1.家から出たくない理由は「脳」にあった
我が家の息子りゅうくんは、学校は行きしぶり、休日は家から出たくない小2男子(現小3)。
「外に出られるようになってほしい」と、子育ての情報を検索していたとき、「繊細な子の心と脳を強くする親子のかかわり方」を専門に教えている、「発達科学コミュニケーション」のマスタートレーナー、むらかみりりかさんに出会いました。
「発達科学コミュニケーション」とは、脳科学、心理学、教育学の根拠に基づいた、おうちで子どもの脳を伸ばすコミュニケーションメソッドのこと。
私は「脳科学」という根拠を信じ、小2の3学期から「発達科学コミュニケーション」を学び始めていました。
そこで、繊細な子の脳は「見通しがたたないこと」に対して、強い不安を感じること、「どこに出かけて何をするかわからない」という見通しの見えない不安が「家からでたくない」につながっていることを知りました。
そこからは、「インドア派だから仕方ない」と諦めず、ゴールへ向かう「見通し」を見せて安心を増やす関わりを徹底することに。
すると、約4ヶ月後には、初めて飛行機にのってお出かけすることが出来るようになったのです!
その時の記事はコチラです。

2.人見知り・場所見知りの息子が劇に出る夢を叶えたい
2025年の夏に行われる「いたずら万博※」で、劇のメンバーになっていたりゅう君。
題材は大好きな「マインクラフト」なので、気になってはいるものの、演じることには全く乗り気ではありません。
1ヶ月後に本番が迫った6月下旬頃、「いたずら万博行ったら、オレ寝てようかな…」と言いはじめました。
ここで「イヤなんだね、わかるよ」と共感するのは逆効果。
共感は感情を増幅させるので、大好きなママが共感するほど、繊細な子の脳の中がネガティブな感情でいっぱいになってしまうと学んでいました。
「行きたくない」気持ちが増えれば、「家から出たくない」につながってしまう。
ここは、共感せず「気持ちを預かる」のが正解。
私は「そうなんだね~」と否定も肯定もしない、「気持ちを預かる返事」をして、衣装を作ったり、セリフの練習をしたり、あくまで「母の私は楽しみ!」という気持ちで接していきました。
※「いたずら万博」とは…
私が学ぶ「発達科学コミュニケーション」のマスタートレーナーむらかみりりかさんが主催する、子ども主体の体験型イベント。おとなの当たり前を封印して、こどもの『やってみたい!(例えば…スライムプール!ひみつ基地作成!びっくりかき氷!などなど)』を引き出して、叶える、リアル体験型のイベントです。子どもたちとビデオミーティングをして、アイディアを出しあったり、やりたいことを叶えるために話し合ったり、好奇心と行動力がぐんぐん育つことで脳を伸ばす!というものです。

※写真は「いたずら万博2024」
3.固まる息子の脳はフル回転!
いよいよ本番を明日にひかえ、自宅から500キロ離れた会場に到着するまでは成功。
肝心な劇については、セリフも動きもほとんど頭に入っていません。
しかも今回は、家族以外では初めてのお泊りがあります。
そんな不安も重なってか、りゅう君は会場で完全に固まってしまいました。
これは場面緘黙(ばめんかんもく)と言われ、りゅう君も不安な場面では押し黙ってしまうことがよくあります。
会場では、大きな段ボールに色を塗ったり、お店の看板の絵を描いたり。
中には準備そっちのけで元気に遊ぶ子どもたちまでいます。
嬉しそうに劇の衣装や道具を見せ合う子もいるのに、りゅうくんだけは、私のそばから離れず固まっているのです。
誰とも話をしないまま、時間だけが過ぎていきました。
(きっと舞台に上がって劇をするなんて無理だな…)私は諦め気分で夕食へ。
そして、宿泊する部屋に戻りました。
しばらくすると「みんなお風呂行こう~」と子どもたちがワイワイガヤガヤ。
(りゅう君は固まってるだろうなぁ・・・)と思って目を向けると、「オレも行く!」と驚きの発言!
さらに、同学年の友達に交じり、「お風呂行く人~数えるよ~」と、大きな声で言うではありませんか!!
ここまでの時間、りゅう君は押し黙りながらも、頭でいろいろな事を考えていたのだと気づきました。
これも繊細な子の脳の特徴です。
周りの情報を感じ取る力は強いが、その情報の処理が追い付かない。
だから、動き出すのが遅くなってしまうのです。
友達を前に固まっていたりゅう君ですが、嫌いで無視していたわけではなく、頭の中で「一緒に遊びたい、でもなんて言ったらいいんだろう、どんな子なのかな…」と情報を処理していたに違いありません。
時間をかけて、安心出来る人を見つけ、友達の「行こうよ~」に後押しされ、やっと行動に移すことが出来たのです。
お風呂から上がった後は、楽しそうにまくら投げをし、母から一番遠い布団で眠りにつきました。

家から出たくないと言っていたとは思えないほど楽しむりゅう君の姿に、明日もきっと大丈夫と思い始めていました。
4.お世話封印!必要なのは「待つ」こと
しかし翌朝起きると、昨夜の盛り上がりは噓のように固まっているりゅう君。
先に起きて楽しそうにしている友達の中に入っていく事が出来ません。
「昨日みたいに一緒に遊んだら?」とお世話したくなりますが、りゅう君の脳は現在情報処理中。
私は笑顔で「待つ」ことを決めました。
夕食同様一言も話さず朝食が終わったころ、「朝もお風呂行きたい~」とお友達の声。
「おれも行く~」と元気に返事をするりゅう君の声。
この子はこの子のタイミングで出来るようになる!
家から出たくない、どこにも行きたくない、と言っていた繊細な子が、目の前で証明してくれた瞬間でした。

5.母の想像を超えた夢が叶った!
いよいよ劇の開演時間が近づいてきました。
「おれの衣装は?」「ここに集まるの?」そこには、劇の役割を果たそうとするりゅう君の姿がありました。
劇がスタートしても勢い止まらず、流れに沿って動き、マイクをもって声を出すこともできたのです!
最後の記念写真では、まさかのセンター!!

私は心のどこかで、「家から出たくないと言ってたくらいだし、一瞬でも舞台にのぼれたらそれだけで十分」と思っていました。
しかしりゅう君が見せてくれたのは、私の想像をはるかに超えた姿でした。
これからも、お世話は封印し、息子の力を信じて、たくさんの夢を叶えていきたいです。
執筆者:かなうち りこ
発達科学コミュニケーション

