繊細な不登校の娘が校外学習に参加!カギはママの“脳のリアルイメージ作戦”

繊細な不登校高学年のお子さんが校外学習に参加したいと希望したとき、お子さんの挑戦をどうサポートすれば良いのか迷うことはありませんか?繊細な高学年女子が次々に沸き起こる不安を自分で解決して校外学習に参加した記録です。

1.「私も行きたい!」不登校の娘が参加を希望した校外学習

 

私の娘、千帆は繊細な気質を持つ小学4年生。学校や習い事での失敗体験で自信を失っていたところに、クラスの男子のからかいが決定打となり、小学3年生から不登校になっていました。

 

どんなに「失敗したって平気だよ」「気にしなくても大丈夫だよ」と励ましても、繊細な千帆の心には届かず、むしろ「どうせ失敗する」「イヤなことが起こる」と何事にもネガティブな発言ばかり。

 

自宅で元気にしていても、家族でのお出かけも拒むようになった千帆の将来に危機感を抱いた私は、自己流では解決することが難しいと判断し、実践型の学びを探しました。

 

そして、千帆が小学3年生の夏、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を専門に教えているむらかみりりかさんに出会い、そのメソッドである発達科学コミュニケーション(以下、発コミュ)を学び進めることになりました。

 

千帆のネガティブ発言は徐々に減り、家族や気の合う友だちと出かけることも増えていったのです。

 

学校にも、ひと月に1、2度程度は給食だけ食べに行ったり、クラブ活動だけ参加したりできるようになっていたある日、学校から校外学習(清掃工場)の案内が届きます。

 

千帆に参加の有無を聞くと

 

「わたしも校外学習に行きたい!」

 

不登校生活1年半の間、行きたかった行事やイベントでも、当日の朝になって「やっぱり行かなくていい」と布団から出られなかったこともあった千帆。

 

私は、意欲的な千帆に嬉しさを感じる反面、本当に当日行けるんだろうかと不安な気持ちもありました。

 

それでも、「校外学習に行きたい!」という気持ちを叶えてあげたい。千帆にとっての大チャレンジを支えるためにできることを考えました。

 

 

2.繊細な子の「やっぱりやめた」は脳の特徴が原因

 

繊細な子は「行きたい!」と思っていたことでも、出発直前に「やっぱりやめた」と行動を止めてしまうことがあります。

 

これは、脳の中で心のブレーキが強くかかっているためです。

 

心のブレーキとは、見通しが立てられず漠然と不安に思うことや、過去の同じような場面での失敗があると、「危ないよ」「良くないことが起こるよ」と不安がどんどん膨らみ行動を止めてしまう脳の働きです。


また、繊細な子は、学校=イヤなところ、クラスメイト=なにかイヤなことを言う子、といったネガティブなイメージで、過去の感情と場面がセットになって記憶されていることが多々あります。

 

そのため、行動や挑戦にはとても慎重になります。「いつもと同じ」であることに安心安全を感じ、このエリアからなかなか出て行けないのです。

 

不登校の千帆にとって学校は、ネガティブな記憶がまだまだ残っている場所です。

 

給食を食べている部屋やクラブ活動をする部屋では少しずつ安心を感じられている状態の千帆が、校外学習という「いつもと違う」状況に、どうアプローチしていけばいいのでしょう。

 


 

3.校外学習に向けたリアルイメージ作戦!

 

①脳に届くコミュニケーション

 

◇基本の“肯定”を徹底する!

 

肯定とは、子どものありのままの姿や言葉、気持ちをそのまま認めることです小さなことでも自分で動いて決めたことを「いいね!」と認めることで、子ども自身に「これで良いんだ」「自分はできている!」と小さなを貯めることができます。



◇予告することで気持ちの準備ができる!

 

これから起きることを事前に予告します。


いつもよりも「えいや!」と勇気のいることには数日前からの予告がオススメです。

 

「あと何日したら〇〇の日だね~」

「明日は〇〇だよ~」

 

見通しを立てることで不安を安心に変える!

