1.毎日が感情のジェットコースター!
わが家には、ひといちばい敏感な何でも知りたがる博士ちゃん(通称:ミカ)がいます。好奇心旺盛で、少しでも気になることは「何で?何で?」と聞いてきて、哲学的な質問への答えに困ることもしばしばあります。
小さい頃からミカが繊細な気質を持っていることには気づいていました。だからこそ、その感性を大事にしようと、寄り添って褒める・色んなものを見せたり体験させることを意識し、子育てに励んできました。
ところが、ミカが年中になった頃、泣いたり怒ったり叫んだり毎日がジェットコースターのように感情が動く日々に一転したのです。
外ではいい子、毎日行き渋りもなく保育園に通っている、お友達トラブルもなく楽しく遊べている、お勉強も大好きな活発な女の子です。
しかし、家ではご機嫌に過ごしていたかと思えば「お風呂入ろうか?」のひと言で「ぎゃあー!」と叫んで暴れ出し、近くにあったオモチャを投げる、些細なことにも過剰に反応し、全てのことが怒りに繋がる大惨事!
止められないほどにエスカレートしていく姿に、私はミカの地雷をどうにか踏まないように、細心の注意を払いながらの生活に疲れ果てていました。
2.繊細な子が感情をぶつける理由
「私が何とかしなければ」と、毎晩のように本やインターネットで調べた末に、たどり着いたのが「お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション」でした。その中の繊細な子の心と脳を育てる専門家のむらかみりりかさんと出会いました。
今まで「大丈夫、気にしすぎですよ、成長の過程で見守っていきましょう」と、どこに相談しても家での困りごとは伝わりませんでした。一方むらかみりりかさんは、ご自身も繊細な子のママで「繊細さは生きづらさではなく強みに出来るんですよ」と、息子さんの変化でも証明してくれていました。「やっと分かってもらえる」と当時涙したのを覚えています。
そして繊細な子の心と脳を育てるペアレントトレーニングを学び、ミカが家で感情を爆発させていた理由がわかりました。
私に感情をぶつけているのは、親子の安心と信頼の関係が不安定な状態だということでした。そして、繊細な子はネガティブな感情や情報を受けやすい脳の特性を持っていることも影響していました。私が「この子が将来困らないように、何とかしなければ」との思いでしてきた注意や指摘がミカの脳にネガティブな記憶として深く残ってしまっていたのです。
そして「怒られるのがイヤ」「ママどう思うかな?」と不安な気持ちが膨れ上がり、ミカは素直になれなくなってしまっていました。
3.安心と信頼の親子の絆
「ママには何でも言っていいんだ」と思えるような親子の関係を創るために2つのことを実践しました。
①できていないことには注目しない
今までは、「ご飯こぼしてるよ」「服反対だよ」「靴そろえて」「TVから離れて」などなど、できていないことに対して注意や指摘をたくさんしていました。
私が怒ったつもりでなくても、たとえ優しく言っていたとしても、ミカは敏感に反応し「怒られている」と捉えていることがわかったので、全ての否定的な注目をやめることから始めました。何かできていないことがあっても見て見ぬふりを徹底していきます。
ミカは「おや?ママ何も言わないの?」と不思議そうにしていましたが、ニコッとするだけで私のお口はチャックです。
②好ましいことをしているときに声をかける
①とは反対に、ミカのできていることに注目して声をかけていきました。
今までは当たり前だと思っていたことも、
朝起きただけで「おはよう、起きたね」
トイレに行っただけで「スッキリしたね」
テーブルに座っただけで「ご飯の準備バッチリだね」と笑顔で言葉に出していきます。
「褒めるところがないなー」と以前の私は困っていましたが、当たり前にできていることを言葉にするだけでいいんだ!と前向きに取り組めました。
ミカの様子は、はじめは「ん?何?」と居心地が悪そうな雰囲気でしたが、次第に受け入れ始め、嬉しそうにしていました。
4.自分の気持ちが言えない子の変化
①②を毎日コツコツ続けていくと、「あれっいつものママと違うぞ」と最初は戸惑っていましたが、次第にママの変化に敏感に気づき、「見てー!これももう終わったよ」とミカから教えてくれるようになりました。
すると、ミカの好ましい行動が増える⇔私もどんどん声をかけていくというサイクルが出来ていき、1ヵ月経った頃には感情をぶつけることなく落ち着いて過ごせるようになったのです。
そして私自身もミカの感情に巻き込まれてイライラすることが減りました。
「ママ、いっぱい怒ってごめんね」とミカが小さく丸まりながら伝えてくれたことは、私の心に強く刻まれています。
今もなお、親子の安心と信頼の関係の大切さを実感しています。わが子が何を考えているのか、感じているのかが分かり、繊細な子の脳の仕組みを知ることで正しい対応ができます。
当たり前と思っていた生活が、突然当たり前じゃなくなり、どうしたらいいのかわからずにさまよい悩んでいた私たち親子が、また思いっきり笑えるようになりました。
執筆者:やまさき うみ
(発達科学コミュニケーション)