「もうやらない!」と白黒思考が強い繊細な子の心と脳に届く声かけ

「もうやらない!」と言って投げ出す我が子に、どう声をかけたらいいか迷うことはありませんか?白黒思考が強い繊細な子の、脳に届く声かけと、小さな挑戦を支える関わりをご紹介します。

1.繊細な子の白黒思考

 

「もう全部ダメ!」「もうやらない!」


繊細なわが子が、ほんの些細なことで心を閉ざしてしまう姿に、私は何度も胸が痛くなりました。

 

「どうしてこんなに極端に考えちゃうの?」
「私の伝え方がいけないのかな…」


そんなふうに悩んで、悲しい気持ちから怒りの気持ちになってしまったこともあります。

 

これは「白黒思考」と呼ばれる考え方で、感受性が強く繊細な子に特に多い特徴です。

 

私自身、子どもを何とか励まそうと必死になりすぎて、余計に追い詰めてしまったこともありました。


少しずつ「そのままを受け止めること」や「できていることを一緒に喜ぶこと」を意識するようになってから、私の気持ちも少しずつ軽くなったんです。

 

今日は一人のママとして、私が白黒思考の子どもと向き合う中で見つけた、小さな変化をシェアさせてください。

 

 

2.白黒思考に気づかせてくれた出会い



繊細な子どもは、周りの出来事や人の感情をとても深く感じ取ります。

 

だからこそ、うまくいかなかったことが心の中で大きく膨らんでしまい、ちょっと叱られただけで自分を否定されたと落ち込む。

 

上手にできないと「もう絶対無理」と決めてしまう、といった極端な結論に飛んでしまうのです。

 

大人から見ると「そんなふうに考えなくてもいいのに…」と思うことでも、子どもにとっては全身を使って感じている深刻なこと。

 

私も最初は「どうして毎回こんなにネガティブになるの?」とイライラしたり、つい「そんなことで泣かないの!」と突き放してしまったこともありました。

 

この白黒思考を強くしてしまったことは私にも原因があることを知りました。

我が家の繊細な息子のエイジ君と状況がよく似ている投稿を見つけたのです。

 

詳しく調べるうちに、繊細な子の脳を育てるコミュニケーションを教えているむらかみりりかさんに出会いました。


そこで学んでいくうちに、 子どもも困っていること、どうしたらよいか分からない状況になっていることを知りました。

 

それからは「性格や甘えではなく、生まれ持った気質のひとつ」と理解することで、私自身も気持ちが楽になりました。

 

 

 

3.繊細な子の心と脳に届く声かけの工夫

 

①気持ちを言葉にしてあげる


「もう全部ダメ!」と大きな声で泣き出したとき、私はいつもすぐに「そんなことないよ、できてるよ!」と励ましていました。

 

その言葉は子どもにとって「気持ちを分かってもらえない」と感じさせていたのかもしれません。

 

ある日、思い切って励ますのをやめて「今すごく悔しいんだね」「うまくいかなくてイヤだったんだね」と気持ちを代弁するだけにしてみました。


代弁しながら、感情を言葉にする練習をしていきました。

 

すると泣きながらも、どこかホッとしたような表情になったことを感じました。


「まずは気持ちをわかってもらえるだけで安心できるんだ」と気づいた瞬間でした。


そこから、泣くことでしか感情を出せなかったエイジくんは、感情を言葉にすることが少しずつ出来るようになってきました。

 

②スモールステップの声かけ

 

わが子は何かに取り組むとき、最初から「全部完璧にやらなければ」と思い込んでしまうことが多く、その気持ちの重さに押しつぶされて「もうやらない」と投げ出してしまうことがありました。

 

そこで、物事を分解して声をかけて、まずはできそうなところだけ一緒に挑戦する計画を立てるようにしました。

 

たとえば、工作や公園なども「今日はここまでやってみよう」「今日はよく観察して1つだけやってみよう」と目標を小さく分けてあげると、それだけで心の負担が減るようでした。

 

最初のスタートが小さければ小さいほど、「やってみよう」と思え、大きなハードルと思っていたものも、一歩一歩前に進むことが出来るようになりました。

 

そうして小さな挑戦と成功体験を重ねるうちに、「0か100だけじゃなくて、途中もあっていいんだ」と思えるようになりました。

 

少しずつ、心に安心感が広がっていったのです

 

 

③繊細な子でも挑戦できる

 

白黒思考に陥ると、子どもは「全部失敗だった」「何もできなかった」と一瞬で結論を出してしまいがちです。


そんなとき、私も一緒にその気持ちに引きずられて「やっぱりダメだった」と思ってしまうことがありました。

 

よく振り返ってみると、必ず小さな「できた」がどこかに隠れているんです。

 

たとえば、「今日はしっかり見れたね」「最初はドキドキだったのに、一度はやろうとしたね」と、一見当たり前に見えることも、子どもにとってはとても大きな一歩だったりします。

 

こうして小さなできたことを一緒に言葉にして確認するたびに、子どもの表情がほんの少し誇らしげになる瞬間があります。

 

最初は「でも、うまくできなかった」とつぶやいていたわが子も、何度も繰り返すうち「ちょっとはできたかも」と思えるようになりました。

 

白と黒だけで物事を判断するのではなく、その間にたくさんの色があっていいんだと、私も一緒に学ばせてもらっています。

 

これからも一緒にできたことを探して、少しずつ自信を育んでいきたいと思っています。

 

4.白黒思考卒業へ

 

繊細な子どもの白黒思考に寄り添うのは、本当に根気がいることです。

 

 心が折れそうになる瞬間もありました。


「何が正解なんだろう」「これでいいのかな」と不安になることばかりでした。

 

完璧な対応を目指すよりも「まず、やってみる」という気持ちを親子で持てるようになったことで、少しずつ心に変化ができました。

 

行動を細かく分けて行動することで、以前は出来る、出来ないでしか捉えられなかったことも、「少しできた、途中までできた」と思えるようになりました。


そうすると、見える世界も少しずつ変わってきました。

 

子どもも、白黒だけでなく、少しずつ白、黒、グレーなど様々な色を受け入れられるようになりました。


そのグレーは、挑戦してきた証であり、たくさんの素晴らしい色が混ざった宝物のようなものだと私は思っています。

小さな挑戦をたくさん経験し、一歩一歩を一緒に喜び合える親でありたい。


今は心からそう感じています。

 

 

執筆者:ますながゆみこ

発達科学コミュニケーション

 

タイトルとURLをコピーしました