半年間不登園だった繊細な子がママから離れて入学式に参加できた見通し作戦

入学式でママと離れられるのか、心配になったことはありませんか。我が家の繊細な娘は、年長で半年間不登園となり、そのまま卒園を迎えました。その間、肯定的な関わりで自信を育て、見通しをもって望んだ入学式。泣かずにママと離れて児童席で参加できた体験談をご紹介します。

1.集団生活が苦手な繊細な子

 

我が家の繊細な三女(通称:はーちゃん)は、ガヤガヤした場や静かすぎる場が苦手で、誰かが辛い状況だと自分も辛くなったり、オルゴールの音で寂しさが溢れ出したり、冗談で飛び交う怖い話に本気で怯えたり、観客を前にした演技ではカチンコチンになるなど、集団生活で体験する様々なことが苦手です。

 

年少さんで入園してから、基本的に登園渋りな毎日。

 

園に行けばお友達とは楽しく遊んでいて、「明日の服は同じ色ね」「明日のおはしは同じキャラにしよう」などお友達との約束で、楽しい見通しがたっている翌日は朝の支度もスムーズでしたが、ちょっとした嫌だったできごとをきっかけに登園渋りに戻っていました。

 

好きなもので励ましたり、半日登園にしたり、休みを挟んだり、なんとか通わせる日々。

 

年長から行き渋りはさらに強くなり、せっかくの夏休みすら外出を嫌がり無気力な様子となりました。2学期からはあまりに強い登園拒否で、無理やり連れていくことが私の心の限界となり、不登園に。

 

エネルギーが溜まったら行けるようになるかなと休ませたものの、休んだからと言って園に行きたくなる気持ちが湧く様子は全くなく、もっと楽に社会とつながる方法はないものか」と思っていたところで出会った、お家で脳を育てる発達科学コミュニケーション(以下、発コミュ)。

 

繊細な子の子育てを教えているむらかみりりかさんの、「繊細さはギフト、繊細さを強みに」という言葉に、「繊細さを強みにできるなら教えてほしい!」という思いで、年長の11月から発コミュを学び始めました。

 

 

2.不登園となり園に復帰しないまま迎える入学式

 

発コミュを学び、親子の関わりを変えることで表情が明るくなり、1ヶ月で外出を楽しめるようになりました。

 

3ヶ月経つ頃には自信満々な発言をしひょうきん者になり、自分から「◯◯に行きたい!」と言うまでに変化していたはーちゃん。

 

親子の関わりを変えてからのはーちゃんや姉達の変化は、以下のレポートで紹介しています。よろしければご覧ください。

 

▼無気力になった繊細な子が外出を楽しめるようになり本来の姿がでてきたママの関わり
https://desc-lab.com/murakamiririka/5603

 

▼「ママがいい、家がいい」で揃って不登校、不登園だった繊細三姉妹が自信を取り戻し進み出した肯定の徹底
https://desc-lab.com/murakamiririka/4429/

 

 

学び始めて3ヶ月が経過した2月、「◯◯ちゃん(一番仲良しの子)と遊びたいな。」という発言がありました。

 

さっそく日曜に遊んだ際には、はーちゃんから積極的に話しかけて楽しく遊びました。帰り際、「明日は幼稚園来てよ。」と誘われて「わかった、行くわ!」と答えたはーちゃん。

 

約束通り、翌日の園庭遊びの時間に私と一緒に園に足を運びました。

 

久々の登園、みんなが勢いよく駆け寄ってきてくれ、かなり距離近めで喜んでくれ、「なんで来んかったん?明日は来るん?おやつは食べるん?」と飛び交う質問。

 

困り顔で「帰りたい。」と言うのを、なんとかねばって30分ほど遊具遊びをし、何人かのお友達とはゆったりとコミュニケーションをとりましたが、一番の仲良しの子はドッジボールに夢中で、一緒に遊ぶタイミングがないまま「もう帰る。」と園を後にしました。

 

そのときの経験がネガティブ記憶のセットにつながってしまい、行くと言っていたお別れ遠足も「やっぱり行かない。」となり、卒園式も断固拒否で不登園から復帰することなく卒園の日を迎えました。

 

 

繊細な子にとって、ネガティブな記憶がいかにやっかいかを思い知りました。

 

不登園のまま迎える入学式。

 

通っていた園から同じ小学校に入学するのは男の子一人だけで、まさに新たな環境です。

 

はーちゃんは新しい環境が苦手で、慣れるのにとっても時間がかかります。クラス替えのない幼稚園ですら、先生や教室が変わるだけで慣れるのに3ヶ月ほどかかり、慣れても基本行き渋り。

 

集団生活への復帰はどう考えてもかなりハードルが高い状況でした。

 

3.繊細な子が集団生活が苦手な理由

 

発コミュでの学びを始めるまで、繊細だから集団生活が苦手なのはしょうがないのかな、可能な範囲で環境を整えていくしかないのかなと思っていました。

 

繊細な長女が不登園になった際、転園でガラッと環境が変わり困りごとがなくなったことから、ストレスが少なくのびのび過ごせることにこだわった園選び。

 

それでもやっぱりあるはーちゃんの行き渋り。

 

発コミュの学びで、繊細な子が集団生活が苦手な理由として以下を教わりました。

 

◆安心の範囲が狭くなりがち

 

