服が汚れることを嫌がる繊細な娘が初めての田植えに挑戦できた安心の見通し

小さい時から服が汚れることを嫌がる繊細な娘は、どろんこ遊びや砂場での遊びに参加しない時がありました。また初めてのことに対して不安を感じやすく「やってみたいのにやらない」ことも。そんな娘と一緒に安心の見通しを考え、初めての田植えに参加できた体験談です。

1.繊細な娘に芽生えた「田植えやってみたい!」気持ち

 

初めてのことが苦手な繊細な娘、こはるちゃん(仮名)は、幼稚園の年長では行きしぶりから一時は不登園になり、約半年の母子登園を経て「幼稚園は楽しくてずっといたい」と卒園3カ月前には1人で登園できるようになりました。

 

「幼稚園が楽しかったから、小学校も楽しくしたい!」と期待に胸を膨らませて小学校に入学しましたが、4月の半ばに行きしぶるようになり、好きな科目から母子登校で登校したり、お休みしたりしていました。

 

行事に参加することが好きな娘。ゴールデンウィーク明けに行われる学校行事、田植えに参加したいという気持ちが芽生えていることを知りました。

 

 

2.服が汚れることや初めてのことが苦手

 

幼稚園時代、年少、年中、年長と行きしぶりを繰り返していた繊細な娘。

 

幼稚園で泥んこ遊びの機会がありましたが、「服が汚れるのがイヤ!」と言って見学していたことがありました。

 

また、年少の時から砂場でも服が汚れることを嫌がり、砂場にはいらなかった時もあります。

 

そして初めてのことに対しては、「やってみたいけど、やらない」とブレーキがかかりやすい娘。

 

今回の田植えでは、服が汚れるのは避けられません。


娘に田植えを「やってみたい」という気持ちが芽生えてきたことはとても嬉しかったのですが、服が汚れるとわかったときに「やっぱり参加したくない」とブレーキがかかるのではと心配していました。

 

 

3.「いやだ」「こわい」の理由

 

幼稚園の行きしぶりに悩み、誰に相談しても解決はせず、行きしぶりは悪化の一途をたどりました。そんな中、お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション(以下発コミュ)のトレーナーである、むらかみりりかさんの発信を見つけました。

 

親子のコミュニケーションを変えることで、繊細な子は、繊細さを強みに変えることができるという事を知り、「何か変わるかもしれない!」と思い、発コミュを学び始めました。

 

発コミュで下記2点を学びました。

 

①感覚過敏は聴覚、視覚、触覚、味覚などの感覚を脳が敏感に受け取って上手に処理しきれないため起こる。

子どもが不安を感じているときや緊張しているときは、心に余裕がなくなり、「ちょっとくらい平気」が通用しなくなります。すると、いつも以上に感覚に敏感になり、些細なことでも強く反応してしまうのです。

 

②繊細な子の初めての事への拒否反応の理由は、漠然とした不安を感じ取り楽しそうなことでも「こわい」「いやだ」と脳が全力で拒否しているため、何が心配なのか不安を分解してあげる。

 

大人が思っているよりも丁寧でわかりやすい言葉で説明をし、見通しを立ててあげることが大切。

 

田植えに参加するには、「汚れるけど楽しいかも」という気持ちを育てることそして安心して参加できる見通しを立てることだと考えました。

 

 

4.「安心の見通し」をつくる作戦会議

 

連休が始まる前日に行きしぶり、学校を1日お休みしていました。

 

連休明けすぐに、田植えの行事があるので、スムーズに行事に参加できるように「事前にできること」を親子で考えてみることにしました。

 

娘が疑問に感じていることや不安に思っていることがあるので、娘の中にある不安を「安心」に変えるために作戦会議を始めました。

 

①田植えの様子を一緒に動画で見てみる

 

田植えはどういうものなのか、理解するため娘と動画を見ました。

 

動画を観ながら「田植えは田んぼに入って、苗を植えるんだよ。泥で汚れるけど、汚れてもいい服を着るから、好きなだけ汚れてきていいんだよ」「汚れても着替えを用意していくから安心だね」と不安を安心に変える見通しを話すと「田植え楽しそう」と娘は話すようになりました。

 

②不安に思っていることをノートにまとめてみる

 

担任の先生に気持ちを伝えるよい機会だと考え、先生に連絡して放課後に会いに行く約束をしました。

 

学校に行く前に先生に伝えたい内容をノートに書き出してみました。

 

娘が書き出した質問は下記3点。

 

1、担任の先生に田んぼまで一緒に歩いてほしい

2、田植えはどうやってやるのか、わからないから教えてほしい。

3、田植えの後は授業はあるのかどうか。

 

みんなが帰宅後の放課後、ノートを持って担任の先生に会いに行きました。

 

先生が「今日、田植えの説明をみんなで動画で観たから、こはるさんも先生と一緒に観てみよう」と動画を見せてくださいました。

 

動画を見た後、娘はノートを取り出し先生に質問しました。

 

先生からは下記回答を頂きました。

 

1、もちろん!先生と手を繋いで一緒に田んぼに行こう。6年生のお姉さん(1年生を迎える会でペアだった娘が好きなお姉さん)も一緒に連れていってくれるとのこと。

 

2、ペアのお姉さんが教えてくれながら作業に参加できるとのこと。わからない時は先生もお手伝いして下さるとのこと。

 

3、田植えの後は給食を食べて帰るので、授業はないとのこと。「デザートにりんごケーキが出るよ」と、娘が喜ぶ見通しも教えて下さいました。

 

はじめは緊張していた娘でしたが、不安に感じていたことを先生に確認し見通しがみえたことで、帰る前は笑顔になり「田植えに参加したい」という気持ちを育てることができました。

 

 

5.「楽しかった!」が自信に。次は稲刈りにチャレンジ

 

田植え当日の朝「行きたいけど行きたくない」と目に涙を浮かべていましたが、1人で登校しました。

 

母子登校中なので、途中お迎え要請がくることを想定していましたが、連絡がくることはなく1日を学校で過ごし「田植えとっても楽しかったよ!」と笑顔で帰ってきました。

 

帰ってきてからどれだけ楽しかったか力説する娘。

 

「泥の中は急いで歩くと進めなくなるからゆっくり歩くことがポイントなんだよ」「田んぼの泥は冷たくて気持ちがいいんだよ」「今度ママに田植えのやり方教えてあげる」と絵を書いて細かく説明をしてくれ、9月の稲刈りの参加を楽しみにしています。

 

初めてのことや汚れることに対しては、「やってみたい」と思ってもブレーキがかかりやすい繊細な娘。

 

少しでも「やってみたい」という気持ちがあるのであれば、ブレーキをうまく外して叶えられるようにサポートしていきたいです。

 

 

執筆者:葉月 まき

発達科学コミュニケーション

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