1.眠たいと癇癪を起こす繊細な子に、親もぐったり…我が家で繰り返された夕方の大騒動
週末や外出帰りなど、疲れがたまった日の夕方。
我が家では、毎回のように“嵐”がやってきていました。
繊細な気質をもつ次男・年長さんのエイジくんは、眠たくなると感情のコントロールがきかなくなり、泣いたり怒ったり、大声を出して癇癪を起こしてしまうのです。
「眠たいなら少し横になって休もう?」と声をかけても、「寝たくない!」と反発。
まるで“眠たい”という感情と、“まだ起きていたい”という意地がぶつかり合っているようでした。
そんな状態を見た家族は「もう早く寝なよ」と一言。
エイジくんはますます頑なになり、泣き叫びながら家中を走り回る……。
親としては「ただ眠るだけで落ち着くのに」と思うのに、いつも感情の大爆発に巻き込まれてしまい、私もすっかり疲れ果てていました。
2.繊細な子の癇癪を起こす原因は、実は脳の発達が理由でした
エイジくんの癇癪に毎回振り回され、どうしてこんなに眠たくなると大暴れするのか、私はずっと悩んでいました。
そんなときに出会ったのが、発達科学コミュニケーション(発コミュ)でした。
学びを通して、初めて「癇癪はわがままではなく、脳の個性」が関係していました。
繊細な子は、五感の刺激に敏感で、日中の疲れや刺激がたまりやすく、夕方には心も体も限界に。
まだ自分の状態を客観的に捉える力や、「今は休もう」と切り替える力がまだ未発達なため、疲れていても休むことができず、感情が混乱して癇癪として爆発してしまうのだと分かりました。
「まだ遊びたい」「寝たくない」という気持ちも相まって、エイジくんは自分の中で葛藤していたんだと気づいたとき、ようやく私は“どうしてそんな行動になるのか”を理解できるようになったのです。
3.癇癪の悪循環から卒業!繊細な子に効いた成功体験の積み重ね
①数字で気持ちを表す
エイジくんの癇癪が起きる前に、感情をどうにかキャッチできないか。そう考えた私は、ある日から彼に質問をするようにしました。
「元気いっぱいが10なら、今はどのくらい?」
「眠るが10なら、どのくらい眠たい?」
言葉で感情を伝えるのが苦手なエイジくんでも、数字でなら気持ちを表現しやすいのではと考えたのです。
最初は「わかんない」とうまく答えられませんでしたが、何度も繰り返すうちに
「今は元気4」「眠たい8」などと、少しずつ自分の状態を言葉にできるようになってきました。
この方法は、エイジくんにとっても私にとっても感情を“見える化”できる、とても良い手段になりました。
癇癪の前ぶれを察知しやすくなったことで、対応のタイミングを逃さずにすむようになったのです。
②自分で選択したら癇癪はおきない
眠たいと自分で気づけるようになったエイジくん。
次の課題は、「どう寝るか」をスムーズに進めることでした。
そこで私は、「ベッドでゴロンする?」「リビングでゴロンする?」「枕を使う?クッションにする?」と、二択で選ばせる声かけを始めました。
すると、自分で決めたという満足感からか、「今日はベットで寝る」と決めて、寝る準備にすっと取りかかれるようになったのです。
ただし、眠たすぎて答えるのが難しい日もありました。
そんなときは、同じ質問「どっちが嫌?」に変えてみました。
「ベットでゴロンするのと、リビングでゴロンするのと、どっちが嫌?」
「ベッドは嫌」
否定のかたちなら、エイジくんも素直に気持ちを出せるようでした。
選ばれなかったほうが、良い選択として「今日はリビングでゴロンしようね」と決めることが出来たのです。
「どっちがいい?」の回答が難しい時には、「どっちが嫌?」という聞き方が、選択を助ける効果的なアプローチになると実感しました。
③「寝たら楽しい!」を記憶に残す
エイジくんが疲れたら自分から横になることができるようになってきたころ、私はもう一つ大切にしたことがあります。
それは、「寝たら元気になった」という成功体験を記憶に残すという工夫です。
「たくさん寝たら元気いっぱいになったね!」
「今、元気は10のうちどれくらい?」
「7くらい? じゃあ、おやつ食べて10にしよう!」
「ご飯食べて、もっと元気になろう!」
「おうちで一緒にボール遊びしようか!」
寝たあとに楽しいことが待っている、というポジティブな声かけを繰り返すことで、エイジくんの中に「眠る=回復」「寝たら楽しいことができる」というイメージが定着していきました。
その結果、今では「眠たいからちょっと寝る」と自分からゴロンとできるように。
以前のように癇癪を爆発させていた姿は、ほとんど見られなくなったのです。
4.癇癪を起こすことに怯えない日常へ。親として私が今、目指していること
かつては、エイジくんが眠たくなる時間が近づくだけで、私は心の中でドキドキしていました。
「今日は大丈夫かな」「また癇癪になったらどうしよう」
そんな不安を抱えながら、夕方の時間を迎えていたのです。
しかし、今は違います。
エイジくん自身が眠気のサインに気づき、気持ちを数字で伝えられるようになり、自分で「どう休むか」を選べるようになったことで、家の中の空気がぐっと穏やかになりました。
これからは、「疲れたら休む」「自分の状態を知る」といったスキルを、エイジくんが自分の力として育てていけるように、今後も支えていこうと思います。
執筆者:ますながゆみこ
発達科学コミュニケーション