1.繊細な私の娘の予防接種は毎回大暴れ
私の娘は小学4年生。繊細な気質をもち、大げさなほど怖がります。
娘は年を重ねるにつれ予防接種に拒否反応を示し、病院では、心の準備が整うまでいつも看護師さんを待たせていました。
待てど暮らせど心の準備が整わないので、最後は大暴れする娘を大人3人で押さえつけ、なんとか予防接種を済ませていました。
私は娘に「予防接種だから病院に行こう」と誘うと、あの大暴れの場面がよぎるので毎回とても憂鬱でした。
2.娘の返事は即答で「イヤ!」
娘が予防接種が苦手でも年に数回、案内が届きます。
この日も、大暴れすることは覚悟した上で、今日は予防接種に行く日であることを伝えました。
予想通り、娘は即答で「イヤ!行きたくない!」と言い、一気に機嫌が悪くなってしまいました。
3.繊細な子の脳の特徴と基本の肯定のテクニック
①学んだ繊細な子の脳の特徴
娘の些細なことにも傷つく繊細さや、病院に限らず外出をも拒む娘の対応に困った私は、繊細な子の心と脳を親子の関わり方で育てるメソッド「発達科学コミュニケーション(以下、発コミュ)」を学んでいました。
繊細な子は、ネガティブな記憶をためやすい脳の特性があることを学びました。今回のように苦手なことに向かおうとすると、その記憶が思い出され「またイヤなことが起きるから止めておこう」と一気に心のブレーキがかかるのです。
また、見通しの立たないことにも「何が起こるのか分からなくて怖い」という不安が大きくなり、ますます心のブレーキが強くかかってしまうのです。
予防接種=前に痛い思いをした
何のために痛い思いをするのか見通せない!絶対イヤ!行きたくない!と脳の中では不安が暴走しています。
このような状態でしたので、いざ病院に着く頃には大暴れとなっていたのです。
②発コミュの基本、肯定のテクニック
脳の特性を理解し、何か行動をさせようとするときにもっとも基本となるのが、親子の信頼関係です。
好ましくない行動はスルーし、好ましい行動にのみ、肯定的な声をかけていくと、親子の信頼関係は深まり、ママの声がしっかりと子どもの耳に届くようになっていきます。
発コミュを学んだ私は日々実践しているところでした。
4.脳に届く声かけが効果的
私は、繊細な娘の「イヤ!」の言葉に感情的に反応すると、脳の感情を司るエリアがより暴れ出し、不安を大きくすることを学んでいたので、「ふ〜ん、そうなの〜」と否定はせず肯定的な返事をして一旦その場を離れました。
しばらくすると、少し落ち着いた様子で「日本脳炎って何?」と娘が聞いて来ました。
そこで私は小学4年生でも分かる言葉を選びながら丁寧に説明しました。
「かかると治すことが出来ない脳の病気なんだけど、かからないようにする予防接種はあるの。だから、あなたに注射して欲しいんだよ。」
娘の「どうしてあんな痛い思いをしてまで注射しなくてはならないんだ?」という気持ちに冷静に答えました。
娘の感情が落ち着いてから、ゆっくり穏やかに話すことで、私の声が娘の脳に届いたようです。冷静さを取り戻した娘は、それなら仕方ない、行くかな、という様子。
見通しの立たないことへの不安が和らいだことで、心のブレーキが少しずつ和らいできました。
少し背中を押せばすんなり出発することが出来るのではないか、と考えた私は、発コミュの「ご褒美作戦」を提案してみました。
ご褒美作戦とは、ご褒美と肯定の言葉をセットにし、好ましい行動をしやすくするものです。
「ねぇねぇ、予防接種したら駄菓子屋に行かない?」
娘はパッと表情が明るくなり「駄菓子屋、いくら分ならいい?」と会話に乗ってきました。
交渉の末、予防接種のあと駄菓子屋さんで200円分のお買い物をすることが決まりました!
そして、無事病院へ行くことができたのです。病院に着いてからも、私は平静を装ってはいましたが、内心は「ここまではすんなり来たけれど、どうなるんだろう」と心配していました。
そして、いよいよ娘の名前が呼ばれ処置室に向かいます。
いつもは大暴れの娘がスタスタと椅子の前まで歩いて行き……
椅子に座る(1秒)
注射(1秒)
立ち上がる(1秒)
なんとたったの3秒で予防接種を終えることが出来たのです!
これには、私も顔なじみの看護師さんたちもびっくりです!
5.言葉の裏側にある本心
ただ痛いから「イヤ!」だったのではなく、何のために痛い思いをしてまで予防接種をするのか分からないから「イヤ!」だったということに私は気づくことができました。
そして正しい対応をすれば、娘はちゃんと理解してくれるということも。
いつもだったら、大暴れしても仕方がない。なんとか説き伏せて、それでもダメなら押さえ込んで……と考えていたことでしょう。
感情的な娘に応戦することは火に油を注ぐようなもの。
これからも苦手なことや不安なことに立ち向かうとき、ネガティブな返事であっても、言葉の裏側にある本心は何かな?と、まずは私が冷静に対応することを心がけていきたいです。
娘の脳に声が届くよう、これからも親子の信頼関係を深めていきたいです。
執筆者:あなんしほ
発達科学コミュニケーション