「ママと一緒がいい!」繊細な子がママなしの旅行に挑戦できた秘策

「はじめてのこと」に不安が強い繊細なお子さんが、ママなしのお出かけや旅行に行くことは断固として拒否することってありませんか?ママは行けない旅行に断固拒否していたわが家の繊細な息子が、「行く!」と自分から決断ができた、ママの関わり方をお伝えしますね。
 

1.母がいないことに不安が強い繊細な子ども

 
繊細なお子さんが、ママがいないお出かけや旅行ができないということありませんか?
 
繊細な子は、HSC(Highly Sensitive Child)とも言われることがありますが、ひといちばい敏感な気質を持った子どものことを言います。5人に1人の子どもがHSCと言われていますが、特に日本では繊細な子どもたちは増えていると言われています。
 
刺激に対して、脳の感覚系エリアが強く、敏感に反応しやすいため、<いつもと違うこと>、<はじめてのこと>、<予測がつかないこと>がとっても苦手!疲れやストレスを感じます。
 
そのため、はじめてのことには強い拒否反応を示し、「いつもと同じがいい!」と強く希望することがあります。ママと一緒にいることに安心するタイプのお子さんだと、ママと離れることを極度に嫌がることがあります。
 
わが家の繊細な息子も、ママ大好きっ子です。
 
このお話しは、息子に祖母、曽祖母とのお泊まり旅行に、ママなしで行くことを提案した時のことです。
 
まず旅行の話を祖母から聞かされた時に、不安しか感じなかった息子は
 
「お母さんがいないなんて嫌!」
 
「お母さんと寝たい!」
 
「お母さんといたい!」
 
「絶対楽しくない!!」
 
「電車なんて乗りたくない!!」
 
と、赤ちゃん返り状態で、全力で拒否していました。
 

 
断固として「行かない!!」と主張する息子に祖母は感情的になり、「じゃあ一人でお留守番するねんね!!」と伝えると、息子はますます行きたくなくなって「おかあさ〜ん」と泣きついてきました。
 
息子は、お母さんなしで旅行に行くことに強い不安しか感じず、全力で拒否していたのです。
 
 

2.繊細タイプの子どもが不安が強い理由

 
繊細なタイプの子どもがはじめてのことに対して不安が強くなるには理由があります。
 
自分の心地いいと感じる安心と許容の範囲がとっても狭くなりやすく、安心できる人、場所、空間にこだわる傾向があるのです。
 
・お母さんが安心
 
・お家が安心
 
・このお友だちなら安心
 
逆に安心できないと判断したものには頑なに拒否反応を示します。あらゆる不安要素が脳の中を支配するかのように膨らんでいき、不安でいっぱいになってしまうのです。
 
例えばお母さんといることが安心できる子どもの場合は、
 
・お母さんがいないと寂しいし心細い
 
・お母さんがいないと困ったことがあったときにどうしよう
 
・お母さんがいないと1人でうまくできないかもしれない
 
などお母さんがいないことで最悪なことになるのではないかとパニックになってしまい、どんどん不安が止まらなくなっていってしまうのです。
 

 
 
 

3.不安が強い子どもがママなしの旅行に挑戦する決断ができた秘策

 
お母さんなしの旅行に行くことを強く拒否していた繊細な息子に、ある関わり方をすることで、お母さんなしの旅行に行くと自分で決断することができました。
 
息子の感情と思考を大きく変化させることができたので、その秘策をお伝えしていきます。
 

◆感情を落ち着かせる

 
子どもが泣いたり怒ったり、感情が暴れている時に、こちらも感情的になってしまっては、コミュニケーションは絶対に上手くいきません。
 
なぜなら感情が暴れている時、理解する脳も、思考する脳もうまく働けていない状態だからです。
 
私たちも感情的になってる時って我を忘れてしまうことありますよね。
 
そのため、まずは感情を落ち着かせてあげてお話しができる脳の状態をつくることから始めることが大切です。
 
感情を落ち着かせるためには、実はスキンシップがとっても効果があります。
 
コミュニケーションとは、「言葉」だけではありません!非言語コミュニケーションも、大きな影響力を持つコミュニケーションの一部です!
 
