1.「ママやって」が増えたのは、脳がパンクしそうなサイン?
我が家の年長の息子アサヒは、少し怖がりで繊細な一人っ子です。
2学期が始まり10月に行われる幼稚園の運動会の練習が始まった頃から、イライラや「ママやって」が多くなってきていました。
朝の支度もなかなか進まなくなり、着替えや準備に時間がかかる日が続き、「どうしたんだろう…?」と戸惑いながらも、私はあることに気づき始めました。
2.繊細な子の脳は情報でいっぱい!
息子が年少の時、癇癪、登園渋りに悩み、息子の将来が不安だった私は、繊細な子の心と脳を強くする親子の関わり方を専門に教えているむらかみりりかさんと出会いました。
そこで、おうちで脳を育てる「発達科学コミュニケーション」(以下発コミュ)というメソッドを知り、「アサヒへの対応に迷うことがなくなるかも!」「アサヒが色々なことに挑戦してくれるようになるかも!」と受講を始めていました。
学び始めて分かったのは、繊細な子は周りの情報を受け取るセンサーの感度が高いということ。
そのため、脳の中に情報がどんどん溜まりやすく、処理が追いつかなくなる=「情報渋滞」が起こり、脳疲労状態になりやすいのだそうです。
この「情報渋滞」をやわらげるには、インプットばかりでなく、アウトプットさせてあげることが大事!
インプットとは、「見たり聞いたりして、脳の中に入ってくる情報」のこと。
反対に、アウトプットは「感じたことや考えたことを、手や体や言葉を使って外に出すこと」です。
たとえば、運動会の練習では”先生の話を聞く、順番を覚える、周りの子の動きが気になる”これは全部インプット。
きっとアサヒの脳の中も、「先生の声」「走る順番」「リレーの練習」など、受け取った情報でいっぱいだったのでしょう。
こうしたインプットが続くと、脳がパンパンに疲れてしまい、脳の中でエネルギーが回らず、気持ちや行動の切り替えが難しくなったり、不安定になりやすくなるのです。
その結果、着替えや準備で思うように進まないときや、やりたくないときに「ママやって」が出やすくなることがあります。
そこで私が取り入れたのは、手を使って遊ぶことで、脳のアウトプットを増やして、脳をリフレッシュさせることです。
3.脳をリフレッシュする“手遊び”
ある休日の朝、「これ、きたよ〜!」とアサヒに見せたのは、景品で届いたドミノセット。
ピタゴラスイッチが大好きなアサヒは、目をキラキラさせて飛びつきました。
「もう5歳だから、きっと楽しく遊べるはず」そう思って私は、この遊びを選びました。
難しすぎず、手先をたくさん使う遊びなので、今のアサヒにぴったりだと感じたのです。
ただ、やりながら私はちょっと不安に…。
「もし途中でドミノが倒れてしまったら、イライラして癇癪を起こすかも…?」
というのも、発コミュを始める前のアサヒは、思い通りにならないと私のそばまできて叩く、眼鏡を投げる、髪を引っ張る、「ママはあっちいって!」と叫ぶことも日常茶飯事だったからです。
案の定、ドミノが「ダダダッー!」と途中で倒れ、アサヒは「うわああ!」と叫んでソファーにダイブ!
(やっぱり来たか…)と身構えた私でしたが、驚いたことにアサヒは落ち着いた様子でドミノの前に戻ってきたのです。
「えっ、戻ってきた…?」と思わず驚くほど、以前では考えられない姿でした。
かつては「ママやって!」と癇癪を起していた場面なのに、自分で切り替えて再び挑戦していたのです。
ソファーで休憩したことで落ち着けた様子を見て私は、すぐにひらめき「休憩スペースを作っておこう!」と行動。
次にドミノが倒れてしまった時のために、お昼寝用の座布団と枕を近くに用意して、脳をリフレッシュするための”クールダウンスペース”を設置し、「もし疲れちゃったら、ここで休んでいいからね」と伝えました。
そして、もう一つ意識したのは、「大丈夫。倒れちゃっても、またやり直せばいいからね」と、事前に穏やかに声をかけることで、あらかじめ見通しを立ててあげました。
その後も何度もドミノは途中で倒れてしまいましたが、「休憩どうぞ〜」と私が声をかけても、アサヒは「まだ疲れてません!」と真剣な表情で何度も挑戦し、一度も休まず集中し続けました。
気づけば、私の方がクールダウンスペースでゴロゴロと休んでいた…というオチも(笑)。
4.繊細な子に届いた、3つのママのサポート
この日のドミノ遊びは、思った以上にアサヒの脳をリフレッシュさせてくれたようで、翌朝の準備も「ママやって」と言うことなく、スムーズに済ませ、笑顔で幼稚園に行くことができました。
繊細な子どもは、「頑張りたい気持ち」と「パンクしそうな脳」の間で、日々一生懸命にがんばっています。
無心で手を使って遊ぶことでアウトプットが促され、脳のガス抜きになり、気持ちや行動も自然に切り替えやすくなるのだと実感しました。
繊細な子って、うまくいかないときほど気持ちの切り替えが難しいことってありますよね。
だからこそ、そんな場面でどうサポートするかがとても大切なんだと気づきました。
今回私は、
- 子どもに合った難しすぎない手を使う遊びを選び、
- 気持ちを切り替えられる休憩場所を用意し、
- 事前に「うまくいかなくても大丈夫だよ」と安心できる声をかける
この3つを意識して関わることができました。
その結果、何度ドミノが倒れてもあきらめずに挑戦し続けるアサヒの姿があり、「こうやって“できた!”の経験と一緒に、“切り替える力”も育っていくんだ」と実感しました。
これからも、アサヒが“挑戦できる心の土台”を、親子の関わりで少しずつ育てていきたいと思います。
執筆者:高橋 りえ
発達科学コミュニケーション