これって場面緘黙?挨拶ができない繊細な子が笑顔で挨拶できるようになったママの対応

挨拶ができない子どもに「なぜ?」と悩んでいませんか?それは場面緘黙かもしれません。繊細な子の脳は大人が思う何倍も緊張や不安を感じて、その結果動けなくなってしまうことがあります。今回は挨拶できなかった息子が挨拶できるようになったママの対応を紹介いたします。

1.挨拶ができない、挨拶されても黙ってしまう繊細な息子

 

我が家にはひろくんという年長の男の子がいます。小さい頃は愛想がよく、知らない人に声をかけられてもおしゃべりをしたりして、可愛がられていました。

 

4歳になった頃から人見知りをするようになり、人に会って声をかけられたりしても私の後ろに隠れるようになりました。保育園の送り迎えの時も、担任の先生には挨拶ができるのに、それ以外の先生に「おはよう」「さようなら」と言われてもだまってしまう。

 

「ご挨拶は?」と聞いてもうつむいたり、走ってその場からいなくなったり。私はそんなひろくんを見て「なんで挨拶ができないんだろう?」と疑問に思っていました。

 

 

2.家の中での「おはよう」さえ言えなくなった

 

このままでは挨拶ができない子になってしまう、と危機感を覚えた私は注意ばかりするようになりました。

 

「挨拶はちゃんとしなきゃダメだよ」

「挨拶をされたら挨拶を返さないと失礼だよ」

 

しかし言えば言うほど、ひろくんはどんどん挨拶ができなくなりました。家の中でも、朝はむすっとした顔で起きてきて「おはよう」すら言わなくなってしまったのです。

 

 

3.これって場面緘黙?繊細な子が挨拶できない理由

 

ひろくんの育児での悩みは尽きませんでした。いつ困りごとが起きるだろうと気を遣いながら生活をする日々。どうにかしたいと模索する中で、お家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」(以下発コミュ)に出会い、ひろくんは繊細な子なんだ、ということを知りました。

 

そしてママのコミュニケーションを変えることで繊細な子の脳を伸ばせる、と教えてもらい、発コミュを学ぶことを決めました。

 

発コミュを学ぶ中で、繊細な子の脳はまわりの反応を敏感に感じ取るので、些細な事でも大人が思う何倍も緊張したり、不安になりやすいということがわかりました。

 

また繊細な子は完璧主義なところがあり、うまくやらなければいけないという気持ちがプレッシャーになり動けなくなってしまう

 

大人でもそんなに親しくない人に挨拶をする時、「今声をかけても大丈夫かな」と少し緊張したり、「気付いてもらえるかな」と不安に思うことはありますよね。繊細な子はそれを何倍にも感じ取って動けなくなってしまうのだとわかりました。

 

また「場面緘黙(ばめんかんもく)」という言葉も教えてもらいました。場面緘黙とは、家では普通に話せるのに、特定の場面・人の前では声が出せなくなるというものです。

 

たしかにひろくんは普段の会話は問題がないのに、よっぽど親しくない人に対してのみ挨拶ができない。これは場面緘黙だったのかと、納得することができました。

 

私が「挨拶はちゃんとしなきゃダメ」と度々注意していたことで、余計にプレッシャーを感じて、挨拶ができない自分に落ち込み、ますます挨拶ができなくなっていたのです。

 

 

4.繊細な子が挨拶できるようになったママの声かけ

 

場面緘黙には、本人の不安を和らげてあげながら、少しずつコミュニケーションを広げていくことが大切です。

 

まずは、挨拶ができていなくても注意しないことを徹底し、その上で私自身が笑顔で挨拶をする姿を見せることを心がけました

 

①まずは家の中を安心して挨拶ができる環境に

 

朝、むすっとした顔で起きてきて挨拶をしなかったとしても、そのことには触れません。「おはよう」と笑顔でママから挨拶をしました。

 

翌日の朝起きてきた時、いつもとは違う穏やかな顔をしていることに気付きました。「ご機嫌に起きられたんだね」と伝え、今日も「おはよう」と笑顔で挨拶。

 

その翌日、「おはよう」と笑顔で挨拶すると、下を向きながら「おはよう」と小さな声でつぶやいてくれました!

 

下を向いていることや、声が小さいことには触れず、「おはよう、と言ってもらえて嬉しい」と伝えるとひろくんは照れくさそうに笑っていました。

 

注意をやめて、私から笑顔で挨拶をするようにしたら、たった3日でひろくんは家の中で「おはよう」と言えるようになったのです。

 

 

②家の外でも挨拶のお手本を見せ続ける

 

我が家はマンションなので、エレベーターで一緒になるとまずは挨拶をします。

 

ここでもひろくんが挨拶をしなくても注意しない。向こうから声をかけてもらって答えられなくても、代わりに私が元気よく挨拶をするという対応を続けていました。

 

数日経った頃、複数人乗っているエレベーターから降りる時にひろくんは「バイバイ」と挨拶をしたのです。エレベーターの中の人も笑顔で挨拶を返してくれました。

 

「挨拶できたね」

「挨拶したらみんなニコニコしてたね」

 

ひろくんの行動を肯定する声かけをすると、ひろくんも嬉しそう。それからマンションのエレベーターから降りる時は「バイバイ」と言うことがひろくんの日課になりました。

 

以前の私なら「挨拶できたね。でもバイバイではなく”さようなら”でしょ。」とひろくんがやる気を失くしてしまうような余計な一言を言っていたと思います。

 

注意は封印して、肯定して会話を終わることでひろくんの「できた!」という自信につなげることができました。

 

 

5.マナーや礼儀よりも大切な子どもの成長

 

発コミュに出会う前の私は、「挨拶は最低限のマナーで、親が子どもに身につけさせなければいけない」「子どもが挨拶ができないと私の親としての常識まで疑われそう」という思い込みから、まわりの目を気にして注意してばかりでした。

 

その結果、ひろくんはどんどん不安と緊張が大きくなってしまい、「声を出したくても出せない」という場面緘黙のような状態にまでなってしまいました。

 

発コミュで学び始めてから大切なことは、マナーや礼儀よりも子どもの心と脳を伸ばすことだと思うようになりました。

 

まわりの目を気にするより、目の前の我が子の気持ちや脳の状態をわかってあげること。そして私が我が子に合った声かけをすることで、「僕はできる!」と自信をつけてあげることができるのです。

 

そんなひろくんは小学校1年生になり、学校では先生やお友達に「おはよう」と挨拶ができるようになっています。

 

これからも焦ることなく、ひろくんに合ったペースで成長をサポートしていきたいです。

 

 

執筆者:にしやまともか

発達科学コミュニケーション

タイトルとURLをコピーしました