1.「小学校には行かないからね」という繊細な娘
年長の6月から母子登園を始めたこはるちゃんは、少しずつ園生活に慣れ、笑顔で1日を過ごせるようになってきました。
10月になると、幼稚園でも「小学生になったらハンカチはポケットに入れるんだよ」など小学校の話題が増え、小学校への意識が高まっていきました。
こはるちゃんは小学校の話になるたびに、「小学校には行かないからね」と断言。その言葉に、私はどう返せばいいのか分からず、戸惑いと不安を抱えていました。
2.「小学校には行かない」に隠れた不安の分解
幼稚園の行きしぶりに悩み、ネットで検索する日々。
共感したり、励ましたり、しばらく休ませて様子を見たりと、私なりにいろいろ試してみましたが、それでも娘の行きしぶりは次第に強くなっていきました。
そんな中、お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション(以下発コミュ)のトレーナーである、むらかみりりかさんに出会いました。
親子のコミュニケーションを変えることで、繊細な子は、繊細さを強みに変えることができるという事を知り、「何か変わるかもしれない!」と思い、発コミュを学び始めました。
発コミュで、下記のことを学びました。
繊細な子が「こわい」「いやだ」と強く拒否するのは、楽しそうなことでも漠然とした不安を敏感に感じ取り、脳が全力で拒否しているからだということ。そして、その不安の正体を一緒に分解し、言葉にしてあげることが大切だと学びました。
また、大人が思っている以上に、子どもには丁寧で分かりやすい説明が必要であり、「見通しを持てること」が安心につながるということも学びました。
3.不安を安心にするため小学校見学を申し込む
①小学校へ事情を説明し見学を申し込む
10月半ばを過ぎても、小学校の話になると「行かないからね!」と拒否する繊細な娘の様子に、私は心配が募っていきました。
私自身も、母子登園を続ける中で「小学校ではどんな対応をしてもらえるのだろう?」という疑問を抱いていました。
「実際に行ったことがない場所に不安を感じるのは、当たり前だよね」
そう思い直し、思い切って小学校に電話をして、小学校見学をお願いしてみることにしました。
そして、11月初旬。小学校見学が決まりました。
教頭先生と話す時間もあると伺い、娘にも「先生に聞きたいことがあればメモにして聞いてみようか」と声をかけてみました。
最初は「質問なんてない!」と言っていた娘でしたが、私が「お母さん、給食が大好きだったんだよ。小学校の給食って美味しいのかなぁ?」と話すと、少し興味を持った様子。
「それ、聞いてみる!」と、ノートに質問を書き始めました。
②新しいランドセルを背負って小学校見学に出発!
当日の朝、小学校でどんなことを見学できるのか、教頭先生が案内してくれることなど、ざっくりとした流れを娘に伝えました。
そして、新しいランドセルを背負った娘と、夫、私の3人で通学路を歩いて小学校へ向かいました。 娘は緊張しながらも、どこか嬉しそうな表情を浮かべていました。
事前に用意していた質問を教頭先生に伝えると、とても丁寧に答えてくださいました。「疑問に思ったことは、先生に聞けば教えてもらえるんだ」と、繊細な娘にとって安心できる経験になったようです。
校内を回りながら、1年生の授業の様子や学校での取り組みについても丁寧に説明してくださいました。
その夜。
娘が私の膝の上にちょこんと座り、恥ずかしそうにこう言いました。
「わたし、小学校に1人で行けるようになりたい」
小学校は「怖いところ」ではなく、「ちょっと行ってみたい場所」になった瞬間でした。
実際に小学校見学をして、不安を先生に伝え、答えてもらったことで親子で、少しずつ希望という光が見えてきた気がしました。
4.見学後は「小学生になったらね」という話が増えた繊細な娘
小学校見学をしてから、娘の口から出る言葉が変わっていきました。
「小学校=私は行かない」という拒否の姿勢から、「小学生になったら、校庭で思いきり遊びたい!」と、前向きな言葉が聞かれるようになったのです。
その後も、「ランドセルに何を入れるの?」「お友だちできるかな?」と、小学校での生活を想像するような話が少しずつ増えていきました。
もちろん、母子登園中だったので「1人で行けるかどうか」については不安はありました。それでも、「行ってみたい」という気持ちが芽生えたことは、私たち親子にとって大きな一歩です。
あの時の見学という体験は、娘にとっても私にとっても、「安心への第一歩」になったと感じています。
初めてのことに不安を感じやすい娘ですが、これからも安心できる見通しを立てながら、 少しずつ挑戦できるように、サポートしていきたいと思います。
執筆者:葉月 まき
発達科学コミュニケーション