1.「あの子ににらまれた」と落ち込む繊細な子
わが家のひといちばい敏感な娘(通称:ミカ)が小学1年生の頃のお話です。
夏休みが明けた2学期の9月に「あの子に睨まれた」と落ち込んで帰ってきました。
それから毎日のようにお友達トラブルと思えるネガティブな発言が続きました。
「みんな私のことを怒る」
「出来てないと言ってくる」
「みんな私のこと嫌いなんだ」
そして、だんだん学校がイヤになり、「行きたくない」と言うようになってしまいました。
2.お友達トラブルの状況が見えないもどかしさ
夏休みは楽しく過ごし、2学期が始まってからも元気に登校していたので、よくあるお友達トラブルだろうと様子を見ていました。
しかし、日に日に状況が悪化して教室に入るのさえイヤだと言って泣くようになり、私の中でも心配が膨らんでいきました。
先生に電話をして状況を聞きましたが、「もしそうであれば、見ていないところでのことであって、見ている分には何の問題もなく仲良くしていますよ、今後も気をつけて見ていますね」とのことで、状況は見えないままでした。

3.繊細な子のネガティブな発言には同調しない
私は「お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション」に出会い、繊細な子の心と脳のしくみを理解することで、なぜ日に日に落ち込んでいき行動できなくなってしまうのかがわかりました。
ママがネガティブな感情に同調することで、繊細な子の中での10だった不安が20、30と膨らんでしまう心と脳のしくみがあったのです。
一見、「こんなにツラそうなのに共感してあげないと可哀そう・・・」と感じるかもしれません。私も今まではそう思い「そうなの?ひどいねーコワイねー」と一緒になって眉をハの字にしてミカに寄り添っていました。
その結果、知らず知らずのうちに不安がどんどん膨らんでしまい状況は悪化する一方でした。
では、どうすればいいのか対応方法を次章でお伝えします。

4.自分の気持ちを言葉にする力を育てるママとの練習
ミカの発言には共通点がありました。
「にらまれた」や「嫌われた」など、どれも相手がどうしたかの話ばかりで、自分がどう感じたかを言っていなかったんです。
それは、繊細な子の自分の気持ちを表現することが苦手という脳のしくみにあります。それに対して、人の感情や表情は敏感すぎるくらいキャッチすることができるので、「にらまれた」や「嫌われた」というネガティブな情報だけが残ってしまうのです。
◆ママには「何でも言っていいんだよ」の関係性を作る
普段の繊細な子が話すこと・やることに対して否定しないことが大切です。
「いいねー」「なるほどねー」「そういう考えもあるね」などママが相槌上手になると、もっと話したい!ママに話すと気分がいい!と安心感から心を開いてくれます。
◆自分の気持ちを言葉にする練習をする
絵本を読んでいるときに「何読んでるの?」と声をかけて内容を聞き、「このとき○○ちゃんはどう思った?」と、普段から気持ちを言葉にする練習をしていきます。
(テレビでもゲームでも何でもOK)
もし、うまく言えないときは、ママが代わりに言葉にしてあげましょう。
たとえば「○○だったから、寂しかったのかな?」と気持ちを代弁してあげることで、少しずつ自分の気持ちを見つける力が育っていきます。
5.繊細な子の「見えない不安」を言葉にするお手伝い
繊細な子は、目に見えない小さな刺激にも大きく反応し、不安を膨らませてしまうことがあります。特にお友達関係のような「相手の気持ち」が関係する場面では、自分の気持ちが置き去りになり、「にらまれた」「嫌われた」など、受け身の言葉ばかりが残ってしまいお友達トラブルになりがちです。
そんなときこそ、ママが安心できる存在でいることで自分の気持ちを話してくれるようになります。
「授業中にわからなくて、お友達がみんな見ていたから怖かった」
「1人で最後に残ってしまって寂しかった」
など気持ちを言葉にできるようになると、その場での思いが昇華されて、次の日も登校できるようになりました。
「見えない不安」を言葉で表現することで、繊細な子のお友達トラブルがあったとしても、解決できる強さに繋がっていきます。
高学年、中学生・・と今後のお友達関係に大きく影響してくるので、おうちで練習して言葉で表現することを定着させてあげたいですね。

執筆者:やまさき うみ
発達科学コミュニケーショントレーナー