不登校で運動不足の繊細な娘が2キロマラソン完走!わが家にヒーローが誕生したママの1%の肯定

不登校のお子さんっておうちに居ることが多く、運動不足が心配になりませんか?「いざマラソン大会に出場する」となったのに、さほど練習をしない繊細な娘にヒヤヒヤしながらも、娘の力を信じて感動の瞬間を味わった記録です。

1.ネガティブ発言ばかりの繊細な不登校の娘

 

私の娘、千帆は小学4年生。繊細な気質を持ち、学校や習い事で失敗体験から自信を失い、小学3年生から不登校になっていました。

 

どんなに「できているよ」「失敗したって平気だよ」と励ましても、繊細な千帆の心には届かず、むしろ「どうせ失敗する」と何事にもネガティブな発言ばかりが増えてきていました。

 

励ましても励ましても挑戦できない千帆の対応に困った私は、自己流では解決することが難しいと判断し、実践型の学びを探しました。

 

千帆が小学3年生の夏、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を専門に教えているむらかみりりかさんに出会いました。


私がそのメソッドである発達科学コミュニケーションを学び進めると、千帆はだんだんと小さな挑戦ができるようになっていきました。

 

 

2.練習をしない運動不足の娘

 

ただ、不登校ということもあり日常的に運動に取り組むことはありませんでした。

 

千帆の運動不足が心配になった私は、以前応援で行ったことのある2キロマラソンの参加を提案してみました。

 

このマラソン大会は、選手の控えエリアに試飲や試食、クイズコーナーなどがあり、マラソンに参加しなくてもたくさんのお楽しみがあるものだったので、「千帆にとっては良い印象が残っているのではないかな?」と、ほのかに期待していました。

 

千帆にとっては大きな大きな挑戦となることも分かっていたので、「半分断られるのではないかな?」という思いもありました。

 

「ねぇねぇ、来月の連休に、去年お姉ちゃんのマラソンの応援で行った大会がまた今年もあるんだけど、今度は千帆も走ってみない?」

 

と聞くと、千帆の返事は予想外にも「出る!」

 

私は嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

 

ただ、普段、ほとんど家から出ない運動不足の千帆が、急に2キロを走り抜くなんて練習なしには考えられませんでした。

 

「ビリにはなりたくない」と言いながらも、「走る練習しようよ」と練習に誘っても断られます。

 

些細なきっかけでへそを曲げてしまう千帆が、やる気を無くして「マラソンなんて出たくない」となってしまうのも心配で、「出る」とは決まったもののどう練習への声をかけて良いか悩んでしまいました。

 

 

3.繊細な子の脳の特徴と基本の肯定のテクニック

 

①繊細な子の脳の特徴


繊細な子の脳は否定の注目を10割増しで受け取る特徴があることを学びました。

 

例えば「運動不足なんだし、練習しないとマラソン、ゴールできないよ」と練習を頑張ってもらいたくて伝えると……

 

「私は練習していない。練習していないことを叱られた。もうヤダ、練習なんてしたくない。やる気がなくなった。マラソンに出たくない」とどんどん気持ちがネガティブになっていってしまうのです。

 

②肯定のテクニックで自信を貯金する


否定の注目とは反対に、肯定的な注目は目減りして伝わります。

 

細かく素早く小さなことでも、声やジェスチャーで、「あなたはできているよ!」と伝えます。

 

・当たり前にできていること
・途中まででもやろうとしたこと
・にっこり笑顔でグッジョブサイン

 

出来ていないことをどうにかするのではなく、「1%でもできていること」を伝え、自信の貯金をコツコツ貯めることが、挑戦する心の強さになる学びました。

 

 

4.「1%のできた」に注目して育てた繊細な子の挑戦する心

 

・お友だちの家への道のりがトレーニング


不登校になり、ほとんど家から出ない千帆でしたが、週に2日は夕方に、お友達の家に遊びに行っていました。

 

そのお友だちの家というのが、わが家から1キロ弱離れていて、しかも最後に100段ほどの階段を上った先にあるのです。

 

「歩き」ではあるものの、往復すれば2キロ近い距離を、階段の上り下りもしながらの運動をしていたことに気付いた私は、このことを千帆に伝え、自信を授けようと考えました。

 

マラソンまでの数日間、「あの100段階段の上り下りはけっこうなトレーニングだよね!」「ママなんてすぐ息上がっちゃうのに、平気なの!?びっくりしちゃう!」と千帆に伝え続けました。

