1.口癖は「ママやって」の繊細な息子
我が家にはひろくんという小学校1年生の繊細な男の子がいます。
ひろくんは簡単そうに見えることでも「ママやって」と言うことが多いです。
自分でやってほしいとは思いつつも、「外でがんばってきて疲れているから甘えたいのかも」と感じて、やってあげていましたが、「ママやって」は増えるばかり。
私もイライラして「自分でやって!」と言ってしまうこともありました。
そんな私の最近の悩みは歯磨きでした。歯磨きはパパでもダメで、「ママやって」の一点張りで、自分でもやろうとはしません。
「いつまで私がやるんだろう・・・もう小学生だし、自分でやってほしい」とストレスに感じるようになっていました。
2.自分でやろうとしないのは私の注意が原因だった?
ひろくんの育児での悩みは尽きませんでした。こだわりの強さや癇癪、いつ困りごとが起きるだろうと気を遣いながら生活をしていました。
どうにかしたいと模索する中で出会ったのが、お家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」(以下発コミュ)でした。
ママのコミュニケーションを変えることで子どもの脳を伸ばせる、という言葉に希望を感じ、発コミュを学び始めました。
学ぶ中で、繊細な子は「失敗したらどうしよう」という不安を感じやすく、自分から行動することが難しくなると教えてもらいました。
まわりの反応にとても敏感で、「ちゃんとやらなきゃ」「うまくやりたい」という気持ちが強いため、「うまくできないかも…」と感じると、安心できるママに頼りたくなってしまうのです。
思い返せば、私はひろくんが小さい頃から歯磨きを嫌がったりする度に、不安にさせてしまうようなことをたくさん伝えていました。
「ちゃんと磨かないと虫歯になるからね」
「虫歯になったら歯医者さんに行くよ」
「虫歯になったら歯は元通りにならないんだよ」
ひろくんにとって、『きちんと磨かないといけない』と歯磨きのハードルが高くなっていたのだと気付きました。
そんなひろくんも私が声かけを変えたことで、自分で歯磨きをするようになりました。次の章でその方法をご紹介いたします。
3.繊細な子に「できるかも」と思ってもらうコツ
①不安を和らげる声かけを日常的に
繊細な子の不安を大きくしないために、日常から不安を和らげる声かけをすることが大切です。
まずは子どもが当たり前にできているところに注目して肯定すること。「すごい」「偉い」などのフレーズよりも、「〇〇してるね」「〇〇できたんだね」と具体的な事実を伝えることで、ママは見ているよという安心感を与え、子どもも「僕はできている」と認識して安心することができます。
反対に、できていないことをスルーすることも大切です。できていないところを見つけるとつい注意したり、指示したりしてしまいがち。
よかれと思ってアドバイスしているつもりでも繊細な子には否定的に伝わり自信を無くしてしまいます。
②スモールステップで挑戦&肯定を繰り返して自信をつける
繊細な子が「それならできるかも」と思えるようにハードルを下げることが大切です。
“歯磨き”という行為を分解して、スモールステップで挑戦してもらうことにしました。
またうまくできなくても自分でやろうとしていればすかさず笑顔で肯定して、小さな「できた!」の経験を積んでいけるようにしました。
・歯ブラシと歯磨き粉を持ってきてもらう
「持ってきてくれてありがとう」と伝えます。子どもの行動に感謝を伝えることも肯定の声かけです。
・歯ブラシに歯磨き粉をつける
歯ブラシからあふれるほど出してしまっても、そこには触れず、「自分で歯磨き粉つけられたね」とできているところを肯定します。
・歯を磨く
磨けていなくても歯ブラシを口の中に入れたら「自分で歯磨きしようとしてるね」と実況中継のように子どもの行動を肯定する声かけをします。
これらの声かけを続けたことで自信がついてきたひろくん、今では自分で歯を磨くことができるようになりました。
また行動を細かく分解して肯定したことで、私自身もひろくんのできていることを細かく認識することができ、前よりイライラすることが減っていきました。
4.親子でハードルを下げることの大切さ
「ママやって」の裏には「うまくできないかも」という不安が隠れていたんだと気付いたことで、私自身の“小学生なんだからできて当たり前”という考えを見直すことができました。
大事なのは一般論ではなく、我が子の心と脳に合ったステップで成長していくこと。
これからも私の期待値は今のひろくんに合っているのかな?と確認しながら、ひろくんの「できるかも」を引き出す声かけを続けていきたいです。
執筆者:にしやまともか
発達科学コミュニケーション