1.激しい人見知りがある繊細な子の「初めての場所」での困りごととは?
「こんにちは」と声をかけられても、ギュっと私の後ろに隠れる。
お友達と遊んでいても、知らない子が近づくと、ピタッと動きが止まる。
それが、我が家の次男、年長のエイジ君(仮名)でした。
エイジ君は、小さな頃から人見知りがあり、初めての場所や人がとても苦手なタイプ。
とても繊細な子で、初対面の人との距離感をつかむのにも時間がかかります。
特に困っていたのは、長男がいない状況。
兄が一緒なら安心して行ける場所も、ひとりになると不安で動けなくなってしまうのです。
せっかくのお出かけも、現地に着いた瞬間に「行きたくない、やりたくない」と言うこともあります。
私自身も、「どうしてこんなに消極的なのかな」「他の子は普通に楽しんでるのに…」と、つい比べてしまっていました。
エイジ君が悪いわけじゃない。けれど、どう接していいのか分からず、私の方が不安でいっぱいだったのを今でも覚えています。
2.繊細な子に必要だったのは「安心感の土台」だった
エイジ君の“激しい人見知り”は、単なる性格ではなく、「安心できる環境がないと動けない」というサインだったのかもしれません。
そのことに気づけたのは、ある日の公園での出来事でした。
久しぶりに訪れた少し大きめの公園。
遊具に誘っても、エイジ君はサッカーボールを抱えたまま、じっと座り込んで動きません。
「怖い?」「何かイヤなことがあった?」と聞いても、うつむいたまま。やがて「帰りたい」とつぶやいたのです。
その姿を見て、私はようやく「この子は知らない環境に強い不安を感じているんだ」と実感しました。
それまでは「甘えてるだけ」「そのうち慣れる」と思い込んでいましたが、繊細な子にとって“初めて”は脳がストレスと感じるほどの負荷だったのです。
そんな時に出会ったのが、むらかみりりかさんの子育てエピソードでした。
「うちの子にそっくり」と感じたのをきっかけに、発達科学コミュニケーション(発コミュ)という学びに出会い、私自身も関わり方を見直し始めました。
それからは、無理に慣れさせるのではなく、「安心できる準備」を整えることを大切にするように。
エイジ君にも少しずつ変化が現れはじめたのです。
3.初めての場所でも平気に!激しい人見知り克服の3ステップ
①行く場所の写真を一緒に見る
「今から行くところがどんな場所かを知っているかどうか」は、エイジ君にとって大きな違いでした。
初めての場所に行く前は、スマホで写真を検索し、一緒に画面を見ながら話しました。
「ここにすべり台あるよ」「お店の人、やさしそうだね」そんな会話をするだけでも、エイジ君の表情が和らいでいくのが分かりました。
目で見て情報を得ることで、「知らない」から「ちょっと知ってる」に変わり、不安のハードルが下がったのです。
②誰と行くかを事前に伝える
繊細な子にとって、「人」の要素はかなり重要です。
「どこに行くか」と同じくらい、「誰と一緒にいるのか」「誰に会うのか」を明確にすることが、不安を軽減させてくれました。
私は事前に「今日は○○ちゃんとママがいるよ」「〇〇先生が一緒に行くって言ってたよ」と具体的に伝えるようにしました。
そうすることで、予想外の人に出会う不安が減り、心の準備がしやすくなったのです。
③最初の10分だけ頑張る「時間の見通し」作戦
「全部頑張ろう」は、繊細な子にとってとてもハードルが高い。
だから私は「最初の10分だけやってみようか」と声をかけるようにしました。
「10分だけなら行ってみようかな」とエイジ君も気持ちを切り替えやすくなり、結果的にそのまま最後まで楽しく過ごせたことも何度もありました。
短い時間、という見通しをつけることで、安心して第一歩を踏み出せるようになったのです。
4.「うちの子だけ?」と悩むママへ。人見知りは必ずやわらぎます!
今ではエイジ君も、少しずつ「初めての場所」や「初めての人」に対して構えすぎずに関わることができるようになってきました。
もちろん、今でも「今日は行きたくないな」と言う日もあります。
以前のように足を一歩も踏み入れることができないほど、不安でいっぱいだった頃とは全く違う姿です。
私はこの経験を通して、繊細な子に必要なのは「無理に慣れさせること」ではなく、「安心して踏み出せる準備」を一緒にすることなんだと心から実感しました。
そして、子ども自身には、ちゃんと「慣れていく力」「チャレンジする力」が備わっているということも。
それを信じて、焦らず、小さな一歩を重ねていくことで、どんな繊細な子でも確実に変化していくことができるのです。
人見知りが激しい
初めての場所が苦手
そんなわが子を前に、「うちの子だけ…?」と悩んでいるママへ。
大丈夫。今できないことも、関わり方次第で、できることが増えていきます。
ママがその可能性を信じる力で、挑戦してみよう!と勇気が出て見える世界も変わっていきます。
親子で一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。
執筆者:ますながゆみこ
(発達科学コミュニケーション)