1.思い通りにならないと泣きわめく繊細な子どもの癇癪
思い通りにいかないと泣きわめく、怒る、物を投げる、暴れるなど、毎日のように癇癪を起こして気持ちを表現する繊細な子どもに、「また癇癪…?」と悩んでいるママはいませんか?
子どもが癇癪を起こすのは、思い通りにいかないことに対する強い感情の表れです。
特に3歳頃は、自我が芽生え始め、なんでも自分でやりたい気持ちが強くなる時期ですよね。
しかし、まだからだや手先をうまく使えないため上手くいかないことも多く、その気持ちを言葉で伝えることもまだ上手にできないから、泣きわめく、怒る、物を投げるといった行動で気持ちを表現してしまうのです。
わが家の3歳の息子も、「ぼくがバナナのかわをむく!」と自分で挑戦したものの、思ったように剥くことができず、さらにはバナナが折れてしまい、「こんなのイヤだー」と泣きわめき始めました。
「バナナが折れたのがイヤだったんだねぇ」と声をかけたらもっと激しく泣きわめく。
どれだけ寄り添っても、共感しても、泣き止むことはないですよね。
新しいバナナを出して解決することもありましたが、「これが最後の1本」という日にバナナが折れてしまった時には、バナナをセロハンテープでとめたこともありました。
些細なことでもすぐに癇癪を起こす息子の、どこにあるか分からない癇癪スイッチに家族全員がビクビク怯えながら過ごす毎日でした。
2.繊細な子どもが癇癪を繰り返す理由は脳の誤学習
「イヤだ」と泣きわめく子どもに、つい「大丈夫だよ」「分かるよ」と寄り添い共感してしまいますよね。
ですが、癇癪に反応することは、実は逆効果なのです。
「あんなに激しく泣きわめいてるのに反応しないの?」と思いますよね。
実は、「泣きわめけば、ママが反応してくれるんだ!」と繊細な子どもの脳が誤学習してしまいます。
その結果、繊細な子どもは「イヤだ!」と泣きわめくことでママが注目してくれることを期待して、癇癪を繰り返すようになるのです。
さらに、繊細な子どもの脳は、他人の感情に敏感にとても強く反応するので、「イヤだ」というネガティブな感情に寄り添い共感してしまうと、「そうだ!やっぱりイヤなことなんだ」とネガティブな感情が脳の中でどんどんどんどん大きくなってしまうのです。
その結果、癇癪がヒートアップする状況になるのです。
3.癇癪を卒業できる2つの対応
バナナの剥き方だけで泣きわめく息子の癇癪をたった1か月で卒業させた方法は、「好ましくない行動には注目せず、好ましい行動に注目する」という対応です。
泣きわめく、怒る、暴れるなど、気持ちを癇癪でぶつけてきた時には、好ましくない行動なので注目しない、つまり見て見ぬふりをして反応しません。
あくまでも、気づいていないよというスタンスなので、「またか」とため息をついたり、眉をひそめたり、大きな音を立てたり、イライラしていることが子どもに伝わらないようにすることがとっても大切なポイントです。
例えば、歌を歌う、キッチンの掃除をする、掃除機をかける、雑誌を見る、違う部屋に行く、好きな音楽を聴くなど、何か違うことをすることで、お母さんの意識が他のことに向くので、上手に見て見ぬふりをするコツです。
その時に準備しておいて欲しいことは、好ましくない行動が終わった時、または好ましい行動になった時にすぐに注目できるようにしておくことです。
どういうことかと言うと、子どもの次の行動を予測し、肯定の仕方を考えておくとスッと肯定ができますよ。
お母さんが反応しないと、「あれ?泣き喚いてもママは反応してくれない!」と脳が学習し、違う方法で伝えようとします。
癇癪が終わるか、癇癪ではなく「ママ」「ママきいて」と話してくれた時には、「なぁに」と穏やかな表情で応えましょう。
「〇〇がイヤだった」など、自分の気持ちを言葉で伝えてくれた時には、「〇〇くんの気持ちがよく分かったよ。教えてくれてありがとう」と肯定してあげましょう。
もし、「なんでママきいてくれないの?」と言ってきた場合には、「お耳が痛いからだよ。ママは〇〇くんのアリさんの声を聞きたいな。待ってるね」と声をかけておきます。
大きな声で泣きながら「ママ~」ってママのところまで自分で来た時には、「大きな声で泣く」という好ましくない行動には注目せず、「ママ~」と自分で来たことに注目し、「なぁに〇〇くん」「自分で来てくれてありがとう」と肯定の声かけをします。
すると、子どもの中で「ママはこうしたら反応してくれる!」「こうやって気持ち伝えたらいいんだ」と学習し、自分の気持ちを言葉で伝えることができるようになっていくのです。
このような対応を続けていくうちに、バナナの皮の剥き方だけで癇癪を起していた息子の癇癪は、たった1か月でピタっとなくなりました。
ぜひ、癇癪には「好ましくない行動には注目しない、好ましい行動に注目すること」を試してみてくださいね。
執筆者:まるやま あやか
(発達科学コミュニケーショントレーナー)