HSCタイプの繊細なお子さんの自己肯定感が低すぎると心配になることありませんか?自己否定していた繊細な息子が自信をつけることができた経験から、繊細な子どもの自己肯定感が低くなる理由と自己肯定感を高める子育てのコツについてお伝えします。
1.自己肯定感が低すぎるHSCタイプの息子
HSCタイプの繊細なお子さんの自己肯定感が低すぎて心配になることありませんか?
HSC(Highly Sensitive Child)とはひといちばい敏感な気質を持った子どものことです。
周囲の反応をひといちばい敏感に感じ取るため、ネガティブな反応も過敏に受け取ってしまう脳の特性を持っています。
子どもは、ネガティブな感情や記憶をためればためるほど、「ぼくなんて・・」「私なんて・・」とネガティブ思考になり、自分を肯定することができなくなるのです。
わが家の息子もHSCタイプの繊細な子どもです。
年長さん頃から息子は「ぼくはダメな子」というネガティブ思考ができてしまい、「ぼくなんて……」と自己否定をするようになりました。
なんとか自信をつけてあげたい一心で、褒めてみても「そんなことない」「〇〇の方が上手」「どうせぼくなんて・・」と自己否定ばかりしている息子を見て私は途方にくれました。
さらに息子は小学校にあがり、ますます自信と気力をなくして、小学校を行き渋るようになっていました。
「学校キライ!」「絶対行かない!」「勉強なんてキライ」と小1の2学期のはじまりを全力で拒否していました。
このようにHSCタイプの繊細な息子の自己肯定感は低すぎる状況でした。
2.HSCタイプの子どもの自己肯定感が低くなる理由
◆ネガティブな感情を記憶し続ける繊細な子の脳
HSCタイプの繊細な子どもは、「怖いな」「嫌だな」「怒られたな」等、ネガティブな感情を経験すると、そのネガティブな感情が記憶に強く残りやすいです。
これは視覚や聴覚、記憶などの感覚系の感受性が敏感なため、例えば相手の怒っている表情を見たことをずっと覚えていたり、怒っている大きな声を聞いたことをずっと覚えていたり、怒られて悲しかった気持ちがずっと感情の記憶として残りやすいからです。
感受性が敏感なためひといちばい受け取る情報や刺激が多くなりやすく、脳も疲れやすくなってしまいます。
このようなネガティブな感情をいつまでも強く記憶することで、ネガティブな思考を作りやすくなり、「自分はいつも怒られる」「自分はダメなんだ」などと、ありのままの自分に自信を持てなくなり、自己肯定感が低すぎる状態になってしまうのです。
◆新しい環境や集団生活が苦手
HSCタイプの繊細な子どもは新しい環境や集団生活が苦手なことがあります。
新しい環境では初めての先生、初めてのお友達、初めてのクラス、初めての場所など、見通しが立たないことが不安因子になりやすいです。あらゆることにおいて「これは大丈夫なのかな」と慎重に観察したり、動けなくなったり、混乱してしまったりするため、不安でいっぱいになります。
そして集団という環境では、先生からの刺激、お友達からの刺激を敏感に感じとり、集団でのルールやペースを守ることは絶対だ!!と思っているところもあり、どっと疲れてしまいやすいです。
期待に応えようと頑張りすぎてしまったり、もう頑張れない・・と心折れてしまったりすることもあります。
しかし、人の感情や評価にも敏感なため、先生やお友達の目が気になり、自分の本当の気持ちや自分らしさを外で上手に表現できないこともあります。
年長、小学1年生くらいの年齢から、ますます周りがよく見えるようになってくるため、お友達ができていることが自分はできなかったり、お友達が楽しく挑戦していることを自分は挑戦できなかったりすることで、周りと比べて「できない自分」に自信を失ってしまい自己肯定感の低下に繋がるのです。
3.自己肯定感を高める子育て
HSCタイプの繊細な子どもの自己肯定感を高める子育てには、お母さんの正しい理解とわが子に合った声かけがポイントとなりますので、お伝えしていきます。
◆頑張っている過程を肯定する
HSCタイプの繊細な子どもは、周りが求めていること・期待していることに過敏なため、ちゃんとやらないと、言われた通りにやらないと、完璧にやらないと、と完璧主義になりやすい傾向があります。
