１.楽しみだった参観が憂鬱に
我が家の（当時）年少の息子アサヒは、ママと離れるのが不安な、少し怖がりで繊細な一人っ子です。
参観で、みんなが楽しそうに踊る中、アサヒはただ棒立ち。
親子レクリエーションでの一緒に手をつないで走る場面では、「抱っこ！」と私にしがみつき、お別れの時は毎回大号泣でした。
比べるつもりはなくても、他の子との違いに目がいき、「うちの子だけ、なんで…？」と、楽しみにしていたはずの参観日が、次第に憂鬱になっていきました。
２.繊細な子どもの母子分離不安と固まるワケ
入園以来、子どもの分離不安や初めてのことが苦手なこと、登園渋りに悩み、息子の将来が不安だった私は、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を専門に教えているむらかみりりかさんを見つけました。
そこで、おうちで脳を育てる「発達科学コミュニケーション」というメソッドを知り、「アサヒへの対応に迷うことがなくなるかも！」「アサヒが色々なことに挑戦してくれるようになるかも！」と受講を決意したのです。
学び始めて分かったのは、幼児の脳はまだ十分に発達していないため、初めての場所やいつもと違う状況、たくさんの観客がいる雰囲気などに戸惑い、強い緊張や不安を感じやすいということです。
うちのような繊細な子どもの場合、母子分離という出来事も強い不安につながることを知り、私は深く納得しました。
このような時、子どもはどう対処していいか分からず、体が固まってしまうことがあるのです。
これは、脳がストレスから身を守ろうとして、行動にブレーキをかけるための自然な防御反応だと知りました。
そして、繊細な子どもが「できるんだ！」「大丈夫だった！」という成功体験を積み重ねることが自信となり、新しいことへ挑戦するための力になることも学びました。
ここからは、私が息子に自信をつけるために実践した事をご紹介します。
３.「できてる」を見つけることを毎日の習慣に
①普段からできていることを具体的に言葉にする声かけを意識
日々の生活の中で、子どもがやっていることに興味を持ち、できていることを具体的に言葉にする「実況中継」のような肯定的な声かけを心がけました。
「レゴやってるんだね～」
「いま何を作ってるの？」
「こんなに、かっこいいの作れるの？！」
「おっ！ズボンに片方の足が入ったね！」
「お箸持ったね～」
このように、子どもの行動に注目し、できていることを言葉にすることで、「お母さんが見てくれている」という安心感と、「僕はできているんだ」という達成感を一緒に感じることができます。
これにより、お母さんとの信頼・愛情関係を強くすると、分離不安を感じやすい子どもでも落ち着いて行動できるようになり、新しいことに挑戦するための心の土台が育まれます。
②参観では「できてる」に目を向けると決意
参観中は、できないところに注目するのではなく、できているところを見つけようと心に決めました。
・幼稚園に来ただけでOK
・座っているだけでOK
・泣いていないだけでOK
また、私の方を見てきたときは、グッジョブサインを出して「見てるよ」「できてるよ」のテレパシーを送りました。不安な気持ちもありましたが、私の不安な表情は子どもに伝わってしまうと考え、とにかく笑顔で見つめることに集中しました。
発達科学コミュニケーションを始めて半年ほど経った年中の２学期には、お別れの時に名残惜しそうにしながらも、自分で気持ちを切り替えて、お部屋に帰る列に並べるようになっていました。
以前は、子どもが母子分離のたびに不安で涙を流していましたが、今ではその姿はほとんど見られなくなっていたのです。
４.もう心配いらないと思えた参観日
年中の最後の参観は「ダンス」でした。
以前の参観で、繊細な性格から棒立ちだった息子の姿が頭をよぎり、少し緊張していましたが、そこにいたのは、みんなと一緒にノリノリで楽しそうに踊るアサヒの姿だったのです。
お別れの時も、私の方が寂しくなるほど、あっさりとニッコリ手を振ってお部屋に戻って行きました。
そして後日、クラスのママから嬉しい話を聞きました。
「ママと離れたくない！一緒におうちに帰りたい！」と泣いているお友達に、アサヒが「〇〇ちゃん、一緒に給食食べよう」と優しく声を掛けてくれたというのです！
あの、お別れのたびに大号泣していたアサヒが！その話を聞いた時は、涙が出るほど嬉しい瞬間でした。
参観日で見せたアサヒの姿は、私の関わり方を変えたことで得られた成長の証だと思います。
自信をつけ、心身ともに成長しているアサヒと共に、私自身もこの学びを通して成長し続けたいです。
これからどんな未来が待っているのか楽しみになりました。
執筆者：高橋 りえ
発達科学コミュニケーション