 

大人が思う以上に細かく具体的に見通しを立てていきます。

 

「〇時に学校の△△の場所に集合して、駅に向かって歩くんだって~」

「清掃工場って、電車で〇分くらいで着くんだって~」

「清掃工場のホームページ見てみる~?」

 

このように具体的に予告や見通しを立てることで、グッとリアルイメージを描くことができます。

 

そして、見通しを立てる中で不安に思うことが出てきても、先生や友だちと連携を取ることで解決することもできるので、不安を安心に変えて当日を迎えられます。

 

この自信と安心を積み重ねていくことで、なにか困りごとが起きても、「自分ならなんとかできる」と、自分で解決策を考えるようになっていきます。

 

 

②脳に届くコミュニケーションの実践!

 

◇校外学習の3日前から予告をスタート

 

「来週、清掃工場の校外学習があるよ!明日、好きなお弁当のおかずを買いに行かない?」


・校外学習は来週あること

・お弁当が要ること 

・好きなおかずを入れられること


予告をしながら「好きなおかず」を考えるというお楽しみ要素も入れ、気分を盛り上げていきました。

 

千帆はルンルンでお弁当の設計図を描きあげました。

 

◇前日には、持ち物リストを見ながら見通しを立てる

 

・どんな服を着る?

・水筒のサイズはどれにする?

・どっちのリュックにする?

 

など、選びやすい選択肢を示しながら話を進めます。

 

自分で決める力を育てられるよう声かけを工夫しました。

 

「どの選択肢を選んでも肯定する」ことで、子どもは、決める力と自分の意見に自信を持つことができるのです。

 

4.繊細な娘に降りかかる試練も自分で乗り越える!

 

翌日の準備を順調に進めていたところ、持ち物リストにある「しおり」が家にはないことに、私が気付きました。

 

私はなくてもなんとかなると思いましたが、千帆が「しおりがないこと」で不安が増幅すると大ブレーキがかかると予想し、すぐに伝え、千帆と一緒にどう対処するか作戦を立てることにしました。

 

「あ!!明日の持ち物にしおりがあるんだけど、どうする?」

 

「うちにしおりないじゃん。まぁいいよ、明日の朝、先生にもらうから!


以前なら「持ってないから行かない」となるような場面。

 

私の助け船など不要だったのです。

 

千帆が自分で解決策を見つけた瞬間に内心感動する私でした。

 

そして迎えた当日の朝。

 

不安が次々と降りかかります。

 

「お弁当にゼリーを入れていいのかな…?」

「野菜ゼリーだからまぁいいよね!

 

「みんながランドセルだったらどうしよう…?」

いや、大丈夫!今日はリュックって持ち物リストに書いてあった!」

 

自分で決める力と自信を積み重ねた千帆は 不安をひとつひとつ整理しながら、前に進むことができました。

 

そして家を出発して、もうすぐ校門に着くというところで最後の難関が!

 

苦手な男子グループに出くわしたのです。

 

不登校になる直前に追いかけられた経験があり、今なお時折話題に出すほど、強烈にネガティブな記憶が残っているのです。


娘は 「最悪…」とつぶやき、なにやら考えています。

 

私は千帆がどう対処するのかじっと堪えて待ちます。

 

すると千帆は……

 

「こんなときは…走って先に行っちゃえばいい!」

 

小走りで校門を突破し、無事に集合場所へ到着!仲良しのお友だちと合流しホッと一安心!

 

すぐに先生にしおりをもらい、無事に出発することができたのです。

 

5.繊細な子の挑戦は自信と安心があれば叶えられる!

 

帰宅した千帆は、 開口一番、「お弁当美味しかった~!」と嬉しそうに報告してくれました。

 

寝る前には「足が疲れて痛いよ~」と言っていましたが、清掃工場のこと、電車でのこと、お友だちのお弁当箱の柄…たくさんの話を楽しそうにしてくれました。

 

持ち物が足りなくても、不安が次々沸き起こっても、苦手な男子グループに会っても、行くことができたのです!

 

今回の経験を通して、自分で考えたことを肯定される安心感が自信につながっていること、自分で問題を解決できる力が育っていることを実感しました。

 

 繊細な不登校の子にとって校外学習だけでも参加するというのはとても大きな挑戦でした。

 

これからも娘の「やってみたい!」という気持ちにはリアルイメージで見通しを立て、挑戦をサポートしていきたいです。

 


執筆者:あなんしほ
発達科学コミュニケーション

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