 

 

・パパとケンカした前日のトラブル


ところが、マラソン前日、一度も2キロを通しで走ったことのない千帆を心配した夫が、とにかくたくさん歩くことで練習させようと作戦を考えました。

 

千帆が大好きなおいしいアイスクリームを食べるために、少し遠い場所まで出発したのですが……

 

出発から数分後、千帆は「パパとケンカした」と泣きながら帰ってきたのです。

 

泣いているときは、脳の感情を扱うエリアが暴れているため、私の言葉は耳に届きません。

 

しばらくは背中をトントンとさすりながら話しかけずに待ちました。

 

そして落ち着いてからゆっくり「何があったの?」と聞いてみると

 

「パパに、運動不足なんだし、お友だちの家に行くくらいの練習じゃ足りていないって言われた。100段階段はすごいトレーニングなのに馬鹿にされてイヤだった」と話してくれました。

 

「このままでは自信も失ってマラソン大会に出る気持ちも失ってしまうかもしれない」と考えた私は、少しだけ夫に悪役になってもらって、娘のやる気を取り戻し、さらに当日のウォーミングアップができる作戦を考えました。

 

「ねぇねぇ明日マラソン大会に行く前にパパをあの階段に連れて行ってあげたら?パパ知らないんだよ、あの階段がどんなにトレーニングになるかっていうことを!」

 

すると千帆は
「うん!そうだそうだ!パパは知らないんだ、明日連れて行く!」と元気を取り戻しました。

 

その後、私から夫に、千帆の気持ちと明日の作戦を伝えて、一肌脱いでほしいとお願いしておきました。

 

5.繊細な娘が運動不足を乗り越えて笑顔のゴール!!

 

 

・繊細な娘の自信を取り戻すパパとのウォーミングアップ

 

そして、当日の朝です。
作戦通り、千帆と夫は100段階段に向かいました。

 

二人は和やかな雰囲気で帰宅。

 

夫からは「あんな階段走って上ってるなんて驚いた」と千帆の日頃のトレーニングを肯定する言葉が出てきました。

 

作戦成功!自信を再び取り戻した千帆は元気に朝ご飯を食べて、いよいよ出発です!

 

・繊細な娘はわが家のヒーロー!!


会場に着き、選手控えエリアで楽しみ、リラックスした様子の千帆でしたが、スタート直前、選手集合場所で明らかに顔がこわばります。

 

家を出発した!
会場に到着した!
走り終わった後のご褒美も決めた!
マラソンの選手集合場所に行った!

 

ここに至るまでにもたくさんの1%のできたを積み重ねてきた千帆はもうすでにハナマルいっぱいです。

 

私は、「もっともっと」と思わないように、千帆の今までの頑張りすべてを肯定し見守るのみです。

 

そして、いよいよスタートのアナウンス。

 

見守ると決めたのにヒヤヒヤする私がいます。

 

不登校になり、「どうせ失敗する」と挑戦することさえ難しかった千帆が、スタートラインに立っているのが見えました!

 

そして、一斉スタート!!スタジアムを1周し、外周コースに出て行くと応援席から姿を見ることは出来ません。

 

運動不足が解消されるほどのトレーニングだったかと言われれば足りてはいないかもしれない。どこかで立ち止まってしまうんじゃないか、転んで倒れ込んでしまうんじゃないか、たくさんの不安と心配が私の頭をよぎりました。

 

およそ10分後、最終ランナーとなった千帆がスタジアムに戻ってきました!

 

顔を真っ赤にして確実に一歩一歩ゴールに向かって進んでいます!

 

千帆は応援サポーターさんに囲まれて最後は横並びで笑顔のゴール!!

 

「ビリになりたくない」と言っていた千帆でしたが、もはや順位など関係ありません。

 

私と夫、お姉ちゃんの3人は、とってもとっても頑張って走り抜いた千帆を笑顔で迎えました。

 

「暑かった〜、めちゃくちゃ疲れた〜」と真っ赤な顔でニコニコな千帆!

 

不登校になり自信を失い、「どうせ失敗する」が口癖だった千帆が、一生懸命走り抜いた姿に感動せずにはいられませんでした。わが家にヒーローが誕生した瞬間でした!

 

執筆者:あなんしほ
発達科学コミュニケーション 

 

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