「本当は新しいお友達がほしい」人前だと固まり場面緘黙する繊細な娘と考えたお手紙作戦

繊細な娘は、小さい時から人前になると固まってしまい話そうとすればするほど話せない場面緘黙という状況になっていました。そんな娘とお手紙を書くことで安心の範囲を広げ心から信頼できるお友達ができた娘の体験談です。

1.自分の気持ちを話すのが苦手な繊細な娘

 

自分の気持ちを伝えるのが苦手な繊細な娘、こはるちゃん(仮名)は、年中の11月ごろから行きしぶりが始まり、年長の5月に一時は不登園になってしまいました。その後、6月からは親子で母子登園をするようになりました。

 

年長で新しいクラスになり、クラス替えで仲のいいお友達全員とクラスがわかれてしまい、親子で不安な気持ちを抱えていました。

 

繊細な娘は積極的に話しかけるタイプではなく、話しかけられるのを待つタイプです。

 

登園しても、私とは普通に会話ができるのに、先生やお友達が近づくと固まっていました。そんな娘の様子に、私はいつもヤキモキする日々。

 

「新しいお友達がほしい」という娘の気持ちを知っていたので、何かできないかと考えていました。

 

 

2.固まってしまうのは繊細な子の脳のしくみ

 

幼稚園を嫌がる様子がどんどん強くなり、誰に相談しても解決できませんでした。そんな中、「おうちで脳を育てる」発達科学コミュニケーション(以下発コミュ)のトレーナーである、むらかみりりかさんに出会いました。

 

親子のコミュニケーションを変えることで、繊細な子はその繊細さを強みにできると知り、「このままでは娘の笑顔が消えてしまうかもしれない。親子で変わりたい!」という思いから、発コミュを学び始めました。

 

発コミュで、次のことを学びました。

 

繊細な子は、まわりの情報を受け取る力がとても強く、人の表情や教室の雰囲気、音などを敏感に感じ取ってしまう。

 

②繊細な子の脳は、見通しが立たないことが苦手で人前でパニックになりやすく、極度な不安や緊張を発動してしまう。言語力には問題はないのに、場面によって話せなくなる。



不安や緊張を感じると、脳が「危険だ」と判断してしまい、体がこわばってしまいます。そうなると、頭が真っ白になってしまったり話したくても声が出ないという状態になってしまうのです。

 

娘は小さい頃から、人前で話すことがとても苦手でした。私は「人見知りな性格なのかな」と思っていたのですが、慣れない場所や人前で強い不安を感じてしまい、話そうとすればするほど声が出なくなってしまう「場面緘黙(ばめんかんもく)」という状態だと知ったのです。


「お友達がほしい」のであれば、お友達とのコミュニケーションをとっていく必要があったので娘と作戦会議をしました。

 

 

3.繊細な娘の得意に注目した「お手紙作戦」

 

娘は、絵を書いたり、文字を書いたりすることが得意です。

 

その得意なことを活かして、「お友達や先生にお手紙を書くのはどう?」私がそう提案した際に、娘はとっても嬉しそうな顔をしました。

 

安心できること、好きなこと、得意なことであれば、苦手に思っていることにも挑戦しやすくなると、学んだからです。

 

手紙を書き始めると、「なんて書いたらいいかな」と少し戸惑う様子がありましたが、「〇〇ちゃんと何をして一緒に遊んでみたい?」と聞くと「すべり台とぶらんこかな」と答える娘。「その気持ちをそのまま書いてみるといいんじゃないかな。」と伝えました。

 

「こんどいっしょにぶらんことすべりだいであそぼうね」かわいい絵と一緒にお手紙が完成しました。手紙を書いた相手はあまり話したことがないクラスメート。渡す時緊張するだろうなと思い、「明日お母さんと一緒に渡そうか」と伝えると「うん!」と娘は返事をしました。

 

翌日、なかなか動き出せない娘を見守りながら、お友達にツンツンして恥ずかしそうに手紙を差し出す娘。

 

相手も突然のことなのでビックリするかもしれないと思い、「〇〇ちゃん、こはるちゃんがお友達になりたくてお手紙書いたんだよ」と私は笑顔で伝えました。

 

嬉しそうに「ありがとう!」と言って手紙を受け取ってくれました。

 

数日後、お友達からの返事の手紙を受け取った時の娘の嬉しそうな顔。そして「一緒にすべりだいとブランコで遊ぼう」と声をかけてくれました。

 

そこから、娘は先生や仲良くしたいお友達に沢山手紙を書くようになりお手紙交換をするようになりました。話したことがない男の子とも折り紙を作って渡し合ったり、言葉でコミュニケーションをはかることは難しくても「気持ち」を交換し合うことは安心の範囲を広げるきっかけになっていきました。

 

今では、手紙を書くことが娘の趣味の1つとなり、切手をはり遠方に住むおばあちゃんや従姉妹と文通をするようになりました。


 

4.場面緘黙があっても話せるようになる

 

発コミュを始める前の私は、「お友達がほしいなら、自分から話しかけないとだめだよ」と、娘にそんな言葉ばかりをかけていました。場面緘黙がある娘には逆効果でありその言葉がプレッシャーをかけていたこと、話そうとすればするほど話せなくなるということを今ではよく理解をしています。

 

年長の6月からお手紙や折り紙交換することで、きっかけを作り、場面緘黙することも少なくなっていきました。少しずつ娘は担任の先生に心を開き自分の気持ちを言葉で伝えるようになっていきました。そして心から信頼できるお友達ができ、卒園3カ月前には交友関係もドンドン広まっていきました。

 

小さな積み重ねが安心になり、場面緘黙があっても自然と話すことができるようになると繊細な娘は私に教えてくれました。

 

新しい環境に慣れるまで時間のかかる娘ですが、だからこそ、一歩一歩の積み重ねを大切に、これからも親子で歩んでいきたいと思います。



 

執筆者:葉月 まき

発達科学コミュニケーション

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