1.ゲームばかりする繊細な息子
我が家にはひろくんという小学校1年生の繊細な男の子がいます。
ひろくんはこだわりが強く、好きなことにはどんどんのめり込んでしまうところがあります。
特にゲームが大好きで、時間があればゲームばかりしていて、私の声がまるで届いていないように感じることもありました。
「こんなにゲームばかりしていて大丈夫?」「目が悪くなりそう」と心配になることもありました。
そんな不安から、ついイライラしてしまい、「まだなの?」「1時間の約束でしょ?」など注意してばかり。
ひろくんも怒って、言い合いになってしまうこともありました。
2.繊細な子の脳は「切り替え」が苦手?ゲームとの上手なつき合い方
ひろくんの育児での悩みは尽きませんでした。癇癪、こだわりの強さ、行動の切り替えが苦手、どうにかしたいと模索する中で出会ったのが、お家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」(以下発コミュ)でした。
ママのコミュニケーションを変えることで子どもの脳を伸ばせる、という言葉に希望を感じ、発コミュを学び始めました。
学びを深める中でわかったのは、繊細な子の脳は感受性が高く、まわりの音や表情、雰囲気など、いろんな情報を敏感に受け取りやすいということです。
そのため、一度にたくさんの刺激を感じ取りやすく、頭の中が情報でいっぱい。つまりインプット過多になりやすいのですね。
ゲームは音・BGM・映像といった聴覚や視覚への刺激がとても多く、それに加えルールや操作の理解など思考を使うことが必要となります。
特に繊細な子の脳はそれらをすべて処理しようとする為、脳がフル回転して、どんどん疲れてしまうのです。
その結果、判断力が落ちて、感情のコントロールが難しくなり、行動の切り替えもできなくなってしまいます。
ひろくんもゲームばかりやることで脳が疲れて、切り替えができなくなっていたんだと気付きました。
そして、大切なのは“頭の中にたまった情報を外に出すこと=アウトプット”だと教えてもらいました。
インプットばかりで頭がいっぱいになっている時は、話したり描いたりして外に出すことで、脳の中が整理されていきます。
こうして情報の整理が進むと、脳が落ち着いて次の行動へ切り替えやすくなるのです。
では具体的にどんな対応をしたらうまくいったのか。その方法を次の章でお伝えします。
3.楽しく切り替えるママの声かけ
はじめは「アウトプットに切り替えるって難しそう」と思ったのですが、たとえばゲームの内容を話したり、絵に描いたりすることでもOKなのです。
子どもは「楽しい」と感じることで、やる気や行動につながりやすくなるため、「やらせよう」とするより「楽しい」という感情から促すことが効果的です。
①子どもの好きなゲームに興味を示し、楽しく会話を広げる
繊細な子は没頭しているとこちらの声が届かないこともあります。
隣に座ったり、少しだけ視界に入って気付いてもらいます。その上でやさしく名前を呼ぶことで、自分に話しているんだ、という意識を高めます。
こちらの話を聞いてくれているようなら、「このゲーム楽しそうだね」と話しかけます。
自分の好きなことに興味や関心を持ってもらえている、とわかることで子どもは安心を感じ、こちらの話にも耳を傾けてくれます。
たとえば、こんな風に質問をしてみました。
「どこが難しかった?」
「好きなキャラクターはどれ?」
「こんなことできるんだ!今どうやったの~?」
子どもが答えやすい質問で楽しく会話を広げながら、ゲームの内容をどんどん外に出してもらいます。
これはただの会話ではなく、脳の中で情報を整理する時間にもなっているんです。
②大好きなお絵描きに切り替えることで行動もスムーズに
「このステージが終わったらお絵描きしよう」など子どもが楽しみにできるような行動に誘ってみます。
他にも「おやつにしようか」と誘うこともおすすめです。
子どもは楽しいことならスムーズに行動に移すことができます。
ポイントは無理やりやめさせないこと。
楽しい状態から急にゲームを中断させてしまうと、繊細な子の脳は大きなストレスを感じてしまいます。
ゲーム中は「もっとやりたい!」と脳が快感を感じている状態なのに、突然やめることになると不快感が一気に高まり、イライラや癇癪に繋がりやすくなります。
だからこそ、脳が安心して次の行動に切り替えやすくする工夫が大切なんです。
ひろくんは元々お絵描きが好きなのですが、ただ「お絵描きをしよう」と言っても効果がない時もありました。
そんな時は、絵の具や色数の多いペンを用意してみるなど、ひろくんが描きたい!と思ってくれるような工夫をすることで、スムーズに切り替えができました。
4.“ゲーム=悪”じゃない!使い方次第で得意を伸ばせる!
この声かけを実践して数週間した頃には、ひろくんはゲームのあとにお絵描きをすることが日課のようになりました。
自分から「ここまで終わったら一緒にお絵描きしよう」と提案してくれることもあります。
以前はゲームばかりするひろくんに不安を感じ、ゲームを悪者のように感じていました。
けれど今は、大切なのは“やめさせること”ではなく、“脳が安心して切り替えられるように手伝うこと”なんだと気づきました。
今ではひろくんは、ゲームの場面やキャラクターを覚えて、自分の絵で表現できるようになりました。
私がびっくりするほど細かく、上手に描けるようになっていて、その成長に嬉しくなるほどです。
好きなことだからこそ集中できるし、アウトプットも積極的に取り組んでくれる。
『好きなことや楽しいことで、子どもの得意を伸ばす』
これからもそんな関わりを大切にしていきたいです。
執筆者:にしやまともか
発達科学コミュニケーション