1.第一声はきまって「ヤダ!」と言う繊細な子
わが家には、ひといちばい敏感な何でも知りたがる博士ちゃん(通称:ミカ)がいます。
ミカが年中の頃「○○しようか?」「今度○○行こうか?」と誘っても、返ってくる第一声の言葉は必ず「ヤダ!」「行かない!」とネガティブな発言でした。
しかし、しばらくすると「やっぱり行くー」とケロッとした顔で言ってきます。
好きなことのはずなのに、何で最初は「ヤダ!」って言うんだろう?と疑問に思うと同時に、それが毎回だと私もイライラしてしまったりして、言うことがコロコロ変わる子の対応に疲れていました。

2.言うことがコロコロ変わる子の背景は『脳の苦手さ』
ミカが年長になった頃、私は「おうちで脳を育てる発達科学コミュニケーション」と出会い、繊細な子の心と脳のしくみを理解すると、言うことがコロコロ変わる子は、実はわざとではなく、「脳の苦手さ」からきていることがわかりました。
繊細な子の脳は、感覚(五感など)からの情報を細かく・深く受け取ります。
そして、自分が受け取った情報を、理解して、考えて、答えるという処理ルートが大人が思う以上にとってもゆっくりなんです。
たとえば、ママが「○○しようか?」とひと言かけただけなのに、繊細な子の脳は「ママの声色」「表情」「自分がしている遊び」「テレビから聞こえる音」など、その場にあるあらゆる情報を受け取って、一度に処理しようとしてしまうんです。
つまり、「情報を受け取る」段階だけでも、脳がフル回転!
そのあとに、理解して、考えて、答えると続いていくので、時間がかかるのは納得ですよね。
3.もう振り回されない!脳を育てるママの工夫
では、言うことがコロコロ変わる繊細な子に対して、どうすれば感情に振り回されないのか脳科学的な対応方法をご紹介していきます。
①すぐに反応せずにとにかく待つ
ここはママの踏ん張りどころ!
声をかけたあと、「ヤダ!」などのネガティブな反応が返ってくることもあるかもしれません。
それをそのまま受け止めすぎなくても大丈夫。
前章でお伝えした通り、「今は情報を受け取り中かな?処理中かな?」と気楽な気持ちで、お子さんの脳の中をイメージしてみてください。
そうすることで、お子さんの言葉に反応して、感情的にならずに理性的に対応できます。
目の前の繊細な子の感情に振り回されないママになると、イライラが激減します。
他のことをしながら待ってもOK。十分間をあけてあげましょう。
②もう1度声をかけてみる
反応がないときは、最初と同じトーンでもう一度声をかけてみましょう。
ここでのポイントは、
・ お子さんの視界にしっかり入ること
・ 穏やかな声と表情で話しかけること
「○○ちゃん、○○してみない?」と、楽しい雰囲気で誘ってみると、気持ちが動きやすくなります。
③繊細な子が言葉にできたら喜びをシェアする
最初は「ヤダ!」と言っていたのに、「やっぱり行く!」と変化が見られたら、自分で考えて、気持ちを言葉にできた証拠です。
そんなときは、ママの嬉しい気持ちをしっかり伝えましょう!
繊細な子にとって、「ママに伝わった!」という体験は、小さな感動になります。
そして、「言葉で伝えるって、気持ちいい」そんな記憶が残ると、次からも前向きに行動できるようになっていくのです。
待って、もう一度声をかけて、気持ちを受け止めてあげる。
その繰り返しが、繊細な子の「自分で考えて動ける力」を育てます。
4.信じて待つことが繊細な子の自信を育てるカギ
言うことがコロコロ変わる子どもに、つい振り回されたり、イラっとしてしまうのは、ママがお子さんと真剣に向き合っている証拠です。繊細な子の「ヤダ!」には、実はまだ気持ちが整理できていないだけという背景があります。
脳の中では、一生懸命に情報を受け取り、考えている真っ最中。
それを知ってから、私はミカの「ヤダ!」を重く受け止めずに、いちいち感情に振り回されないママになれました。
すると、ミカの方から「やっぱり行く!」と自分で答えを出してくれる場面が増えていきました。
繊細な子は、時間がかかるけれど、自分で考える力を持っています。
大人が焦らずに待つことで、その力を少しずつ育てていけるのです。
第一声の「ヤダ!」に隠れているのは、「どうしようかな?」「ちょっと不安だな」という心の声かもしれません。その奥にある気持ちを信じて待つことが、繊細な子の自信につながっていきますよ。
執筆者:やまさき うみ
発達科学コミュニケーショントレーナー