繊細な子はネガティブな状況を大きく受け取り、感情とセットで脳に記憶する傾向があるため、「大丈夫な場所」、「大丈夫な人」、「安心の範囲」が狭くなりやすいです。

 

また、はじめての場所や人に対する不安も大きく、一歩の踏み出しができないことで、安心の範囲が広がらないということにも。

 

 

◆情報を受け取る力が強すぎて情報の処理がおいつかない

 

情報を受け取る力であるセンサーがとても強い繊細な子。受け取った情報を処理する力がセンサーに見合った分だけ育っていないと、脳で大渋滞が起こり、ストレス状態になります。

 

脳がストレス状態だと、1のストレスを100のストレスに受けとったり、心のブレーキ機能(行動抑制システム)が過剰に働いて、自分の力が発揮できなくなり、外の世界や集団での環境適応が難しくなってしまいます。

 

 

4.見通しをもってのぞんだ入学式

 

発コミュを学び、親子の愛着を強くして安心の範囲を広げられる準備をし、対話を増やして情報を処理する力をつけることを意識してきました。

 

入学式の日をポジティブな気持ちで迎え、最初の一歩を踏み出せるようにするため、細かいところまで見通しを伝えることに。

 

◆入学後の登校スタイルについての見通し

 

就学前検診で母と離れる時に泣く様子を見ていた校長先生から、

 

「まずは安心して来てもらうのが一番です。」

「お母さんが大丈夫なら、最初から母子登校されてはどうですか?」

「一人で行けると自分から言い出すのを待つ方が、結果的に自立が早いと思います。」

 

とご提案いただき、まずは学校を安心な場所にするのを目標に、最初から母子登校することに。

 

その日のうちに、はーちゃんにも、「一人でも大丈夫、かぁか来なくていいよ~となるまでは、一緒に学校に行こうね。」と伝えました。

 

早めに入学後の登校スタイルの見通しを伝えたことで、入学に対する気持ちがポジティブになり、入学グッズは楽しんで準備することができました。

 

3歳年上の次女は参加したい活動のときだけ登校し、学校以外にも支援センターやトーキョーコーヒーでも活動するスタイル。

 

「ねぇねが学校に行く時は自分もママと学校に行く!ねぇねが支援センターに行くときは、ねぇねと支援センターに行く!」と入学への不安はない様子でした。

 

 

◆入学式の前日に確認した、当日の見通し

 

式前日に担任の先生と顔合わせし、靴箱の位置や教室の席、入学式会場の様子や名前を呼ばれたらお返事をすることなど、式の流れを確認させてもらいました。

 

式で座る場所、母が座るであろう場所を一緒に確認し、「体育館は別々で座るけど、教室に戻ったらそばにいて、帰るときも一緒だからね」と、詳細に見通しを伝えました。

 

そして、迎えた入学式当日。

 

姉のときは親子一緒に体育館へ行き、それぞれ児童席と保護者席で開式まで待つスタイルだったのが、今年は教室から先生と1年生だけで並んで入場するスタイルに変わっていました。

 

そこは事前の確認不足でまさかのノーチェック。

 

この春のテーマは「いかにネガティブな記憶を作らせないか」と決めていた私は、ギリギリまで手を繋いで散歩し、ギリギリまで教室の外から見守ることに。

 

全員で行くトイレには母なしで行けたことに驚きつつ、体育館へ向かうギリギリに「体育館に行って待ってるわ!」のジェスチャーをして保護者席へ滑り込みました。

 

「一年生の入場です!」

 

のアナウンスで泣かずに並んで入場してくるはーちゃん

 

一人ずつ名前を呼ばれてのお返事も「は〜い」と声を出してでき、心の中で大拍手

 

一度も泣かずに入学式の日を終えたはーちゃんに、「泣かずにみんなと並んで入場してびっくりしたよ~。」と伝えると、「ほんとは泣きそうだったんやで。でも、できたわ。」とはにかみ笑顔でした。

 

 

 

5.学校がすべてじゃないけど、我が家なりに繋がっていたい

 

6年前、「学校は行かないといけない場所」と子どもに押し付けることで、当時小1だった長女の心を壊してしまった経験から、学校がすべてではないという考えになっていた私。

 

発コミュを学ぶか検討していたとき、「心を壊してまでやらないといけないことは何もない」「子どもの脳はおうちで伸ばせる」という発コミュ創始者の吉野さんの言葉に出会いました。

 

この言葉は、子どもたちが行き渋る時いつも頭をよぎります。

 

また、りりかさんの以下の記事は、集団生活が苦手な繊細三姉妹に向き合うときの心の支えになっています。

 

▼「行きしぶり」は悪くない!親の価値観が最高の脳を育てる
https://desc-lab.com/murakamiririka/465/

 

学校がすべてではない。

 

とはいえ、多くの人や出来事に接する機会が多いのも学校。特に、楽しい活動が多い一年生は、お友達作りができたらと願ってしまいます。

 

入学式はいいスタートをきれたはーちゃん。

 

「やりたいからやる!」「行きたいから行く!」と自分で考えて踏み出せるよう、「それならできそう、やってみようかな」の気持ちが湧くようスモールステップの背中押しで、少しずつ世界を広げていけるといいなと思います。

 

 

執筆者:たにぐちいろは

発達科学コミュニケーション

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