1.自分で決められない高学年繊細な子
わが家には小学5年生の繊細な息子(通称:優士)がいます。人の表情や気持ちにはとても敏感で、場の空気をよく読める繊細な子です。
優士は日常の会話で、「どう思う?」「どっちがいい?」と聞いても、「どっちでもいい」「決めていいよ」という返答で自分の意志で決められず、周りに合わせてばかりでした。
そんな優士を「高学年だから周りに合わせてる?」「それとも遠慮してる?」と思っていました。しかし、あまりにも頻繁なため、「自分の気持ちを我慢しているのでは?」と気になり始めました。
そんなとき発達科学コミュニケーションに出会い、優士が自分の意志で決めるには、心と脳のタイプに合った会話が大切だと知ったのです。

2.高学年繊細な子が自分で決められない理由
繊細な子の脳は、周りの感情や空気からの情報をキャッチする力が強い反面、自分の感情を認識し、整理して表現する力が弱いのです。そのため、自分の気持ちを言葉に表現できないため、周りに合わせて「どっちでもいい」と表現してしまうことが起きているのです。
つまり、優士は、周りの気持ちは分かるのに、自分の気持ちに気付く力が弱いため、分からない自分の気持ちを言葉に表現できずにいたのでした。
「どっちでもいい」は優士の本音ではなく、「自分の気持ちが分からない」から出てきた言葉だったのでした。

3.高学年繊細な子が手にした伝える力
私は、家族でハマっているドラマとアニメで、優士の感情が自然に言葉に表現できる機会を作ることにしました。
「○○って、今どんな気持ちだと思う?」
「このシーンって、めっちゃかっこいいよね!」
アニメのキャラクターの気持ちを想像しながら家族で話していると、優士も自分が感じて考えていることを話し始めました。優士が言葉にしたときにはすかさず、
「それわかる!」
「あのプレイ、確かに決まったよね!」
感情の肯定を繰り返すことで、自分の言葉で伝える力が育っていきました。
さらに、盛り上がったのは考察ドラマでした。
「この人怪しいよね、だって○○って言ってた時の表情がおかしかったよ」
「このシーン、わざと見せてる感じがするよね」
繊細な優士が得意な、人の表情や違和感に気付く力がとても活かされたのです。ドラマの中で、人の言動や空気の変化に気づく力が強い分、なぜそう感じるのか、家族と話すうちに、自分の感情を表現する練習になりました。
優士が、家族の意見とは違い、自分の考えをまとめて話したときには、
「よく見てたね!」
「そうだね、こっちが怪しいよね」
「確かにあの表情おかしかったよね」
「そう考えると、あの人協力者っぽいよね」
否定せずに、オウム返しするように意識していました。このように、共通の話題で、優士は自然に自分の気持ちや感じたことを言葉にする機会を増やすことができたのです。
すると、お友達のやりたいことに合わせてばかり遊んでいた優士が、”僕はサッカーしたい!”と、優士の考えを言葉にして伝えられるようになりました。

4.自分の感情に気付く力と言葉のチカラを育てる
繊細なお子さんの脳の仕組みを知ると、”自分で決められない”の奥には、本人も整理しきれない困りごとが隠れていることに気付けました。
大切なのは、普段の会話から、自分の感情に気付かせ、言葉で表現する力を育てることです。
わが家の経験がみなさんのヒントになりますように。
ぜひ、試してみて下さいね。
執筆者
発達科学コミュニケーショントレーナー
増山陽香


