1.「先生がダメって言ったから!」が止まらない繊細な子
わが家の繊細な娘は、園では「しっかりしていますね、問題ないですよ」とずっと言われていた”いい子ちゃん”でした。
娘が年中の頃、家に帰ってからも、その”いい子ちゃんモード”が抜けずに、何だかピリピリしていることが増えていきました。
例えば、私が持ち物に名前を書くときに「それ、先生がダメって言ってた!」とペンを指定してきたり、2つ下の弟がふざけると「先生がこう言っていたから!」と好きなことをさせてくれなかったり、家の中でもルールに厳しく、リラックスした表情がなかなか見られなくなってきたのです。
一見、しっかりしてると思えるこの言動は、実は「いい子ちゃん症候群」の繊細な子の心と脳のストレスサインだったのです。
実は「いい子ちゃん症候群」は日本女性の8割強を占めると言われていることを知っていましたか?
「人の顔色を伺ってしまう」「自分らしさがわからない」「自分の選択に自信が持てず、優柔不断になってしまう」と大人になっても”生きづらさ”の要因のひとつになってしまっているのです。

2.いい子ちゃん症候群がもたらす影響とは
私は、お家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」と出会い、繊細な子には、人の評価や感情にとても敏感に反応する脳の個性があることを知りました。
園では「先生に怒られないように」「いい子にしてなきゃ」と、言葉に出さずとも一生懸命まわりに合わせようと頑張っていて、”正解”を探し続けるように、ルールや評価を気にして動こうとしてしまうのです。
その「ちゃんとしなきゃ」の緊張モードが脳に負担をかけ、安心できる家でもその緊張を解くことができずに、ちょっとした刺激にも過剰に反応してしまっていました。
実は、脳がストレス状態だと感情のコントロールがうまくできないのです。
私は、外では頑張れているから大丈夫だと思い、「いい子ちゃん症候群」になっているなんて、気づかずにいました・・

3.繊細な子の脳に安心の貯金ができるママの声かけ
そんな「いい子ちゃん」の繊細な子が、安心して自分の気持ちを話せるようになるためのママの声かけをご紹介していきます。
いい子ちゃん症候群になっている子は、外で気を張って頑張りすぎている分、家では安心して自分らしく過ごせる時間が必要です。
けれど、安心を感じられる土台が育っていないと、いくら声をかけても安心の貯金は貯まりません。
「ここは安心していい場所だよ」と伝わるような親子の関わりに変えていくことが、繊細な子が“自分の気持ちを話せる”第一歩につながっていきます。
①ママの気持ちを伝える
「ありがとう」「大好きだよ」など、ママの気持ちを言葉にして伝えましょう。
ママが自分の気持ちを表現してくれることで、「自分の気持ちって話していいんだ」「そうやって表現すればいいんだ」と安心が感じられるようになります。
②「ダメ!」を封印する
つい「またやってない!」「ダメでしょ!」と言ってしまいたくなる場面もありますが、繊細な子にとっては、その否定的な言葉は緊張や不安をさらに広げてしまうためNGです。
出来ていない部分ではなく、出来ている部分に目を向ける意識をしましょう。
「こうしてくれると助かるな」「〇〇したんだね」とプラスの視点で伝えていくことが大切です。

③答えやすい質問に言い換える
「どうしたい?」と聞いても、自分の気持ちに鈍かったり、言葉にできなかったりするので戸惑ってしまうことがあります。
そんな時は、「YESかNOで答えられる質問」や「AとB、どっちがいい?」の2択で答えられる質問など、答えやすい聞き方に変えてみましょう。
自分で選択した!という自主性が育つことで、少しずつ“自分の気持ち”を感じ、伝える力が育っていきます。
4.繊細な子が”自分らしく”いられるママの安心基地
「先生がダメって言ってた!」そう繰り返すいい子ちゃん症候群の娘の姿に、私も最初は戸惑い、どうして家でもそんなにピリピリしているの?と思っていました。
今は繊細な子の脳のしくみを知り、「安心できる関係」を丁寧に築いていったことで、娘の表情がゆるみ、気持ちを言葉にしてくれる場面が増えていきました。
繊細な子が安心して本音を話せるようになるには、「ママには何でも言っていいんだ」という絶対的な安心基地になることが大切です。
まずは、ママから大好きな気持ちをたくさん伝えてあげて安心を感じられるような、リラックスした脳にしてあげることから始めましょう。
ママの今日のひとことが、繊細な子の安心の土台をつくっていきますよ。

執筆者:やまさき うみ
発達科学コミュニケーショントレーナー

