繊細な子の性質や対応について、先生にいつどのように伝えたらいいのか悩むことはありませんか?お子さんの様子で気になることがあったら、すぐに先生とお話しする機会を持つことをオススメします。実際に、保健室登校さえできなくなった小学生1年生の息子が、わたしと先生とのコミュニケーションをきっかけに、短期間で復学できた体験談をご紹介します。
1. 激しい行きしぶりから保健室登校へ
我が家の三男「みっくん」はとっても繊細。小学校に入学して、靴箱まで母子登校することでなんとか通えていましたが、「大きい声の子がいる」「ビックリするのがイヤだ」と言って、教室への不安を毎朝口にしていました。
1年生の3学期が始まって1週間が経った頃、「教室は怖い」「しずかな場所で過ごしたい」と涙目で訴えるようになったみっくん。「家ではあんなににぎやかなのに、教室では緊張して過ごしてるのかな…」と思い、落ち着くまで保健室で過ごすことを提案し、保健室登校がスタートしました。
しばらくすると「保健室も人が来るから怖い」「もっと静かな場所がいい」と言うようになったため、普段は誰もいない応接室で過ごさせてもらうことになりました。内心、保健室でも不安感がとれないとしたらこの先どうしよう…という心配がわたしの中で芽生えましたが、みっくんはというと「応接室は静かでよかった~」と嬉しそう。少しずつ学校で過ごすことへの不安感が和らいでいくと信じて見守ることにしました。
2. 「先生がダメって言うから…」応接室へも登校できない
応接室で絵を描いたり、学校支給のタブレットでタイピング練習をしたりして過ごしていたみっくん。給食だけは教室で食べることができたり、外で遊ぶお友達の姿をみて、一緒に遊び、そのまま教室で過ごせる日もあったようです。
1年間の疲れが出たのかな…いまは応接室で過ごしながら、充電できればいいなと見守っていたのですが、1週間も経たないうちに応接室への登校も嫌がるようになってしまったのです。
理由を聞くと「先生がダメって言うから…」と泣き出すみっくん。
実は前日、わたしの耳にもチラッと「ずっと応接室で過ごすことはできないから」「応接室に行く前に一回教室に行ってみよう」という先生の声が聞こえていました。
「職員室の隣とはいえ、応接室を気にし続けるわけにはいかないよね…」「先生も出来るならやってみよう、と声をかけてくれているんだし…」と、気になりながらも、その日はそのまま先生にお任せしていました。
けれど、泣きながら訴えるみっくんを見て、「先生とちゃんとコミュニケーションをとらないといけない」と決心しました。
最初に頭に浮かんだのは、どうしたら先生に「わかりました、みっくんのペースで見守っていきましょう」と思ってもらえるか。どう伝えるのがいいのかな、ということです。
3. 先生と上手にコミュニケーションをとる方法
みっくんの「不安な気持ち」をどうしたら軽くしてあげられるのか、悩んでいるときに見つけたのが、脳科学に基づいてお家で脳を育てる「発達科学コミュニケーション」です。
その中でも繊細な子への声かけを発信されていたむらかみりりかさんの元で、繊細な子への対応の仕方を学び始めたのがちょうど保健室登校が始まった頃でした。
先生にお手紙を書こうと思った時、「繊細な子が集団生活をラクに過ごせるように先生を味方にしよう」と、りりかさんが発信されていたことを思い出しました。その時に学んだのは、次の2つのポイントです。
- 感謝ではじまり感謝で終わる
先生だって人間だから、親身になって耳を傾けてもらえるようにまずは感謝の言葉を伝えること。そして、最後にも感謝の言葉を伝えること。そうすることで、力になってあげたいという関係性を築いていけるということ。
- 先生と目標のすり合わせを行う
懇談の機会でもいいけれど、少しでも気になることがあったら面談を希望したりお電話をしたりして、先生とお話しする機会をつくること。
学校の電話受付時間中に電話をすることがわたしの仕事の都合で難しかったため、この2つのポイントを受けてまずはお手紙を書くことにしました。
4. 「みっくんのペースで応援していきましょう」と言っていただけた先生へのお手紙
①感謝ではじまり感謝で終わる
靴箱で足が止まっているみっくんをいつも気にかけて声をかけてくださっていることへの感謝で始まり、多様な子がいて先生も忙しい中、みっくんに声をかけて気にかけてくださることへの感謝で終わるお手紙にしました。
②先生と目標のすり合わせを行う
わたしの目標は「学校は安心して過ごせる場所だ」とみっくんに感じてもらうこと。そのために、過ごす場所はどこでもいいし、教室以外の場所でエネルギーチャージしてもいいんだと知ってほしいと思っていました。
おそらく先生の目標は「教室で過ごす」こと。
ずっと応接室にいるわけにはいかない、教室にますます行きづらくなるのではないか…そんな先生の思いも分かるので、どう伝えるのがいいか考え思い出したのが、次のことです。
③発達の専門家からのアドバイスとして伝える
りりかさんの講義で学んだことを「発達の先生の見立てと接し方のアドバイス」として、先生に伝えることにしました。これまでの経験から、子どもの様子や対応については親の主観のみ伝えるのではなく、医師や専門家からの客観的な情報や助言に基づいて伝えたほうが、先生にとっても受け入れやすく、適切な対応を考えてもらいやすくなることが分かっていたからです。
今のみっくんの状態とともに、教室以外の場所で安心して過ごすことで自然と教室に足が向くのを待ちたいこと、そのために「どこで過ごしても大丈夫、学校に来れたことにハナマル」と伝えてもらえたらその日が近くなるということを記し、1月末にお手紙を渡すことができました。
「うまく伝わったかな、誤解をうんでいないかな」とドキドキしているわたしの元に、その日のうちに先生からのお返事が届きました。
「家庭と学校が同じ方向性で、みっくんの成長を見守り、応援していきましょう」丁寧に書いてくださったお返事の内容に心からほっとしました。
5. 先生とママのコミュニケーションから1ヶ月で復学!
それからというもの、学校でどう過ごしたいのかみっくんの思いをまずは聞いて、尊重してくださるようになりました。また、毎朝靴箱で前日の学校での様子と出来事を共有してくださるようになり、それを受けての家庭での様子も先生へリアルタイムでお伝えできるようになりました。
時間にすると3分にも満たないこのやりとりが、みっくんへの対応の答え合わせになり、先生とわたしの思いをすり合わせることにも繋がりました。
そして先生へのお手紙から1ヶ月も経たない2月の下旬には、保健室に行きたい、応接室で過ごしたい、ということもなくなり、みっくんはふたたび教室へ登校できるようになったのです!
わたし一人でがんばっていたのでは、こんなに早く復学できなかったと思います。先生とコミュニケーションをとることでわたしに生まれる安心感はみっくんにもきっと伝わっていたと思いますし、1日の中で家族と同じくらい長く過ごす先生とみっくんの間に信頼関係が築かれることは、なによりも心強いことだと感じました。
もうすぐ学年が変わりクラス替えもありますが、今回のように先生とコミュニケーションをとり、みっくんが学校での集団生活をラクに楽しくおくれるように応援していきたいと思います。
みなさんもお子さんの様子で気になることがあったら、遠慮せず早めに先生へ相談してみてくださいね。
執筆者:みやざわちひろ
発達科学コミュニケーション