家のむらかみりりかさんの元で学び、ミカの心と脳のしくみを知りました。
ミカの足が止まってしまう理由の一つは、繊細な子の脳は人の感情や評価に敏感に反応するため、1番影響力があるママが言うことは「絶対!」と思い込みやすいことにありました。
たとえば、何か上手にできた時に「すごいね!」と褒められていると、
”上手く出来ること=出来る・良いこと”
”上手く出来ないこと=出来ない・悪いこと”
0か100かのように物事を極端に捉える完璧主義、白黒思考が強くなってしまうのです。
そのため、逆に「出来なかったらどうしよう」の不安な気持ちに襲われてしまうと、「やってみたい!」の気持ちが持てず、挑戦の一歩が踏み出せなくなるのです。
そんな自分の中で不安と葛藤している最中に、「こうしたら?」「きっとできるよ」なんて、アドバイスをされたり励まされたりしても、うまく受け入れられず「絶対イヤだ」「やらない」に繋がってしまいます。
ママの良かれと思っての一言であっても、繊細な子には逆効果になることがあったのです。
3.挑戦する繊細な子への上手な背中の押し方
今までしていたアドバイスに変わる、挑戦する繊細な子への上手な背中の押し方をご紹介します。
①口を出さずに見守る・待ってあげる
何も言わずに待つなんて、以前の私には考えられないことでした。ミカを助けてあげることが愛情だと思っていたからです。
しかし、私から「やってみようよ!」と口を出して無理に挑戦させた結果「できなかった」「ママに言われてやって失敗した」そんな記憶になってしまうときもありました。
繊細な子は、ネガティブな感情に敏感でそれが記憶として残りやすい特性があります。そのため、挑戦できても、できなくても、ポジティブな記憶で終わることが何より大切なんです。
「やってみてよかった」「挑戦できた」のポジティブな記憶が、また次の一歩を踏み出す勇気に繋がっていくのです。
良かれと思ってアドバイスしたくなりますが、待ってあげることで、自分で考えて気持ちを話してくれたり、気持ちを切り替えてやってみようと思えたり、自分で行動する成長のチャンスがやってきます。
たとえ挑戦できなかったとしても、気持ちを話してくれたことに「教えてくれてありがとう」「たくさん考えたんだね」と優しい言葉をかけてあげましょう。
②結果ではなく1%のできたことに注目する
私は今までずっと、何か成し遂げたときに「すごい!」うまく出来たときに「上手!」と結果に対して褒めてきていました。その結果、ミカの完璧主義を強めてしまっていたことがわかり、ハッとしました。
完璧主義・白黒思考が強い繊細な子は「できる=完璧にできる」と捉えています。自分の中で、99%できていることでも100%でないと「できた」と思えないのです。
ママが1%のできたことに注目して声をかけてあげることで「これでいいんだ」と思うことができ、0か100かの捉え方も和らいでいきます。
「挑戦しようと思って、靴脱いだんだね」
「ここまで電車で来て、楽しかったね」
ママの毎日の褒め方を結果ではなく、それまでの過程に注目することで繊細な子の安心と自信が育っていきます。
4.見守ることで育った挑戦する気持ち
ミカは、このような対応を続けていくうちに、はじめてのことでも「やってみよう」と挑戦できたり、「ちょっと怖いからママ先にやってみて」と挑戦するための方法を自分で考えて行動できたり、頼もしい姿に変身していきました。
そして、「またやりたい!」と嬉しそうに飛び跳ねる姿を見ることができました。
まだまだ「できないとダメ」と思っている様子もありますが、自分のできていることに目を向けられるようになり「ま、いいか、また次頑張ろう」と前向きに捉えられるようになっています。
これからも、自分で行動する成長のチャンスを待ってあげて、ポジティブな記憶を1つでも多く一緒に残していきたいです。
執筆者:やまさき うみ
発達科学コミュニケーション