そして完璧にできないこと=ダメ!と認識してしまうのです。
お母さんが日常的に、100%できたことを褒めていると、「100%が正しいんだ!」と白黒思考、完璧主義を植え付けてしまいます。
そのため、最後までできた時、100%できた時に褒めるのではなく、やりはじめたら肯定する、頑張っている過程を肯定することが大切です。
子どもの脳は最初に行動を始めるまでに一番エネルギーを使います。
車のエンジンと同じで、最初にアクセルを踏みこんで走り始める時にエネルギーを使うのです。
そのため、やりはじめたらすぐに
「おっ宿題を机にだしたんだね。」
「もう座ってるんだ。」
「起きてきたね〜おはよ〜」
など肯定していきます。
すると、子どものモチベーションが上がり行動を続けることができます。
次に、「完璧にできたね!」ではなく「◯◯してるんだね」と頑張っている過程や、子どものやっていることを言葉にして肯定しましょう。
「集中してやってるね。」
「練習しているんだね。」
「自分で準備しているんだね。」
など頑張っていることを言葉にしたり
「テレビを見ているんだね。」
「漫画を読んでいるんだね。」
と今やっていることを言葉にしていきます。
この時、笑顔で優しい声で伝えることがポイントです。
子どもはお母さんが自分のやっていることを見ていてくれる、頑張っていることを見ていてくれるとわかると安心しますし、「これで良いんだ!」と自信を育むことができます。
◆無条件に肯定する
子どもを無条件で肯定することが大切です。
例えば「100点取れてすごいね!」と条件に当てはまる時だけ褒めてしまうと、条件に当てはまる自分にだけ価値があると思わせてしまうことがあるからです。
条件を満たさない自分を認められなかったり、褒められたくて嘘をつくようになったりすることもあります。
そのため、結果に関わらず無条件でありのままを肯定しましょう。
「100点すごいじゃん!!」の代わりに、「100点だったんだ。毎日宿題がんばっていたね。お母さん応援していたよ。」と頑張っていた過程に注目していれば、結果がもし伴わなくても過程を肯定できます。
ありのままを肯定して本物の自信を育てることが本来の目的です。
そして、子どもを肯定するときはお母さんの感情で伝えることもおすすめです。
例えば子どもが「ぼく、走るの遅いから。」「ぼく、絵が下手だから。」と過小評価・自己否定していたら、「上手!!」「すごい!」などの褒め方ではなく、「ママは◯◯くんの走り方が好き!」「◯◯くんの絵がママ大好き。」とお母さんの感情を伝えていくようにしましょう。
お母さんの「あなたはあなたのままで素敵なんだよ。」と思っている気持ちが伝われば、子どもも「ぼくはこのままで良いんだ」とありのままの自分を受け入れられるようになっていきます。
私はHSCタイプの繊細な息子に、このような肯定の言葉をたくさんかけました。
はじめは上手く息子に届かなくても、毎日コツコツ続けました。はじめは「そんなことない!」と息子の自己否定が勝ってしまっても、諦めずに息子に合った肯定の声かけを探し続けました。
すると「そんなことない!」は「そんなことないよ〜(笑)」に変わり、「そう〜?」に変わり、息子が私の肯定の言葉を受け取れるようになっていきました。
自己否定が止まらないほど自信をなくしている子にも、肯定の言葉をシャワーのように浴びせてあげれば、必ず効果があらわれ、自信が育つのです。
息子は今、自己否定することはめったにありません。
「できる!」「大丈夫!」と思える心の土台と「やってみよう!」と自分から動き出す力が育まれ、元気に小学校にも通えるようになりました。
HSCタイプの繊細な子どもはお母さんの声かけ次第で「ぼくはぼくのままでいい」と信じられる自己肯定感を高めることができます。
お子さんの自己肯定感が低すぎると心配されているお母さんはぜひ試してみてくださいね。
執筆者:むらかみりりか
繊細っ子の脳を育てるココロ科学ラボ代表
発達科学コミュニケーションマスタートレーナー
繊細っ子の脳を育てるココロ科学ラボ代表
発達科学コミュニケーションマスタートレーナー