スキンシップによる皮膚刺激は、感情を扱う脳と太いネットワークで繋がっているので感情を落ち着かせてくれます。
 
そのため私は泣きついてきた息子に穏やかな声で「おいで〜」と声をかけ、自分の膝の上に乗せました。
 
私の膝の上に乗って肌と肌が触れ合うことで、息子は温かさや心地よさを感じることができます。
 
そして意識的に穏やかな声を作ることで、私自身も気持ちを落ち着かせることができ、さらに息子も落ち着ける効果があります。
 
聴覚が敏感な息子には特に効果がある対応なのです。
 
スキンシップと穏やかな声で、気持ちを落ち着かせることができた息子は、「ねぇ聞いて、おかあさん」と自分から話し始めることができました。
 
感情が落ち着いたことで、会話をスタートできたのです。
 

 

◆息子の感情を受け止める

 
心のブレーキが全力でかかっている繊細な子どもに対して、行きたくない不安要素を覆すことは非常に難易度が高いです。
 
子どもの不安に対して
 
「お母さんいなくても大丈夫だよ〜」
 
「おばあちゃんもいるんだよ〜」
 
「きっと楽しいよ〜」
 
「電車楽しいよ〜」
 
こんな風に必死に伝えたところで「絶対行きたくない!!」が強固すぎる時は、「そんなことなーーーーい!!」と聞く耳持たずでしょう。
 
 
さらに繊細な子どもに共感をすることも実は逆効果なのです。
 
「そうだよね〜」
 
「イヤだよね〜」
 
「お母さんと寝たいよね〜」
 
と、つい共感してしまうことも多いかと思います。
 
しかし繊細な子のネガティブ感情に共感をしてしまうと、「そうなのー!!行きたくないのー!!」と行きたくないネガティブ感情が脳内で増していくのです。
 
 
 
では、どうすればいいかをお伝えしますね。
 
それは子どもが行きたくない理由や感情をぶつけてくれている時は
 
「そうなの?」
 
「それで?」
 
「そうなんだ〜」
 
「それで〜?」
 
穏やかにただ受け止めます
 
息子の感情を「お預かりしますね」のスタンスで肯定も否定も共感もしない作戦です!!
 
まずは感情を全て吐き出させてあげるのです。
 
その感情を受け止めていくことで、子どもは次第に感情を整理できるようになり、落ち着いていくのです。
 

◆行きたい理由を作る

 
感情が落ち着き、気持ちを受け止めた後にすることは、行きたい理由を作ることです。
 
旅行先での息子の心を動かしそうなネタを探して提示しました。
 
「実はさぁ 恐竜博士くるらしいよ〜」
 
「実はさぁ  ウルトラマン大好きなあの子、〇〇くんに来てほしいみたいだよ〜」
 
「恐竜とかウルトラマンとか遊べるしたくさんお話できるね〜」
 
この「実はさぁ」と共にポジティブな見通しを持てるネタをイメージしやすいように伝えることが、息子の「絶対行かないから!!」を脳からはがす秘訣でした。
 
息子は「そうなの?」みたいな顔をして1階にそそくさと降りていきました。
 
ウルトラマンのオモチャをひっぱりだし、いろいろとチェックしてたようです。
 
しばらく待ち、1階に降りていくと「お母さん!ぼく行くことにしたよー♪」と自分で決断していました。
 
行きたい理由を作ろうとする時も、こちら都合なことは述べず、説得しようというオーラは出さず、「わぁ楽しそう」という口調で話しました!
 
そして、最後の仕上げです!
 
繊細な子どもは一度行くと決めても「やっぱりやめようかな」と気持ちが変わることがあります
 
その正体はズバリ脳の心のブレーキが取りきれていないからです。「やっぱりやめたほうが良いんじゃない??」と脳が未知のことを恐れて安心・安全を求めて行動・挑戦を阻止しようとしてきます。
 
私は、そんな息子の脳の心のブレーキを予測して・・予防するために・・「どのウルトラマンの図鑑もっていくの〜?」「それかっこいいから見せたいね〜」と、ポジティブな見通しの強化で「やっぱりやめようかな」も阻止することができました!
 
息子の不安な感情を全て受け止めて、逆に行きたい気持ちを引き出すことで、自分からお母さんなしの旅行に行く決断ができたのです。
 
こうして挑戦する機会が増えると、繊細な子どもの「できた!」の経験はどんどん増えていきます。
 
わが家はこんな親子の会話の積み重ねで、今では「やりたい!」「行きたい!」が止まらない子になっています!
 
繊細なお子さんに挑戦できる子になってほしいなと思われたら、ぜひ試してみてくださいね。
 
執筆者:むらかみりりか
繊細っ子の脳を育てるココロ科学ラボ代表
発達科学コミュニケーションマスタートレーナー
 
 
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